子育て費用の総額はどのくらい必要?やりくりのコツを徹底解説!

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子育て費用の増加傾向は、少子高齢化が進む原因の1つと考えられるほど現代日本の社会問題です。実際に皆さんも子育て費用に関してこんな疑問をお持ちではありませんか?

  • 子どもが大学に入るまでにどのくらい貯めなきゃいけないの?
  • 自分の今の年収でも子育てできる?
  • 国から貰える補助金はできるだけ貰っておきたい!

保育園を0歳から入れて大学卒業までストレートで教育費を出すとすると、20年以上もの間教育費がかかる事になります。また年齢が上がるにつれ教育費は高くなるので、「今から貯金計画を立てないとやばい」と不安になっている方も多いのではないでしょうか。

本記事では「これで子育て費用は大丈夫!」と思えるようになるまで徹底的に教育費と国の支援制度について解説します。

こちらの記事を最後まで読んでいただければ、子育て費用の総額のほか、通う学校や時期による費用の違いが分かるようになります。

ぜひ、こちらの記事を最後までお読みいただき、これからの教育プランや家計のやり繰りにお役立てください!

子ども1人にかかる子育て費用の総額は?

子育て費用 図1

子育て費用は大まかに「教育・保育費、医療費、交際費、食費、生活費、貯金・保険」の6つで構成されています。この中で教育・保育費以外はまとめて養育費と呼ばれます。

この養育費は贅沢な暮らしをしていない限り、どの家庭でも大差ありません。保険会社AIUの調査では出産から大学卒業までの間の養育費は平均約1640万円と発表されています。

一方で教育・保育費は、通う学校が公立か私立かによって約2.5倍変わってきます。

小学校から大学まで全て公立学校の場合と私立学校の場合で比較してみましょう。

すべて公立の学校でも約700万円の教育費がかかる

義務教育の小中学校から大学まで国立や県立に進んだ場合、その教育費の総額は約700万円になります。そのため子育て費用の総額は約2300万円です。

公立学校は税金によって授業料や設備代が賄われている(義務教育の間だけ)ため、保護者が払う必要があるものは給食代・学校外活動費(修学旅行費用等)など一部分で済みます。

とはいえ小学校6年間だけでも自己負担額で平均200万円近くかかり、大学に至っては1年間で約70万円かかります。これらを大学卒業まで、トータルで算出すると、約700万円になってしまうのです。日本の平均年収が約410万円なのでだいたい年収2年分のお金の用意が必要と考えると莫大な費用がかかる事がわかります。

子ども1人あたり700万円ですから、2人、3人と考えると、たとえ公立の学校だけに通わせても莫大な費用です。さらに高校・大学の公立は費用の面から人気が高い場合が多く、学力も必要になってくるため実際には1人分700万円しか貯めていないとなると不安要素が残ってしまうのは否めないでしょう。

すべて私立の学校なら約2500万円の教育費がかかる

小学校から大学まで私立に通わせるとなるとかかる費用の総額は子ども1人あたり約2800万円かかってしまいます。そのため子育て費用の総額は約4400万円です。

私立学校は公立学校とは違い国や自治体からの補助金が少ししか出ません。そのため授業料や設備代などの負担がすべて保護者の肩に乗りかかってきます。また私立小中学校の場合、本来義務教育で十分な所をプラスアルファでお金を払って通学させる事になります。そのため経済的に余裕がある家庭を前提にカリキュラムや年次予定が設定されている場合も多く、修学旅行がハワイと豪華になっている学校もあります。

また全寮制の学校や海外研修が必須の学校など、私立学校は公立学校に比べて本来必要不可欠ではない出費も増える点は注意が必要です。

学校ごとの学費の差

公立と私立の教育費の差には、かなり開きがあります。小学校から大学までそれぞれの学校でどの程度の差があるか見ていきましょう。

公立 私立
小学校 1,927,686円 9,592,146円
中学校 1,465,191円 4,219,299円
高等学校(全日制) 1,372,140円 2,909,733円
大学 2,297,875円※地域内の国立文学部 12,096,128円※私立医学部

