皆さんは「小学校の学費」についてご存知でしょうか?
小学校は初めて子どもを学校に入れるドキドキの経験。
「あの小学校は先生が良い」「あの小学校は私立への中学進学率が高い」など詳しい方は多いですが、意外にも「小学校の学費」については知らない方が多いようです。
この記事では
- 義務教育なのに小学校に払うお金があるの?
- 公立と私立とで費用にどれくらい差があるの?
といった悩みを抱える皆さんの為に下記の流れで皆さんの疑問を解消していきます。
本記事を読み終える頃には、子どもが小学校を卒業するまでにどれくらいのお金を用意しておけばいいのか分かるようになります。
ぜひ、こちらの記事を最後までお読みいただき、これからの入学準備や家計のやり繰りにお役立てください!
小学校費用は6年間でどのくらい用意しておくべき?
皆さんの中には公立小学校の学費のうちどこまでが無償になるか分からないという方も多いのではないでしょうか?
ここでは小学校在学中に払わなければならない学費の総額がいくらでどんな費用で構成されているか見ていきましょう!
小学校6年間の学費の総額は最低でも102万円必要
文部科学省の調査によると小学校6年間、公立小学校に通い続けたとしても学費の総額は102万円にもなってしまいます。
義務教育で授業料が無償になっても、給食費や個人で使うドリルなどの教材代は自費で出さなければなりません。こういった無償にはならない費用が積み重なっていった結果1年間で約17万円、6年間で計算すると102万円もの費用がかかることになってしまうのです。
一方では私立では授業料だけでなく施設や修学旅行が豪華だったりするため、さらに費用はかさみ1年間の費用で約95万円と公立の6年分に迫る金額がかかります。つまり6年間で考えると570万円と莫大な学費がかかる事になるのです。
小学校でかかるお金は学費だけじゃない!
公立小学校に通わせるだけで102万円必要ですが「子どもの教育」という観点から考えると学校以外の場面でも学習の為の費用がかかります。
文部科学省の定義では子どもの学習費を、「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」の3つを合計した費用としています。それぞれどんな費用を含んでいるか見ていきましょう。
- 学校教育費…学校生活に必要な費用の事を指します。具体的には授業料(公立は無料)、教材代、遠足費、PTA会費などの項目があります。
- 学校給食費…学校で出される給食の費用を指します。
- 学校外活動費…直接小学校での生活には関係ない、子どもの教育にかかる費用を指します。例えば、百科事典や辞書などの図書代、スポーツや語学などの習い事代金、学習塾・家庭教師費用などが含まれます。
このように実際には子どもを小学校に通わせて終わりではなく、本や習い事、塾やボーイスカウトなど子どもの教育に必要な費用は意外に沢山あります。
上記3つの費用がそれぞれ平均でどれだけ必要なのか文部科学省のデータを見てみましょう。
公立小学校 | 私立小学校 | |
年間の学習費総額 | 321,281円 | 1,598,691円 |
学校教育費(内訳) | 63,102円 | 904,164円 |
学校給食費(内訳) | 43,728円 | 47,638円 |
学校外活動費(内訳) | 214,451円 | 646,889円 |
子どもが満足のいく習い事や学習環境を充実させたい場合には、公立小学校に通う場合でも年間32万(6年間で192万円)近く用意しておいた方が余裕をもって子どもにやりたい事をさせてあげられると言えるでしょう。
公立に通った場合の小学校費用は?
