小学校で英語が必修化された事から、小学校就学前からの英語教育も注目を浴びています。そんな中、まだ一人では留学ができないお子さんを持つ親御さんの間で話題になっているのが、親子留学です。
- 最近話題の親子留学を自分の子どもに受けさせたい!
- 親子留学を検討するにあたって、予算はどのくらいを想定すればいい?
- 親子留学って本当に効果があるか不安
上記のように親子留学を検討中の皆さんに向けて、本記事では下記の流れで親子留学について紹介します。
本記事を読み終える頃には、親子留学に行く決心がついているかもしれません。
ぜひ最後までお読みいただき、満足度の高い親子留学をじっくり検討していきましょう。
そもそも親子留学とは?
親子留学とは、小学生や就学前の幼児を対象にし、親子で外国語や異文化交流する新しい留学スタイルです。
以前は親子留学と言うと、親の英語の勉強に子どもを連れてくる留学スタイルを指していました。しかし最近では、小学校の英語科目必修化の影響で小学生以下の子どもの英語教育に注目が集まっている影響から、子ども主体の親子留学の人気が高まっています。
英語の早期教育という目的以外にも、海外文化に早くから触れておく事は子どもの多文化への理解を促すためにも効果的です。多文化理解はこれからのグローバル社会で活躍するために、最も重要な素養の一つです。
本物の英語に触れる経験か異文化交流、どちらかに興味がある方は親子留学がピッタリです!
親子留学の4つの検討項目
「親子留学をしたい!」と考えている皆さんの中には、まず何を考えればいいか分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、親子留学の検討事項4項目をご紹介いたします。
留学スタイル
親子留学をしたいと思った時に最初に考えたいのは、英語を学ぶ環境です。
ここでは主流となる3つの英語学習形態を紹介します。下記の表をご覧ください。
留学スタイル | おすすめポイント |
親子で語学学校に通う | 日本人スタッフがいる場合も多く、安心して英語の勉強に集中できる |
親は語学学校、子どもは幼稚園(保育園)に通う | 子どもが英語の環境にどっぷりつかれる(4歳児以上推奨) |
親子でホームステイする | 親子で生活環境全てで英語に触れられる |
一番人気なのは、親子で語学学校に通うスタイルです。日本語が通じない不安や、子どもを海外で一人にするのが不安な方もこのスタイルなら安心して留学できます。
また、子どもが年中くらいの年齢になり親と離れていても不安にならない場合には、子どもだけ保育園や幼稚園に通わせるのも1つの手です。
お子さんの発達具合や、皆さんの英語の学習意欲も加味した上でご検討ください。
期間
留学期間は子どもの英語の習得度合いにかなり密接に関係します。
親子留学の目的を明確にしたうえで、下記の表を参考にできるだけ目的にあった留学期間を選べるようにしっかり検討してください。
留学目的 | 留学期間 |
観光ついでにお試しで英語体験させたい | 1日 |
子どもに英語への興味関心を高めてほしい | 1週間~1か月 |
異文化の中でバイリンガル教育をしたい | 1年以上 |
最近の親子留学で最も人気なのは、1週間から1か月のプチ留学です。プチ留学人気の背景には下記のような背景があります。
- 親の休暇が取りやすい
- パッケージプランが充実している
- ビザなしで渡航できる場合が多い
このように共働き世帯でも比較的気軽に留学しやすいため、英語に対する興味のきっかけ作りとしてプチ留学は人気を高めているのです。
もちろん、本格的な英語力を身に着けるには1か月では足りません。もしバイリンガル教育をしたいのであれば、予算を確保し皆さんの仕事のご都合を合わせた上で万全に準備しましょう。
国
留学と一言で言っても、留学先の国によって文化や人柄、英語のなまりや金額などが多く変わってきます。
一昔前までは「留学=アメリカ」という風潮もありました。しかしアメリカ以外にも、英語が公用語の国は沢山ありますし、それぞれの国に英語以外の魅力があります。まずは下記の表から「直感的に行きたい!」と思う国をピックアップしてみましょう。
国名 | 特徴 |
オーストラリア | ・自然豊かで気候は温暖。 ・土地が広大で海や山のアクティビティも充実。 ・親しみやすい国民性で異文化にも寛容。 ・留学の受け入れ体制が整っている。 ・日本人スタッフが常駐している学校や施設も多い。 ・日本との時差が少なく日本への連絡もしやすい。 |
