子どもを育てている母です。
うちの家庭では、兄弟ケンカが多く対処に困っています。
親が介入して勝手な判断で決めつけてしまうのも良くないと思いつつ、なにも言わないのも放置しているようで気が進みません。
今の所、子どもが頼ってきたときのみ、どうしたの?と聞くようにしています。
しかし、それでもどう聞いてもどちらか一方が悪いと感じる場合もあります。そういうときには、どちらかの肩を持つのは良くないと思い、一通り聞いてお互い謝らせるという結果に落ち着いてしまいます。
私自身は一人っ子なので、兄弟とのケンカを経験したことがないためどうしたらいいのか検討もつきません。
皆さんはどうしていたか教えていただきたいです。
長女(小学校2年生)と長男(年長)の母親より
2人以上のお子さんを育てている親御さんが絶対悩む子育ての悩みが「兄弟ケンカ」です。
子どもの怪我が怖いといった身体的な問題から兄弟仲が悪くなりそうなどといった関係性の心配など、悩みごとは尽きません。
そこで今回は、ベテランパパ・ママ約30名にアンケートを取り、こちらの3つの点についてアドバイスを頂きました。
それでは、兄弟ケンカの対処方法について、ベテランパパママの意見を見ていきましょう。
兄弟ケンカはコミュニケーションの練習
あい(30代女性)/長男(11)次男(10)
自分達の力で解決できる力をつけてほしくて、子ども達のケンカは子ども同士で解決させるようにしていました。
昔は、子ども同士がケンカしたら、親である私か旦那が間に入ってとめていたのですが、同じような事でけんかしたり、親が間に入ってもほらお前のせいで怒られたみたいな感じであんまり心に届いていないような気がしました。
ですが、ある日子どもがケンカしているのを放っておいたら、しばらくすると自分達でどうにか折り合いをつけていたので、これはいいかも?と思い、それからはケンカしてもあまり干渉せず、子ども達同士で解決できるように見守るようになりました。
このように、子どものケンカをできるだけ見守る方法は自信をもっておすすめします。
考える力や交渉する力、解決する力などがつくと思います。
現在子どもは、ケンカのとき以外の日常生活でも、これはどうすればいいのかということをまずは自分で考えるようになりました。
注意点としては、けんかが逆に激しくなってしまったり、解決方法がちょっと違うんじゃない?と思うことなどあったので、どうやって解決に導くのか見守るようにしていました。
大人になると理性や道徳、思いやりを身につけるため表立ってケンカすることは多くありません。しかし、実はこのケンカしない力は子どもの頃にケンカを通じて経験をした嫌な感情を、子どもながらに避ける方法を探しながら大人になるにつれ身につけてきた能力なのです。
つまり子どもにとってのケンカは、成長機会でもあります。
子どもがケンカの中で得るものは下記の3つです。
- 交渉力(自分の気持ちを相手に伝える力)
- 考える力(相手の気持ちを受け止める力)
- 解決する力(自分と相手の気持ちを両方とも大事にする力)
子どもはケンカの中のやり取りや、仲直りの過程でこのようなコミュニケーション能力を培っているのです。
一方で、子どもがケンカを一通り経験しないまま介入してしまうと子どもは自分で気づいたり、成長のために必要となる健全な不快感を感じる前にケンカが終わってしまいます。
子どものケンカは一旦見守ってあげて、殴り合いになったり無視しあったりしない限りは何も言わないというのが、長期的に子どもにとって有意義な解決方法だと言えるでしょう。
また、こういった意見もありました。
なんだかなぁ(30代男性)/長女(8歳)、長男(5歳)
自分の中で兄弟ケンカも、兄弟の仲を深める1つだと考えています。
兄弟ケンカしない兄弟も親として楽ですが、兄弟ケンカしてお互いがお互いの思っていることを言ったり、表現したりすることで、相手を理解できるようになると思います。
なので、兄弟ケンカも兄弟同士で解決させるようにしています。
なんだかなぁさんの意見は、ケンカは単なる成長の機会であるだけでなく、相手との絆を深める大切なコミュニケーションの場であるということです。
ケンカするほど仲が良いとは言いますが、お互いの気持ちを少し過激にではありますが本音で伝え合うことで、より相手のことを理解し仲を深めあうことができます。
本音を言いやすくするという意味でも、親はできるだけ見守り役に徹するのがいいと言えるでしょう。
さらに、学校でのケンカは当然親がどうこうできるものではありません。もし子どもが家庭内で自力で仲直りする姿を見ていれば、学校にも安心して送り出せますよね?