小中高のデータ:「子供の学習費調査」(平成30年度)|文部科学省参照
大学のデータ:2019年度 学費平均額|旺文社教育情報センター参照

この表を見ると、中高よりも小学校の方が大きな教育費の差がある事が分かります。

小学校は通学期間が6年と長いのも理由ですが、私立中学に子どもを通わせたい保護者には、学習塾にも通わせるほか、中学受験に備えるため家庭教師と契約するなど、学校以外での教育費への出費を惜しまない傾向にあるのも要因といえます。

大学になると、特に私立は学部によって費用が変わり単純な比較はできません。私立の医学部という一番高額になる学部と公立の文学部という一番定額になる組み合わせでみるとかなりの差がある事が分かります。

小学校から大学までのパターン別でシミュレーション

どの時期の学校を公立or私立にするかによっても子育て費用に差が出ます。ここでは、下記の4つのパターンで小学校から大学までの子育て費用をシミュレーションしましょう。

  1. すべて公立学校のパターン
  2. 高校からが私立のパターン
  3. 中高一貫したパターン
  4. エスカレーター式のパターン

<※養育費の計算方法>

幼稚園・小中学校の養育費は内閣府のインターネットによる子育て費用の調査を参考に「子育て費用額から教育費、学校外教育費、学校外活動費を引いた金額×学校在籍日数」で算出。
高校の養育費は上記で算出した養育費から食費のみを1.3倍したものを養育費の予想値として使用。
(大学の費用については集計されているデータがなく、中高生とも生活様式が変わり予想しにくいので、不明として空欄にしています。)
養育費総額は保険会社AIUの調査結果1640万円を使用。

すべて公立学校のパターン

◆総額(教育費+養育費)約2300万円

教育費 養育費 子育て費用年額 月の養育費
小学校 約193万円 約510万円 約117万円 約7万円
合計:約703万円
中学校 約146万円 約292万円 約146万円 約8万円
合計:約438万円
高等学校 約137万円 約327万円

(予想値)

約154万円 約9万円
合計:約464万円
大学
※地域内
※地域外は入学金が約15万円高くなります。
約224万円
(平均値)
総額 約700万円 約1640万円

小学校から大学まで全て公立に通った場合の教育費が一番安くなります。高校以降で公立に進学したい場合、ある程度の学力が必要になるので家庭での勉強のサポート体制を整えてあげるのがおすすめです。

高校からが私立のパターン(小中公立、高大私立)

◆総額(教育費+養育費)約2770万円

教育費 養育費 子育て費用年額 養育費の月額
小学校 約193万円 約510万円 約117万円 約7円
合計:約703万円
中学校 約146万円 約292万円 約146万円 約8万円
合計:約438万円
高等学校 約290万円 約327万円

(予想値)

約205万円 約9万円
合計:約617万円
大学 約500万円
(平均値)
総額 約1130万円 約1640万円

私立高校に通うことは、中学や小学校に比べると一般的なためそこまでパターン①より経済面での負担は増えません。

スポーツ面で充実した学校に入りたい場合や学力が公立高校にいけない場合などを想定して、このパターンで計画を立てておくと安定して大学まで卒業させられるでしょう。

中高一貫校に通ったパターン(小公立、中高私立、大学は公立)

◆総額(教育費+養育費)約2770万円

教育費 養育費 子育て費用年額 月の養育費
小学校 約193万円 約510万円 約117万円 約7円
合計:約703万円
中学校 約422万円 約292万円 約238万円 約8万円
合計:714万円
高等学校 約290万円 約327万円

(予想値)

約205万円 約9万円
合計:約617万円
大学
※地域内
※地域外は入学金が約15万円高くなります。
約224万円
(平均値)
総額 約1130万円 約1640万円

東大や京大に進んでいるような偏差値の高い学生は、進学校と呼ばれる中高一貫校に通っていた方が少なくありません。中高一貫校に通わせれば国立に通えるわけではありませんが、名門と呼ばれる国立や県立大学に通わせたいと考えているご家庭はこのパターンでの計画も立てておくと良いでしょう。

エスカレーターで進学するパターン(小公立、中高大私立)