ニュージーランド | ・治安がよく自然に恵まれている。 ・温暖な気候で海や山のアクティビティも充実。 ・テファリキというニュージーランド発祥の画期的な幼児教育を体験できる。 ・英語圏の中でも比較的物価が安い。 ・移民が多いため多様性に富んでいる。 ・留学の受け入れ体制が整っている。 ・日本人スタッフが常駐している学校や施設も多い。 ・日本との時差が少なく日本への連絡もしやすい。 |
ハワイ | ・アメリカ本土よりも治安はよい。 ・四季がなく年間を通して温暖な気候。 ・海や山のアクティビティも充実。 ・日本語が通じやすい。 ・日本食が入手しやすい。 |
アメリカ | ・本土ではロサンゼルスやサンフランシスコなど西海岸が人気。 ・人気の西海岸は気候が温暖で日本のものが入手しやすい。 ・ホームステイの受け入れ先が充実している。 ・本場アメリカ英語の発音やアクセントに触れられる。 ・子供向けプリスクールやプライマリーが多様性に富んでいる。 |
カナダ | ・親日国で治安がよい。 ・フランス語の地域もあるので、親がフランス語を勉強したい場合も対応可能。 ・日本のような四季があり、夏はカラッと過ごしやすく自然に恵まれている。 ・スキーやスノーボード、トレッキングなど山のアクティビティが充実。 ・交通の便がよく、移動がスムーズに行える。 ・美しい発音の英語が身につけられる。 |
マレーシア | ・英語が公用語のアジア圏。 ・歴史的に多民族国家なため、日本にはない多様な価値観が味わえる。 ・アジア圏では最も綺麗 ・日本との時差は1時間で日本への連絡がしやすい。 ・医療が充実している。 ・留学費は欧米の3分の1程度とコスパが高い。 |
フィリピン | ・アジア圏では最も英語を喋れる人が多い。 ・留学費は欧米の3分の1から半額程度とコスパが高い。 ・アジアへの英語留学の草分け的存在のため、アジア圏では最も留学環境が整っている。 ・日本との時差は1時間で日本への連絡がしやすい。 ・治安が良好とはいえないものの学校内のセキュリティー体制は整っている。 ・自然体験ができるセブ島はリゾート留学として特に人気のスポット。 |
費用
本来ならここまで紹介した「留学スタイル、滞在期間、滞在国」の3つを理想に合わせて組み合わせられるのがベストです。しかし、留学費用は滞在期間や滞在国によって大きくかかる費用が変動してしまいます。
そこでここでは、本記事でおすすめする留学先7か国を例にとって、かかる費用の目安をご紹介します。
ここでは1か月間留学したと仮定して試算してみます。
国名 | 1か月の総費用(語学学校に通う人数や観光の頻度で変動) | 1か月の学費(+滞在費) | 渡航費 | 1か月の食費 | その他の費用(レジャー等) | 1年留学の場合の費用 |
オーストラリア | 70~90万円 | 学費20万円/1人+滞在費20万円 (ホームステイの場合) |
20万円 | ホームステイ費用に含まれる場合が多い | 20万円前後 | 400~750万円 |
ニュージーランド | 60~100万円 | 学費+滞在費80万円/親子2人 (ホームステイの場合) |
20万円 | ホームステイ費用に含まれる場合が多い | 20万円前後 | 350~600万円 |
ハワイ | 70~90万円 | 学費12万円/1人+滞在費15万円 | 10万円 | 10万円前後 | 20万円前後 | 400~800万円 |
アメリカ | 70~100万円 | 学費15万円/1人+滞在費18万円 | 12万円 | 15万円前後 | 20万円前後 | 400~1000万円 |
カナダ | 50~90万円 | 学費+滞在費25万円/1人 (ホームステイの場合) |
12万円 | 10万円前後 | 20万円前後 | 400~600万円 |
マレーシア | 30~40万円 | 学費10万円/1人+滞在費7万円 | 10万円 | 2~5万円 | 10万円前後 | 100~350万円 |
フィリピン | 40~60万円 | 学費+滞在費15万円/1人 | 約10万円 | 学費に含まれるケースが多い | 10万円前後 | 100~500万円 |
食費や観光費、航空券代(LCC等の利用)は、表以下の金額に抑える事も可能です。あくまでも目安としてご参考にしてください。
ご覧の通り、マレーシアやフィリピンといった比較的近めのアジアは欧米諸国に比べて安い事が分かります。一方で、マレーシアとフィリピンは英語のネイティブスピーカーではないというデメリットもあります。
一概に値段だけで選ぶ事はおすすめしませんので上記の表と国ごとの特色を参考に、ご予算とご家庭にあった親子留学を計画しましょう!
