日本にいながら英語環境で子育てができると根強い人気がある「インターナショナルプレスクール」。
一方で「普通の学校と比べて学費も桁違いに高いといったイメージ」や「留学に比べて中途半端な英語力しかつかないのではないかという疑問」をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、インターナショナルスクールがどんなものなのか分かるよう、下記の流れで解説します。
本記事では、インターナショナルスクールを選ぶ際のポイントについても解説しています。
お子さんのインターナショナルプレスクール通いを検討している方は、ぜひ、本記事を最後までお読みいただき参考にしてくださいね。
インターナショナルスクールに幼稚園はあるの?
インターナショナルスクールとは、主に英語による授業が行われ、本来、外国人の児童や生徒を対象とする教育施設です。
こういった外国人向けの教育施設全てをインターナショナルスクールと呼ぶため、インターナショナルスクールの中には、インターナショナルスクールという名前がついていないスクールもあります。
本来は外国人向けの施設のため学校の中にはそうした子どもの入学を制限しているインターナショナルスクールもあります。
また、スクールという名前で呼ばれていますが、実際には普通の小学校や中学校といった学校とは違い文部科学省が管轄している施設ではありません。そのため、普通の学校に比べて自由な教育をすることはできますが、その反面学校として認可されていないものも含まれているという点に注意が必要です。
幼稚園はインターナショナル”プレ”スクールとも呼ばれている
インターナショナルスクールは広い意味では幼稚園を含みますが、幼稚園はインターナショナル”プレ”スクールと呼ばれ分けて考えられる場合が多くあります。
プレスクールのみを経営している施設も多いという特徴があるからです。一方でこういった単独経営の場合も、日本人を対象にしたものは主流ではありません。
そのため、プレスクールも日本の園児に英語や国際感覚を育てるというよりも、日本にいる外国の子どもができるだけ国際基準という意味で自国に近い環境で学べるように作られた学校になっています。
プレスクールの形態は、大きく分けてインターナショナルスクールに併設されているケースと単独で運営しているケースの2つがあります。
いずれのプレスクールもその多くが認可幼稚園ではありません。独自のカリキュラムを提供する教育施設が多く、幼稚園は義務教育ではないため日本人向けの英語塾に近いスクールまであり、幅広いバリエーションがあるのが特徴です。
入学要件
幼稚園小中高と一貫教育で運営しているインターナショナルには独自の入学要件があり、子どもだけでなく親もその要件を満たさなければなりません。
ただし、国(文部科学省)によって管理されてる施設ではないため、統一的な基準や要件はありません。
しかし、よくある基準として親の英語力がネイティブスピーカー並みに必要というものがあります。
また、仮に厳密な要件がないとしても、インターナショナルスクールでは学校説明会や試験、面接のほか、毎日の授業も英語で行われますし、入学後は親も運営をサポートする場合があります。親子ともども英語が理解でき、英語でコミュニケーションを図れるかは重要なポイントです。
そのため、もしお子さんをインターナショナルスクールやさプレスクールに入れたいと考えているなら、まずは皆さんの英語レベルを少なくとも日常会話レベルまで上げておく事をおすすめします。
ほかにも、施設によっては親の経済力や社会的立場などが重視される場合もあります。
子どもの国籍や海外在住歴などを入学要件の対象にしているインターナショナルもありますので、入学を希望する場合は直接その施設に問い合わせるとよいでしょう。
インターナショナルプレスクールの学費
まずは参考程度に、ある一般的なインターナショナルプレスクールの学費を例にあげて見てみましょう。
項目 | 費用 |
入学願書 | 1,500円 |
入学試験 | 25,000円 |
入学金(初入学) | 1,000,000円 |
入学保証金(卒業時に返金) | 100,000円 |
施設費(初年度) | 500,000円(次年度より100,000円) |
授業料 | 150,000円/月 |
教育・施設充実費 | 32,000円/月 |
給食費 | 11,000/月or8,000/月(月によって異なる) |
留学プログラム積立金(任意) | 20,000円/月 |
バス運行協力費 | 8,500円~30,500円/月(便によって異なる) |
