あの人気俳優も学んだシュタイナー教育とは?特徴とメリットを徹底解説!

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シュタイナー教育は、「個性を引き出す教育法」として、子育てにアンテナをはっているパパ・ママさんから一目おかれている教育法です。
モンテッソーリ教育とともに世界二大教育法とも呼ばれ、現代に求められる力が養える教育法と言われています。日本では人気俳優の斎藤工さんがシュタイナー教育を受けて育ったということで話題になりました。

今回は、注目度上昇中のシュタイナー教育を検討しているみなさんのこんな疑問にお応えします。

  • シュタイナー教育ってそもそもどんな教育内容?
  • シュタイナー教育は何歳から何歳まで?
  • 日本ではどこでシュタイナー教育を受けられるの?

この記事では、シュタイナー教育を検討する際に知っておいてほしいことを下記の流れで紹介していきます。

最後まで本記事を読んでいただければ、シュタイナー教育についての理解が深まり、お子さんに最適な教育方法か判断できるようになります。シュタイナー教育を検討している方は必見です!

世界二大教育法の一つ、シュタイナー教育とは

シュタイナー教育の生みの親は、オーストリア出身の哲学者である「ルドルフ・シュタイナー」。シュタイナー教育の歴史は古く、1919年にドイツで誕生した「ヴァルドルフ学校」から始まりました。

教育理念

シュタイナー教育の理念を一言でいうと、「個性の尊重」です。

シュタイナーは「教育とは子供の”精神の成長”を助けるもの」と主張していましたが、現代の教育は個性豊かな子どもに画一的な知識を詰め込むものであり「成長の障害物」になっていると考えました。そこでシュタイナーは「子ども達の個性に基づく自由な意思決定を行える人を育てる」という教育理念を掲げ、現代の教育とな異なる新しい学校を作りあげたのです。

シュタイナー教育の特徴

シュタイナーは「自由な意思決定を行える人物」とは「体と心と頭のバランスが取れている人物である」と定義しました。

体と心と頭を一般的な言葉に直すと「体=意思」「心=思いやり」「頭=判断力や思考力」になります。知識やスキルではなく「体、心、頭」の三要素を育てるための教育が、シュタイナー教育の特徴なのです。そのため教科書や試験もなく、従来の教育のように知識や常識のすり込みは行ないません。

  • 自分で考え、自分で答えを見つけだす
  • さまざまな変化に柔軟に対応する
  • 固定観念に縛られず、ゆたかな発想で物事を捉える

といった人間形成の基礎を育むことに注力し、「子どもの個性、能力、可能性を尊重しながら成長をサポートする」ことに主眼を置いています。

シュタイナー教育が今求められる理由

戦後に始まった高度経済成長以降の工業化の時代は、皆が同じレベルになることで国全体が成長できる時代でした。そのため「知識」や「ノウハウ」を詰め込む知識偏重の教育が推進されてきたのです。

しかし、今後の世の中は「知識」や「ノウハウ」が求められる仕事(マニュアル化できる仕事)の多くはAIやロボットが行なう時代になり、「自由な発想で個性を追求できる人」が求められる時代になっていきます。だからこそ「自由や個性」をテーマにしたシュタイナー教育が今注目されているのです。

シュタイナー教育に向いている家庭

今注目されているシュタイナー教育とはいえ、すべての人におすすめできる教育方法ではありません。
シュタイナー教育に向いている家庭は「子どもに自由に生きてほしい」という教育方針を取っている家庭です。

シュタイナー教育を受けている人がまだまだ少ない日本。
学歴社会が抜けきっていない社会の中で「いい大学やいい会社に入ってほしい」という教育方針を取っている家庭の方には、シュタイナー教育の理想には共感できない可能性が高いと言えるでしょう。