親子留学のメリット
親子留学を現実的にする上で、親子留学のメリットを知ることは強力な後押しになります。ここでは、親子留学がもたらす主なメリットを紹介しましょう。
英語耳が作れる
プチ親子留学程度の期間での英語でのコミュニケーションの習得は難しいですが、英語の発音を聞き分ける事が出来るようになる事は可能です。
大人が英語を習得する時を考えてみてください。例えば、大人になってからRとLの違いを習得しようとしても耳が日本語仕様になってしまっているため、完全に違いが分かるようになるにはかなり訓練が必要です。
生まれたばかりの子どもから2歳までの子どもは、人間が発音できる言語すべてを聞きわけられます。4,5歳になってくるとある程度耳の感受性は日本語仕様に変化してきますが、それでも大人よりもはるかに早く英語の発音に馴れる能力を持っています。
このように英語を喋れるようにならなくても、発音の違いの習得などは早いうちに身に着ける事が可能なのです。
異文化交流により視野が深まる
常識がまだ形成されていない子どもにとって、異文化交流は短い時間でも視野を広げる時間となります。
神戸松蔭女子学院大学の研究によると、子どもは海外に関する知識を持っているほど「英語が喋れる=かっこいい」とを答えにくくなる結果を示しています。つまり、海外に対して具体的な知識やイメージを持っている方が英語に対して自分の価値観(もしくは判断)を形成していると言えるのです。
親子留学を通して子ども達は絵本や知育番組の世界でしか見てこなかった英語話者や外国人と交流します。その時子ども達は、異文化や英語を自分の体験として消化し、視野の広い価値観を形成する礎となります。このような背景から親子留学は、英語や海外に対して自分の考えや感想を持ついいきっかけになると言えるでしょう。
親子留学のデメリット
子どもを早いうちから英語に馴れさせたいという思いで実施する事が多い親子留学ですが、文字通り右も左も分からないような子どもを連れて海外に行くわけなのでデメリットもあります。
長期でない限り英語力は上がらない
プチ親子留学では、英語力の飛躍的な向上は望めません。
異文化交流をメインに据えながら、英語に対する音の感覚や興味を深めてもらう感覚で実施しましょう。
また就学前の子どもだと、強制的に英語を勉強させても効果はほぼないと言っても過言ではありません。あくまでも子どもには新しい遊びを経験させる程度のゆるい感覚で、留学に臨みましょう。
そのため、中学生や高校生になってからの留学の方が英語学習という点で費用対効果が高いといえるでしょう。
身体的なストレスが発生しがち
小さいお子様の場合、慣れない環境に馴染めない事も多々あります。
東南アジアは常に熱いですし、逆にカナダやニュージーランドは時期を間違えると極度に寒いシーズンに当たってしまいます。衛生面でも日本と比べると、衛生的でない場所が多い国がほとんどです。
幼児期の子どもは体温調節や免疫機能が弱く、慣れない環境もあいまって体調を崩しやすくなってしまうのです。体調を崩してしまうと、英語の勉強どころではなくなってしまうので、体調を崩しやすいお子さんには不向きと言えるでしょう。
また中には日本人の口にはあいにくい食事の国もあります。例えばインドではほとんどの料理にスパイスが使われていて、1か月滞在した人の中にはカレーを嫌いになる人もいます。
このように体調面以外でも思わぬところで身体的なストレスになりうる要因がたくさんあります。海外での長期滞在を経験したことのない方や子どもにとっては特に重大なストレスになるので、事前のリサーチを怠らないようにしましょう。
親は英語が分からないと生活がままならない
親子留学では普通の留学と同じように、生活のほぼ全てを英語でやりとりしなければなりません。
旅行であればレストランの注文で済むかもしれませんが、病院や法的な手続き、先生とのやりとりなど複雑なコミュニケーションを英語でする自信がない方には不安な毎日が続く事になります。
ただ、この点は日本語でのサポート体制がしっかりしているスクールを選べばある程度カバーできます。自分の英語力に過信しすぎずに、留学の計画を立てましょう。
親子留学を体験した人の声
親子留学について具体的に計画する前に実際に体験した人の声を参考にしましょう。ここでは、親子留学の目的として高い関心をもたれている「英語力アップ」をテーマにした声を集めています。
短期留学のポジティブな意見