特別強化授業料 | 5,000円/回 |
物品購入(制服・体操服・かばん・その他) | 100,000円~(配送手数料 2,500円) |
寄付金 | 100,000円〜/ひと口〜 |
こちらは一例ですが、どのプレスクールであっても、教育費はかなり高い事が分かります。
比較しやすいように上記の項目を「学校教育費」「学校給食費」「学校外活動費」大きく3つにまとめて、一般的な幼稚園と比較してみましょう。
◆年間の平均
プレスクール(上記) | 私立幼稚園 | 公立幼稚園 | |
学校教育費 | 約1,800,000円(授業料) | 331,378円 | 120,738円 |
学校給食費 | 126,000円 | 30,880円 | 19,014円 |
学校外活動費 | 240,000円(留学の積立をした場合) | 165,658円 | 83,895円 |
合計 | 2,166,000円 | 527,916円 | 223,647円 |
このように比較してみると、プレスクールにかかる費用は、私立幼稚園の約4倍、公立幼稚園の約10倍である事がわかります。
インターナショナルプレスクールに通わせるメリット
主に英語での授業が行われ、国際色豊かなカリキュラムが魅力のインターナショナルスクール。ここでは、インターナショナルスクールに通わせるメリットを3つ紹介します。
海外留学がスムーズでなじみやすい
インターナショナルスクールには子どもに多様性が身につくような環境があるほか、国際的なカリキュラムが組まれているため、海外文化になじみやすい資質が備わります。
留学に必要な英語が話せたり理解できたりするだけでなく、異国でのコミュニケーションの取り方や自己表現の方法など、海外での生活に役立つスキルが身につくでしょう。
英語力が身につきやすい
保護者の皆さんにとっての、インターナショナルスクールやプレスクールの最大の目的は英語力だと思います。こちらは当然、インターナショナルスクールのメリットです。
しかし、ここで注意する必要があるのは環境によってその効果が違ってくるという事です。
最も重要な点が、周りのお子さんの日本語話者率です。周囲に日本語が喋れる子どもが多いと、結局授業以外の学校生活で日本語で喋る事が多いため、英語環境ではなくなってしまいます。
特に、プレスクールでは授業といった授業はないため他の子ども達との会話が主な言語の学びの場になります。事前に見学に行った時に、どの程度日本語が聞こえるかは必ずチェックして選ぶようにしましょう。
カリキュラムが自由である事
インターナショナルスクールやプレスクールは、文部科学省が管轄している学校ではないためカリキュラムを自由に設定できます。
この点は、特に小学校以降の英語教育や座学志向の方針に疑問を持っている方にはメリットになります。
そして、プレスクールがインターナショナルスクールに併設されている場合は、同じ教育方針で幼稚園から教育を受けられます。プレスクールを探している方で、小学校以降もインターナショナルスクールに通わせたい方は小学校教育以後のカリキュラムも視野に入れて学校を選ぶようにしましょう。
インターナショナルスクールに通わせるデメリット
子どもの英語力や国際性を高めるとして注目されているインターナショナルスクールですが、確率したシステムではないためデメリットもまだまだあります。
日本語も英語も中途半端になる可能性がある
英語と日本語を適切に教育できなければ、どちらの言語も中途半端になってしまう点は大きなデメリットです。
これはインターナショナルスクールに限らず、全てのバイリンガル教育に言える事です。そしてインターナショナルスクールに通わせる家庭の多くではこの、バランスの良いバイリンガル教育をするのはかなり難しいと言えるでしょう。
インターナショナルスクールに幼稚園から高校生まで通わせると超高額のため、多くの家庭は小学校でやめたり、逆に小学校だけ通わせたりするなど一時的な英語環境で妥協せざるを得ません。すると英語環境から日本語環境に移った時に日本語が一般的な同級生に比べて著しく低い状態で同様の学力が求められてしまい、日本語に対して苦手意識を持ってしまうのです。一方で、英語もインターナショナルすく^る時代ほど喋らないため英語力は低下し、良くても現状維持しかできません。
このようにして、日本語でも英語でも自分の考えを正確に伝えられなくなってしまうのです。
言語が未成熟である事の一番の問題は、思考力が伸びない事です。人は考える時に言語を使いますが、この言語能力が低いとそのレベルまでしか物事を考えれなくなってしまうのです。