お子さんを公立小学校に通わせたい場合に、何にどれくらいの金額を準備したほうがいいのかより詳しく見ていきましょう。
授業料や教材費など学校教育費の内訳(年間)
項目 | 費用 |
授業料 | なし |
図書・学用品・実習材料費など | 19,673円 |
学校納付金(入学金・PTA会費など) | 12,235円 |
通学関係費(制服・ランドセル・通学バスなど) | 18,032円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 6,951円 |
教科外活動費(クラブ活動・運動会・林間学校など) | 2,041円 |
その他 | 4,170円 |
合計 | 63,102円 |
公立小学校では、授業料がかかりません。主となる教科書も無料配布されます。一方で、授業で使用する副教材や通学に必要な制服などには、それぞれ年間で2万円程度の出費がかかっています。
塾や習い事など学校外活動費の学年別(年間)
学年 | 学校外活動費の総額 | 補助学習費(内訳)※1 | その他の学校外活動費(内訳)※2 |
1年生 | 198,000円 | 64,000円 | 134,000円 |
2年生 | 183,000円 | 52,000円 | 131,000円 |
3年生 | 203,000円 | 63,000円 | 140,000円 |
4年生 | 220,000円 | 74,000円 | 146,000円 |
5年生 | 239,000円 | 109,000円 | 130,000円 |
6年生 | 242,000円 | 130,000円 | 112,000円 |
※1 辞書や参考書などの家庭内学習費・家庭教師費・学習塾費・公開模擬テスト代など
※2 学童保育・スポーツ・習字などの文化活動・地域活動・体験活動など
平均的な家庭では子どもが小学校に通っている間にかかる費用として、小学校の学費そのものよりも学校外活動費にかけている事が分かります。
ちなみに低学年の補助学習費の欄を見て、「自分が小さい頃塾に通っている子どもなんていなかった」と不思議に思っている方もいるのではないしょうか?塾に通っている友達はいなくてもベネッセの進研ゼミなどをやっている友達はいたと思います。1年生の年額が36000円程なので、こういった教材に加えて「漫画で分かる〇〇」といった教材や図鑑を月1,2冊買っていたりすると年間で65000円程度になってしまうようです。
私立に通った場合の小学校費用は?
私立小学校は公立小学校よりも学習に対する意識が高い家庭が多いため、学校外活動費が高くなっている傾向にあります。私立小学校に子どもを通わせている親御さんたちはどんな所でお金を使っているのか詳しく見ていきましょう。
授業料や教材費など学校教育費の内訳(年間)
項目 | 費用 |
授業料 | 485,337円 |
図書・学用品・実習材料費など | 32,055円 |
学校納付金(入学金・PTA会費など) | 231,425円 |
通学関係費(制服・ランドセル・通学バスなど) | 90,749円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 44,816円 |
教科外活動費(クラブ活動・運動会・林間学校など) | 10,507円 |
その他 | 9,275円 |
合計 | 904,164円 |
私立小学校の場合、授業料が学校教育費の53%を占めるのが特徴的です。また、入学金や施設設備費なども公立小学校に比べて公費では賄われないため、学校納付金が高い傾向にあります。
塾や習い事など学校外活動費の学年別(年間)
学年 | 学校外活動費の総額 | 補助学習費※1 | その他の学校外活動費※2 |
1年生 | 573,000円 | 220,000円 | 353,000円 |
2年生 | 531,000円 | 187,000円 | 344,000円 |
3年生 | 567,000円 | 232,000円 | 335,000円 |
4年生 | 628,000円 | 343.000円 | 285,000円 |
5年生 | 728,000円 | 481,000円 | 247,000円 |
6年生 | 861,000円 | 637,000円 | 224,000円 |
※1 辞書や参考書などの家庭内学習費・家庭教師費・学習塾費・公開模擬テスト代など
※2 学童保育・スポーツ・習字などの文化活動・地域活動・体験活動など
単純な学費だけでなく私立小学校の学校外活動費は公立小学校の学校外活動費よりも、高くなっています。経済的に余裕がある家庭も多いため、複数の習い事をしていたり、多くの本や教材を買い与える家庭が多いと考えられます。
小学校費用が増えやすい学年は?