子育てで悩んでてしんどい時期があって、たった2週間親子留学したらその後の親子関係が激変した。
子どもが愛しくてたまらなくなった。
子どももイキイキしてた。
英語が大好きになって、帰国後も英語学習の目的ができたし自信にもなってる。
だから私はみんなに薦めたいんだ。#フィリピン親子留学— モモシロ✈️親子留学代理店&マイルインストラクター (@totovito) June 14, 2019
二週間という短い期間でも留学が親子にとって楽しい時間になれば、それが英語の勉強のきっかけになります。英語が出来るようになる一番のコツは、英語が出来るようになりたいと心の底から思うようになる事です。
私「今日話を聞いたカナダの学校がめちゃくちゃ良かったから、今年の5月から1年間ひとりでカナダ留学する?」
小4娘「うん、行く!」
\\\ 即決 ////
小学生が単身留学を決意する瞬間ってわりとサックリなんですね。
まぁ幼少期からのセブ親子留学生活が土台にあるからなのだけど☺️ https://t.co/bABpkMGELs
— はな|親子留学&ジュニア留学 (@harunatzy) February 4, 2020
特に子どもが小さいうちの親子留学は、勉強というより旅行感覚で行くのが英語教育という面から見ても効果が高いかもしれません。
短期留学は英語を喋れるようになるには不十分
ご察しの通り、英語習得という観点からは短期の親子留学では不十分です。
https://twitter.com/warman_kaede/status/1198602302220881921
また、日本語を母語として育てたい場合には、中学生未満での英語の座学は効果的でないという見方もあります。
真面目に回答すると、中学生以上でないと厳しいと思います。客観的な教育効果を期待しない、異文化体験的な留学であれば中学生未満でも良いとは思いますが。 #フィリピン留学 RT @nakaman200x 幼児、小学生コースなどができたら、需要がありそうですね。親子留学など。
— はるじぇー☀ (@HAL_J) February 11, 2015
短期の親子留学を決行する場合には、英語勉強の意欲を育てに行く感覚で行きましょう。
長期留学のポジティブな意見
早い子では半年間の留学でも簡単な英会話まで出来るようになるという口コミがあります。
https://twitter.com/EnglishHub1/status/1148420213194387456
半年ほどの短い期間で敢行する必要はありませんが、長期留学は英会話力の発達に効果的であることは間違いないと言えるでしょう。
長期留学は子どもが目的をもっていないと無駄になりかねない
https://twitter.com/TakuYamaguchiNZ/status/1183984638886178816
親の憧れだけで、長期留学を実行しても子どもの意欲が育っていないと意味がありません。
英語を現地で習得する子どもの中には、今まで培ってきた日本語の語彙や思考法を一時的に忘れる子もいるため、日本語を忘れるリスクもあります。短期留学を一度経験させるなどして、子どもが「英語を本気で習得したい!」という思った時が長期留学のベストなタイミングと言えるでしょう。
【番外編】子どもよりも保護者の英語力が求められる!
親子留学でよく聞かれること。英語力はないとダメですか?これは、小学校低学年の子までは、そこは重要ではないと考えている。これまで、英語にほとんど触れていない子どもたちが現地で楽しく順応していく姿は沢山みてきた。でも、保護者は・・・
— Yuko (@AcademicYuko) January 30, 2019
年齢が低いほど、子どもは適応力や順応力によって基礎的な英語力がなくても留学を楽しめるようです。しかし、大人になってから語学を習得するのは容易ではないため、保護者として同伴する場合でも基本的な英会話はある程度できた方がいいでしょう。
まとめ
小学校での英語の勉強に乗り遅れまいと人気急上昇中の親子留学。
期間や国、留学先の学校など検討項目が多いため、もう一度確認しておきましょう。
特に短期留学の場合親子留学の最大の目的は、英語を勉強する事ではなく、英語に興味を持つきっかけを作る事です。
グローバル化が進んでいる昨今、異文化理解の姿勢は世界で生きていくために重要な姿勢になってきています。英語教育と注目されている親子留学ですが、体験学習の一環と捉えグローバル社会で生き抜くための基盤作りにも大いに役立つと言えそうです。