バイリンガルでありながら論理的思考力がある子どもに育てるには、一度どちらかの言語を先に論理的思考が十分できるレベルまで育てなければなりません。そのため、母語としての日本語を捨てさせる覚悟がある家庭にしか、インターナショナルスクールは向かないと言えるでしょう。
進学に支障が出る可能性がある
高校までインターナショナルスクールに通った場合、大学進学に出来ない場合が多々あります。
日本の大学に進学するためには、高卒資格が必要ですが、インタナショナルスクールの多くは卒業しても高卒資格を貰えません。
大学によってはインターナショナルスクール出身者用の入学要件を設けている大学もありますが、ごく一部の大学に限られます。もしお子さんが通いたい大学に、そのような特別ルートが無い場合、別で大検(大学入学資格検定試験)で資格を獲得する必要があります。
しかしこの場合でも、高校で習うような内容を勉強する必要があり、インターナショナルスクールに通う子どもにとってはハードルが高くなっています。
最近では、国際的な学校基準に対応するインターナショナルスクールも増えているため、そういった学校に通えば同じ国際基準に対応する大学には通えるようにはなっています。
そのためインターナショナルスクールに通わせたい場合は、国際基準に沿っているスクールを積極的に選ぶようにしましょう。
家庭で気を付けるべきこと
最後に、インターナショナルスクールやプレスクールに入学を検討している方に注意して欲しい3つのポイントを紹介します。
ここでは、家庭で気を付けるべき3つのポイントについて解説します。
学校選びは家庭の教育方針と合致する所を選ぶ
インターナショナルスクールを決める時は、家庭と学校とで教育方針が合致しているかを重視しましょう。
教育方針というと難しく考えてしまうかもしれませんが、「なぜ通わせたいのか」という目的を明確にし、通わせることで「なにを得てほしいか」のゴールを設定すればよいのです。
◆教育方針の参考例
- 英語と母語との両立に配慮した学校に通わせたい
- 多国籍な学校で、子どもの多様性社会に柔軟な子に育って欲しい
- 様々なチャレンジができる環境で子どもの才能を発掘したい
子どもの将来にフォーカスしながら、日本と海外のどちらに子どものアイデンティティを置くのかも親同士で話し合っておきましょう。
子どもに英語を習わせたい理由をきちんと考える
子どもをインターナショナルスクールに通わせるなら、「なぜ子どもに英語を習わせたいのか」という理由を考えておきましょう。
前述の通り、インターナショナルスクールやプレスクールの学費はかなり高額です。なんとなく英語をできた方がいいだろうという曖昧な理由では、英語が習得できても上手く活用できず後悔する可能性があります。
「これからの時代に本当に英語が必要なのか」や、「お子さんに必要なのか」また必要だとしたら「どのように活用できるのか」といった視点から英語教育の重要性について慎重な検討を行ってください。
家でも積極的に英語を使う
お子さんを立派なバイリンガルに育てたい場合には、家庭内での英語と日本語の使い分けは必須になります。
そのため、皆さん自身の英語力は最低限鍛えておきましょう。お子さんと英語と日本語どちらも日常生活レベルなら不自由なく会話できる状態でないと、結局日本語に頼りっきりになってしまいます。
お子さんが小さいうちに、独学で勉強したり、お子さんが学校や幼稚園に行っている間にオンライン英会話などを活用して皆さん自身の英語を磨いておくのがおすすめです。
まとめ:インターナショナルスクールは教育方針を固めてから!
本記事では、日本にいながらバイリンガルを育てるための教育として有名なインターナショナルスクールについて紹介してきました。
インターナショナルスクールは幼少期から子どもを多様性の中で育みながら英語を習得させられるという大きなメリットがある一方で、軽々とは見過ごせないデメリットも沢山あります。
ここで、インターナショナルスクールに通わせるメリットデメリットを振り返っておきましょう。
メリット
- 海外留学がスムーズでなじみやすい
- 学校がきちんとしていれば英語力が身につく
- カリキュラムが自由である事
デメリット
- 学費が高い
- 日本語と英語の両方で中途半端になる可能性がある
- 大学への入学で不利になる可能性がある
インターナショナルスクール出身と聞くと、なんとなく「英語ができる」というイメージがあるかもしれません。
しかし、実際には英語ができるようにならない質の低いスクールや、英語が出来るようになっても学力面や学歴面で不利になる可能性がある事も踏まえて、インターナショナルスクール選びは慎重に選ぶようにしましょう。