1年生は入学に関する費用がかさむ
1年生になるタイミングは、入学費用がかさむので教育費は少し余裕をもって用意しましょう。
ランドセルや制服、体操着、上履きなど入学に必要なものを一式そろえる必要がありますし、文房具の買い揃えや入学写真の申し込みなど、1年生特有の出費もあるので、上の兄弟がいる保育園の友達の親御さんなどに聞いて事前に準備しておいてください。
5年生以降は中学受験などの費用が増える
5年生以降では、中学受験への対策として塾や家庭教師への月謝など学校外活動費が増える傾向にあります。受験の必要な私立中学校への入学に小学校が公立か私立かは関係ありませんが、子どもが私立小学校に通っている世帯の方が学校外活動費そのものへの出費が多いのも特徴です。
また、私立に通わせている世帯の場合は、将来の職業などに備える目的で学力を向上させるほか、知的能力や運動能力の育成に費用をかけているケースもあるでしょう。
6年生は修学旅行の費用が必要になる
6年生になると、修学旅行にかかる費用が発生します。旅費そのものは1年生の頃から積み立てで対応している学校もありますが、おこづかいを用意するほか、旅行に必要な衣類、バッグ、靴などを新調する費用などがかかってきます。
また、私立小学校では修学旅行先が海外になる可能性もあり、旅行先や旅行期間によっても修学旅行費が平均より増える場合があるので教育貯金は多めに用意しておきましょう。
小学校費用の無償化はなし?なにか支援制度はある?
「小学校は義務教育だから子どもを通わせなければいけない!けど年間で17万払うと生活が…」という方のために国は小学校にかかる授業料以外の費用を援助してくれる制度を用意しています。どんな制度か見ていきましょう。
小学校費用が補助または免除される就学支援制度がある
学校で必須になる体操着などの道具や学校行事の参加に必要な費用を払えないという方に向けては、修学支援制度という補助制度があります。
この制度の受給対象者は、制度によって定められた費用(品目例を下記に記載)を自治体によって補助してもらえます。
ちなみにこの支援制度は学校教育法という法律によって国が制度を定めていますが、制度を実施する主体は地方自治体です。そのため自治体によって補助対象になる品目が少しずつ変わってきます。
何が免除対象になるかは最寄りの自治体窓口に相談しましょう。
補助対象品目の例
- 学用品費
- 通学費
- 通学用品費
- 修学旅行費
- 校外活動費
- 学校給食費
- クラブ活動費
- 生徒会費
- PTA費
- 体育実技用具費
- 医療費
- 新入学児童生徒学用品費など
学校によっては、新学期に申請書を配布するケースもあります。申請について不明な点は、担任の先生などに訊ねてもよいでしょう。
就学支援制度は母子家庭や生活困窮世帯などが対象
就学支援制度の対象者は法律上「就学困難と認められた者」となっています。つまりこの制度を受けられる人は、一部の母子家庭や生活困窮世帯などに限られます。
具体的に「就学困難」と認められる家庭は下記のような家庭です。
就学援助制度が受けられる対象
- 児童扶養手当を受けている方(母子家庭やひとり親家庭)
- 生活福祉資金による貸付けを受けている方
- 市民税の所得割が非課税の方
- 固定資産税が減免されている方
- 国民年金の掛金の減免を受けている方
- 国民健康保険料の減免又は徴収の猶予を受けている方
- 生活保護法に基づき生活保護の停止又は廃止になった方
- 仕事が不安定で生活が困窮していると認められた方など
また、居住地域に住所があり、子どもが市立の小中学校に在籍していることも支援制度を受けるための条件です。制度の対象となる基準を満たすかどうかについては、各自治体の教育委員会が判断します。
まとめ:小学校費用は年間32万円用意が理想
もう一度小学校6年間の平均学費を確認しておきましょう!
公立小学校 | 私立小学校 | |
年間の学習費総額 | 321,281円 | 1,598,691円 |
学校教育費 | 63,102円 | 904,164円 |
学校給食費 | 43,728円 | 47,638円 |
学校外活動費 | 214,451円 | 646,889円 |
私立の小学校に通う子どもは塾や習い事にたくさん行く子どもが多く、授業料を含む学校教育費だけでなく学校外活動費でも大きな差が生まれている事が分かります。お子さんを私立に通わせてあげたい場合には授業だけでなく、学校外活動費などの払ってあげられるか検討した後に決定しましょう。
多様性に富んだ公立小学校か、高い教育水準を保つように努めている私立小学校、どちらの小学校を選んでもお子さんにはいい影響があるはずです。お子さんが小学校6年間楽しんで成長できるよう、金銭面と精神面どちらもバッチリサポートできるように出来る限りの準備をしましょう!
なお小学校以降の費用も含めて、検討したいという方はぜひ下記の記事をご覧ください。
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