7年サイクルで取り組む、シュタイナー教育の内容

シュタイナー教育が育てる3要素である「体、心、頭」ですが、これらは並行して育てるわけではありません。
例えば、2歳の子どもにいくら哲学の話をしても理解できないように、子どもには成長過程によって育てやすい要素と育てにくい要素があると考えているのです。

そのため、シュタイナー教育では物心がつかない幼少期(0歳から7歳まで)は「体」を、自己主張ができる少年期(7歳から14歳まで)は「心」を、世の中のことを理解する青年期(14歳から21歳まで)は「頭」の形成に重点をおいた教育をするのです。

最初の7年の教育内容(第1・7年期)

0歳~7歳までの7年は、遊びを通し「体」の機能をしっかりと働かせるための活動をします。「体」がしっかり機能することが、今後の意志力や行動力の源になると考えているのです。運動能力だけでなく、きれいなものを見ることによって、きれいな心を身に付け、おいしいものを食べることによって、おいしさの味覚を知っていきます。

0歳~7歳までの子どもは周囲の環境の影響を大きく受けます。そのため、シュタイナー教育では、「テレビをつけてはいけない」や「カーテンは温かみのあるピンクにする」など一風変わったルールが設けられていたり、周囲の大人が模範となる存在でなければいけないと考えています。

次の7年の教育内容(第2・7年期)

7歳~14歳までの7年は、豊かなイメージの中から「心」の土台が形成される時期です。先生の話を聞いて自分なりに映像化できる時期なので、個々の感性や感受性を育む教育を行ないます。

こころを養う方法としてシュタイナー教育で取り入れられている教育方法は「オイリュトミー」という言葉と音楽を体で表現する芸術による教育方法です。ピアノなどの生演奏に合わせてダンスのように体を動かしますが、歌や演奏だけでなく、詩の朗読など、言葉の響きにも合わせて動く点はダンスと異なるところです。

このように芸術活動が重視されるシュタイナー教育の特徴が最も出る時期が、「心」を育成させるこの時期になります。

最後の7年の教育内容(第3・7年期)

14歳から21歳までの7年は、「頭」が養われる時期です。

これまでの「外から得るだけ」の受け身な状態ではなく、自ら考え、仮説を立て、知識と知識を結びつけながら論理的に検証するというような「頭」を働かせる教育を実施します。

この時期の最も特徴的な教育方法として、エポック授業を紹介しましょう。

エポック授業とは、3,4週間かけて毎日同じ教科を勉強していく教育方法です。毎日110分集中して同じ教科に取り組むことでバラバラに勉強するよりも、深い探究心が養われるというメリットがあります。

シュタイナー教育のメリット

個性の尊重や人間形成を軸にしたシュタイナー教育には、豊かな子どもの成長をもたらすメリットがあります。

子供の個性を尊重した教育ができる

子どもの個性を尊重し、子どもが自分自身で成長するきっかけを与えるのがシュタイナー教育です。そのため従来の画一的な教育では養えなかった子どもの才能を、伸ばせる点がシュタイナー教育のメリットになります。

判断力がつく

シュタイナー教育によって、子どもには「自分で考える」「自分で答えを導く」「変化に対応する」などの判断力がつきます。シュタイナー教育では子どもの「自由な自己決定」が尊重するため、子どもは自分の頭で考える癖がつくのです。

芸術などの感性が鋭くなる

子どものクリエイティブな感性が高まる点もシュタイナー教育の一つのメリットです。子ども達はわずか0歳から手足を自由に動かして芸術活動に取り組みます。芸術活動は子ども達の知的能力だけでなく豊かな心も育むため、子ども達は自分達のクリエイティビティを存分に発揮できるようになるのです。

シュタイナー教育のデメリット

子どもを自由な考えと豊かな心をもつ大人に成長させるシュタイナー教育ですが、いくつかデメリットもあります。

「自由」すぎる子どもになってしまう可能性も

シュタイナー教育は従来の教育と違って「個」を尊重し、豊かな「発想」を養うため、「自由」すぎる子どもになる可能性があります。一般的な学校や会社などで求められる「空気」が理解できなかったり、「秩序」になじめなかったりなど、社会性においてデメリットが生じるかもしれません。

