小学校受験に必要な準備は?私立と国立の違いは?【専門家によるアドバイス】

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「お受験」などと称されるように、かつては経済的に余裕がある特別な家庭のものという印象が強い小学校受験。しかし、昨今では幼児無償化や共働き家庭の増加などにより、我が子の進路として一般家庭でも小学校受験を考える時代に変わってきているようです。

そこで今回は小学校受験とはどんなものなのかを知るため、最先端のICT教育を取り入れながら小学校受験を専門的に教えている「しながわ・目黒こどもスクール」の代表である昌原先生に徹底インタビューしてきました。

取材協力者プロフィール
しながわ・目黒こどもスクール 
昌原 貴弘/ Takahiro Masahara
■公式HP:https://kodomoschool.jp/
東京都出身。ICT教育を主軸とした小学校受験教室「しながわ・目黒こどもスクール」代表。
最先端の教育活動の醸成と、正確な小学校受験情報の発信には定評があり、年長児から年々少児を対象とした受験指導やオリジナル教材の開発を行う。その他講演活動をはじめ、各種スクール向けのコンサルティングなどの実績あり。

お受験準備は遅くても受験日の半年前からはじめましょう。

――小学校受験とはどのようなもなのでしょうか?

試験を受けて合格判定をもらう点では中学受験や高校受験と同じです。一番の違いとしては、家庭が一体となって取り組む点が特徴です。受験者数は全体では減っているようですが、1人あたりの受験校数が減少しているだけで頭数については大きな変化はありません。

近年の動向として、幼児無償化も追い風になり、今までは「お受験」として収入に余裕がある富裕層だけの畏まったものとなっていましたが、最近は共働きの家庭が増えたこともあり、一般的な家庭でも意識するものと変わってきています。

また私立小学校ですと、共働きのサポートを積極的に行うようになりました。学童保育を学校の中に作ることで20時迄預かってくれる学校も出てきたり、習い事も学校のなかで全てできるようになったり、そういう時代のニーズに沿った小学校が増えてきています。

――いつから準備するのがよいでしょうか?

11月の受験に合わせて、大体2年前(受験業界では新年中)から準備する家庭が多いです。生まれた時から意識される準備の早い方もいらっしゃいますが、早いから良いというわけでもありません。月齢によって言動や能力にも違いが見られますので、子どもの状況をみて準備を考えるようにしましょう。1年前から、遅くとも半年前にはじめるのがベストだと思います。

受験前に一通り対策したほうがいいので、半年は必要です。対策せずいきなり試験に取り組むのは望ましくありません。受験当日は大勢の知らない子ども達が集まっている環境で勉強しないといけないため、動揺してしまう子どももいるのです。予めテスト慣れしておくことが本番に強くなるカギでもあります。

随分前から「行動観察」という試験がとても重視されています。幼稚園でやっているような集団遊び、生活、手作業を見られる試験もあります。その試験で協調性はどうか、自立できているかというのを評価されるのですが、そういった試験を全く知らない子たちは動揺して何もできずに試験を終えてしまうことだってあります。そうならないためにもやはり受験対策は必要です。遅くても半年ぐらい前には進めておきましょう。

――受験のために何を準備したらいいですか?

明確に絶対これをやるというのは決まっていません。これが中学校・高校以降の受験と違うところです。

小学校受験は偏差値が存在しない世界です。学校によって試験内容が違いますので難しいところですが、大部分が見ているのは、お子さんたちがしっかりと指示が聞けるか集団の輪の中に入ってきちんと適応できるかです。ペーパー試験という学力試験はやらない学校もありますので、むしろ学校生活に入ってちゃんとできるかどうかという自立のところを、試験の中で見ているのです。

自立したお子さんには意思があります。結局、自分の意思がないと、お友達とも積極的に関われません。この年代の子たちは、周りを見ていいところを吸収することができるので、そのような環境で切磋琢磨するのは最良と言えます。

周りの取り組みを見て「それはいいな」と憧れて、それを自分で実践してみたり、親御さんが「何でこんなことが急にできるようになったのだろう」と思うのは、恐らく周りの子から影響を受けたからですね。

――小学校受験の準備で、家庭でもできることがあれば教えてください。

普段の生活から自立を促すことです。自分でできることをどんどん増やす。そのためには親御さんがどんどん率先垂範をして、背中を見せて模倣させるということです。できたらちゃんと「よかったね」と認めてあげる。