子どもの自立、親の子離れという意味でも子どものケンカはできるだけ子ども達で解決させるように促しましょう。
兄弟ケンカを止める時のルール
みち(30代女性)/長男(7歳)、次男(4歳)、長女(1歳)
ケンカはしょっちゅうなので我が家では叩いたり蹴ったりしたら止めます。
暴力を振るったり暴言を吐かなければ子ども同士で解決させようと思っていましたが、暴言は出るし暴力は振るうしで解決できそうになかったので現在は暴力暴言が出た瞬間に止めます。
「ケンカはできるだけ見守る」と言っても中には黙ってられないケンカの仕方をしていることもありますよね。
そんな時のために、事前に口出しのルールを作っておくことをおすすめします。作って置かないと過干渉になってしまったり、逆に「もう少し早く止めるべきだったのかな?」と後悔する原因になってしまうので、事前に考えておきましょう。
ベテランパパ・ママの多くが作っていたルールは下記の2つです。
- 暴力(一方的なものや、物を投げるなどもアウト)
- 暴言(相手をけなすようなことやNGワードも決めておく)
この2つは基本的には相手を傷つける行為です。小さい頃は、自分の主張が通らないと相手のせいにしたり、言葉での話し合いを放棄してしまいがちです。あくまでも話し合いの過程は見守り、話し合いから逸脱したら止めるというスタイルをおすすめします。
回答頂いた方の中には、ケンカがきっかけで長い間絶縁状態という苦い経験をしている方もいました。
ちんちくりんご(30代女性)/長女(9歳)、長男(6歳)
私自身、3つ年下の弟が一人いますが、私が高校1年生、弟が中学1年生の時以来、一切口をきかなくなり、今も絶縁状態です。
お互い、譲り合い、認め合うことができぬまま、20年以上の歳月が経ってしまい今に至ります。未だに顔を合わせる機会があっても挨拶さえ交わすことが出来ません。
このようなことから、自分の子供たちには、いつまでも互いを思いやり、協力し合える仲でいてほしいと強く願っており、小さな喧嘩でも、必ず仲裁に入り、互いに譲歩するよう促すようにしています。
ちくちくりんごさんは中高生の頃のケンカで、このような重い事態に発展してしまっています。そのため、子どもが大きくなってからもお子さんのケンカには注意深く耳を傾け特に暴言には注意して止めるようにしましょう。
兄弟ケンカの止め方
子どものケンカは口論が攻撃に変わった時点で止めるというのが多くのパパ・ママに共通した意見ですが、その止め方は人それぞれです。
そこで、ここではベテランパパ・ママの皆さんが考案した効果的なケンカへの対応法を紹介します。
子どもたち自身に口論させる
erica(40代)/長男(22歳)、次男(16歳)、三男(12歳)
子供達しかわからない、それぞれのこだわりや言い分があると思います。
とりあえず両方の話を聞きますが、双方が納得して仲直りできるように、子供達を引き合わせ親が見ている前でお互いが納得いく形になるまで、もしくは言いたいことを全て言えるまで2人に話をさせます。
子どもたちだけで議論させるのが一番オーソドックスな方法です。
親の前で議論するため、子ども達の暴力も多少は落ち着きますし、暴言を吐いても注意しやすくなります。
あとは皆さん自身に、子ども達の議論に決着が付くまで待つ根気や時間があるかにかかっています。
一旦引き離しクールダウンさせる
はんぺん/長男(11歳)、長女(7歳)
子供も大人と一緒で時間を置くと冷静になるので、こじれてしまった時はまず距離を取らせて数分放っておきます。
この時まだ興奮冷めやらず、こちらに向かって暴言を吐いたりもしますがスルーします。
落ち着いてから話させると自分達で解決出来ることが多いです。
人の怒りは3秒以上続かないといいますが、子どもも一旦クールダウンさせると冷静に考えられるようになります。
お子さんの口論を聴いていて、全くらちが開かないことが続いた場合は思い切って一旦別々の部屋にこもるように指示してみましょう。
ビデオで見せる
クジャン(40代男性)/長男(18歳)、次男(16歳)
ケンカの様子を隠し撮りして、自分たちの行動を俯瞰的に見せました。
子ども達は自分達がしている事を第三者の視点から見ることで、少しずつケンカがカッコ悪いことを自覚していったようでした。
スポーツでよくあるビデオによる振り返りは、ケンカにおいても効果があるようです。
この方法は幼稚園生の間は難しいですが、小学校以降でケンカが絶えないご家庭で試してみる価値がある方法かもしれません。
兄弟ケンカを静観する時間がない場合は?