偏差値教育はできない

シュタイナー教育は知識を詰め込む教育をしないため、受験に有利な偏差値教育は受けられません。子どもはシュタイナー教育を通して、人間力やクリエイティビティを育みます。そのため、全員が同じ知識や型にはまった考え方が重視される受験とは相性が良くありません。良い悪いではなく、従来教育の勉強を重視する方には不向きな教育と言えるでしょう。

教育するにあたってルールが多い

シュタイナー教育には、親や先生など教育する側が守るべきルールがたくさんあります。たとえば、「なるべくテレビは見せないように」「小学高学年になるまでは特定の部位を使う運動は避けるように」など細かいルールが沢山あるのです。そのため、現代社会においては現実の生活に合わせづらい面も否定できません。

シュタイナー教育を実施している学校

シュタイナー教育を実施している学校は世界60カ国に1000校以上ありますが、日本にも存在します。ここでは、日本でシュタイナー教育が受けられる学校をご紹介します。

シュタイナー教育と似ているモンテッソーリ教育との違い

シュタイナー教育は二大教育法の一つに数えられていますが、もう一方の教育法がモンテッソーリ教育です。最近注目を浴びている教育法とはいえ、それぞれの違いを知っている方は多くありません。

そのためシュタイナー教育は、しばしば教育方針の似ているモンテッソーリ教育と間違われます。ここでは、似ているようで実は異なる2つの教育システムの共通点と相違点について解説していきます。

これらの教育の共通点

シュタイナー教育とモンテッソーリ教育の共通点は教育目的です。どちらの教育も子どもの学力向上ではなく「人間形成」を教育の柱にしています。人間力に焦点があてられているため、画一的な教育方法ではなく自由が重んじられている点も共通しています。

また、成人年齢を超えても受けられるという特徴もあります。シュタイナー教育では「0歳~21歳」、モンテッソーリ教育であれば「0歳~24歳」までと、カリキュラムが成人になってからも組まれています。

これらの教育の異なった点

シュタイナー教育とモンテッソーリ教育で最も違う点は、教師の位置づけです。モンテッソーリ教育では「自己教育力」という発想があるので、教師は補助的な存在で基本的には子どもの自立した学びを重視します。一方でシュタイナー教育の教師は子ども達の模範的存在であり、教育者として重要な立ち位置であると考えられています。

また日本では教育システムとして無視できない大きな違いもあります。それは、教育方法を受けられる期間です。日本では幼稚園での教育が中心のモンテッソーリ教育に対し、シュタイナー教育は小学校から高校までで導入されているのが現状です。

シュタイナー教育は現代に必要な人間力を養う

ここでまで、シュタイナー教育について特徴やメリット・デメリットを紹介してきました。
最後にシュタイナー教育を受けさせるかのどうかの判断に必要なシュタイナー教育のメリットを復習しておきましょう。

  • 子どもの個性を尊重する
  • 判断力のある子どもを育む
  • 芸術の感性が鋭くなる

上記のメリットを見ても分かるとおり、シュタイナー教育には従来の教育にない魅力があります。一方で今まで重視されてきた、学力の面はあまり重視されないため、進学や就職を考えたとき不足する要素もあります。シュタイナー教育を取り入れるのであれば、メリットを最大限に生かしながらデメリットをカバーする対策をしましょう。

また当然シュタイナー教育に限らずすべての教育法にはメリットとデメリットがあります。子どもの特徴や保護者の方の教育方針と一致する教育方法をしている学校に子どもを預けるのが一番です。

後悔のない選択をするためにも、シュタイナー教育を選ぶ際にはこの記事をもう一度復習して、メリット・デメリットをしっかり把握してくださいね。

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