普段の生活だと「すごいね」となかなか言わないじゃないですか。そこをきちんと声掛けしてあげないと、やはり「次もやろう」という気にならないのです。特別なことは必要なく、大事なのはその習慣だと考えています。

強いて言うなら、子どもが興味を持っていることにはとことん付き合ってあげる。虫が好きな子がいたら、図鑑をあげるのではなくて、実際に虫を見に行くこと。そうすることで子どもは新しい知識を得て、新しい目標も見つけるのです。引き出しが多い子の方が、やはり受験に向いていると思いますし、伸び具合も目覚ましいですね。

設備・サービスが手厚い私立か、低学費で指導力抜群の国立か。

――私立小学校と国立小学校とでは、準備や対策は分けて考える必要がありますか?

国立と私立で試験準備を分けて考える必要はありません。入学後の教育環境だったり、受験のサポートなど、私立は手厚い部分がありますが、実際試験を受けるにあたっては全く考える必要はないです。

ただ私立と国立は受験の時期が違うので、私立が終わってから国立。厳密にいうと、都内だったら11月下旬ごろに国立小学校の入試が行われるので、基本的に当スクールでは11月まで受験勉強を続けて、国立入試までを見据えて対策される方が大半です。

もちろん小学校の方針に沿えるかどうか、理念に共感できるかどうか、その辺りは家庭の判断になると思います。

私立はコマーシャルをたくさん行います。教育方針や、目指しているところをどんどん発信していきますが、国立小学校はあまりしません。広告宣伝はあくまで学校を知るためのきっかけとして捉え、学校の本当の魅力はご家庭でしっかりと調べて「いいな」と思えれば受験するようにしましょう。ネームバリューやコマーシャルにつられて受験勉強を始めることはいいと思いますが、実際は受験校の理解が深まる中で考え方も変わる親御さんが多いと思います。

――私立小学校と国立小学校の違いとしては何が挙げられるでしょうか?

私立は、学校独自に色々なことができます。昨今のコロナの影響でいうと、いち早くZOOM(ビデオチャットサービス)での授業を行ったり、アフタースクールといって放課後も安心して預けられる場の提供をおこなっている学校もあります。

このように私立では設備投資や提供できるサービスが全く違ってきます。単純に私立は手厚いと言っていいです。

国立では設備面やサービスに手厚さを感じることはあまり無いでしょうが、それに勝る魅力があります。
例えば、国立の魅力として、
熟練の先生方による指導が受けられる(国立小学校には未来の優秀な先生を育てる目的がある)
最先端の学習に意欲的である(新しい教育方法の試みを絶えず実践している)
高い学力層の中で切磋琢磨できる環境である(高倍率をくぐり抜けた教育熱心な家庭の割合が高い)
などが挙げられます。

――私立小学校と国立小学校では費用面や学校数も違ってきますか?

国立のほうが圧倒的にお得です。

国立は公立に少し色がついた程度の費用だと思っていただくと良いかと。私立はピンキリですが、年間100万円超えるぐらいの費用が平均的ではないでしょうか。

なお、学校数は、圧倒的に私立の数が多くあります。首都圏で考えると大体100校以上の受験校があるのですが、国立は東京都だけに限定すれば6校しかありません。私立は通学制限も緩く、エリアを広げれば受験対象は多く見つかるでしょう。

こうした点からも必然的に私立のほうが入りやすいといえば入りやすいです。国立は通学区域というものを定めてあるので、区学外だと入れません。目安でいうと通学40~60分圏内位の近隣の学校でないと受けられませんので、選択肢としてはとても狭くなります。

私立小学校と国立小学校の違いはここ!

<私立小学校>

  • 教育はもとより、+αで設備・サービスが充実
  • 年間費用は年間100万円超えが相場
  • 学校数は首都圏だけでも100校以上で選択肢が広い

<国立小学校>

  • 指導力の高い講師が徹底的に教育
  • 年間費用は公立に少し色をつけた程度でとてもお得
  • 居住地域や通勤時間の制限があるため選択肢が狭い

迷ったら、国立のような教育重視で指導力の高い教師がいる学校か、私立のようにプラスアルファで設備・サービスが充実している学校がいいのかじっくり検討してみましょう。

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