今回、集まった回答の中には、ケンカを未然に防ぐためやケンカを悪化させないための工夫をしていたという方もいました。ここではそういった未然に防ぐためのアイデアを紹介します。
お兄ちゃん特権はないように意識する
くろっち(30代男性)/長男(9歳),次男(7歳)
兄弟でありますが、基本的にどんな状況であっても平等がいいと言う認識が強い子供たちであったと思います。その中での工夫でありますが、やはりおもちゃや服など先に兄の物を購入します。時間が経過をすれば弟のほうも適齢期が来るかと思いますが、そのときに兄のお下がりのようなものは絶対に与えないようにし、再度新しいものを購入するようにしました。それだけも子供たちは十分に満足をしてくれて、喧嘩を未然に防ぎ、勉学などに精を入れることができております。
お子さんの性格にもよりますが、この方法で物を奪い合うといったことからケンカになることはほとんどありませんでした。一方で、いろいろとコストのかかる子育ての方法をしているので、ご家庭の状況によっては実践をすることが難しい場合もあるかと思います。
同性の兄弟姉妹の場合、下の子は上の子のお古を使うというのはよくあることだと思います。しかし、これが不平等感を生み兄弟ケンカの原因に発展しやすくなってしまいます。
お子さんの性格にもよりますが、下の子がお古を嫌がった場合はお財布が許す範囲内で新しいものを買ってあげてください。
雰囲気が悪くなったら別々の遊びをさせる
なな(20代女性)/長女(6歳)、次女(4歳)
普段子供達と一緒にいるとやはり「喧嘩になりそうかな?」という雰囲気がやはり分かるものなので、少しでも異変を感じたらちょっと2人を別々にさせたり興奮している方をなだめたりすることで喧嘩になるきっかけを未然になくすように心がけていました。
私のやり方が合っているのかは分かりませんが、兄弟喧嘩のせいで家事が進まない、兄弟仲が悪くなりそう…とお悩みの方にはおすすめしたいですね。
喧嘩が起こってしまってからではどうしても解決の際に親が入ったとしても少し主観が入ってしまうので、未然に防げる策として採用するのはありだと思います。
実際、うちはこれを導入したことで姉妹ふたりとも喧嘩がかなり少なくなり普段から落ち着いた子に育ってくれてるなと思います。
「今日は、ケンカに対応している暇がない!」という方はぜひこの方法を導入してみてください。
ケンカの原因の多くは、行き過ぎたおふざけや遊びに夢中になって配慮が欠けた事によるいさかいです。そのため、ケンカの発生する可能性を限りなく0に近づけるためには、一緒に遊ばせない事が一番手っ取り早い方法です。
ただし毎回実行しケンカがほとんどない状態を作ると、先述の通り子どもの成長を妨げる可能性もあります。また一緒に遊ぶ事自体も、子ども達にとって学びの宝庫です。
この方法を実践する場合には、手の離せない料理を作っている時や忙しい時などTPOを限定して実践するようにしましょう。
ケンカ自体にルールを作る
こんこん(30代男性)/長男(10歳)長女(8歳)
二人の兄弟がいますがいつも喧嘩ばかりして大変困っておりました。兄弟だからそのうち解決するだろと思い放置していた自分もいます。
しかし結局は子供なので自分で解決する能力は皆無です。未然に防げるよう様々工夫をしておりましたがそれも上手くいかず日々苦労しておりました。
ある日喧嘩のルールを子ども達と一緒に決めたところ素直に受け入れることができました。しっかりルールを覚えさらにそれを実践し自分のものにしていきました。
ケンカのルールを作るという方法はケンカを防ぐというよりも、親が介入しなくていい状態を作る方法です。
子ども達は自分達で作ったルールは守ろうと意識します。ケンカのNGは相手を精神的・肉体的に傷つける事です。そのため、節度を保ったケンカ(これが難しいのですが)をしていれば、親が介入する必要はほとんどありません。
そこで、節度を保ったケンカを目指すために有効な方法が、ルールを作る事です。例えば、「殴らない」や「蹴らない」だったり「バカ」などのNGワードを決めるといった簡単なルールで構いません。
このようなルール作りは、出来るだけ子どもが落ち着いている時に自分がされて嫌な事を思い出させながら作りましょう。その際、ルールを破った時の軽いペナルティも一緒に決めてください。
「ゲームを30分禁止する」や「次の買い物の時にはおやつを買わない」など皆さんが普段子どもに甘く接している部分を禁止すれば虐待にもならないのでご安心ください。
まとめ:兄弟ケンカは可能な限り優しく見守る
本記事では、兄弟ケンカをどの程度止めたらいいのかについて説明しました。もう一度、簡単に復習しておきましょう。
子どものケンカは、今の子ども達や保護者である皆さんにとって不快的なものかもしれません。
しかし子ども達が将来、人と円満な関係を築き豊かな人生に歩むためには必ず乗り越えなければいけない壁です。
ケンカのし過ぎはよくありませんが、させなすぎもよくないという事を踏まえて今回の記事を参考に皆さんにとってベストなケンカの対応方法を模索してみてください。