◆総額(教育費+養育費)約3000万円

教育費 養育費 子育て費用年額 月の養育費
小学校 約193万円 約510万円 約117万円 約7万円
合計:約703万円
中学校 約422万円 約292万円 約238万円 約8万円
合計:約714万円
高等学校 約290万円 約327万円

(予想値)

約205万円 約9万円
合計:約617万円
大学 約500万円
(平均値)
総額 約1405万円 約1640万円

私立大学は付属の中高を運営している場合があります。早稲田や慶應などの有名な大学でも中学受験さえ合格してしまえば、そのまま受験なしで大学に入学できるため人気があります。

こういった付属の私立中学に入学させたいと考えているご家庭はこの金額でシミュレーションをしてみてください。

ずばり子育て費用のため必要な親の年収は?

本記事で紹介しているように、子育て費用は子どもが通う学校に大きく左右されます。皆さんの今の収入状況や将来予想できる年収では、余裕を持って私立に通わせられるかどうか知りたくありませんか?

ここでは目安として、小学校から大学まで公立で通わせる時と小学校から大学まで私立に通わせる時にどの程度の年収が必要か見ていきましょう。

全部公立でも理想は590万円

お子さん2人を小学校から大学まで公立のみに通わせたとしても、額面で年収590万円稼ぐ必要があります。

この590万円はあくまでも世帯収入なので、父と母で共働きすれば平均的な生活をしながら公立学校を大学まで自費で卒業させる事ができます。

シミュレーションはあくまでも、毎年同額が子育て費用として払うという条件が必要となるため机上の空論です。実際には入学時にはまとまったお金が必要になったり、修学旅行がある年は出費が増えたりします。

一時的に支出が増えた時に支払えないという事にならないように、外食を控えて節約をしたり、幼児期や小学生の間にお金をためたり学資保険を利用することで、お金の運用は工夫しましょう。

学資保険について気になる方は下記の記事をご覧ください。

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計算方法

本記事のシミュレーション結果では小学校から大学までの学費と22年間の養育費で約2300万円を保護者は子育て費用として一人当たり払う事になります。
この2300万円を22年で割ると約105万円となります。2015年に厚生労働省が行った「出生動向基本調査」によると、日本の既婚女性は平均して1.94人の子どもを出産している(厚生労働省「人口動態調査」2015)ので、子ども2人分の子育て費用で考えると1年で210万円必要です。
さらに総務省の家計調査(2018)によると、日本人の平均生活費は月間で約31.5万円なので約380万円は必要です。
この生活費と子育て費用を併せて考えると額面で590万円となります。

理想的な子育てに必要なのは約1000万円

平均的な私立に小学校から大学まで通わせられる事ができれば、子育て費用としてはひとまず安心できるのではないでしょうか。

そんな余裕を持った子育て費用を用意するのに必要な世帯年収は額面で780万円です。しかし実際には所得税がかかってくるので1000万円程度の世帯年収は必要になります。

日本人の平均年収は約410万円なので父母どちらもフルタイムで共働きをしなければ苦しい数字と言えるでしょう。

実際に、明治安田生命が実施した「子育てに関するアンケート調査」では、子育て世代の夫婦の理想は世帯年収で1029万円と結論づけています。厚生労働省の「平成30年度(2017年度)国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収が1000万円を超える世帯は12.2%です。

多くの世帯にとっては、小学校から私立に通わせるのは経済的に厳しいと言えるでしょう。

計算方法

本記事で最初に紹介した小学校から大学までの公立・私立の年間費用の表を参考に計算すると約4400万円子育て費用として必要となります。

前項と同様に4400万円を22年間で割り、2児分の子育て費用と生活費月380万円を足すと額面で約780万円の世帯収入が必要となります。

子育て費用を支援する補助制度は?

お子さんのいる家庭では家計のかなりの割合を子育て費用が占める事になります。そこで救いの一手となるのが、国や地方自治体による補助制度です。

ここでは、一般的によく利用されている助成金や学費免除などの補助制度について一覧で紹介していきます。

子育て家庭全員に適用されるもの

公的資金の種類 目的 内容 金額などの特徴
出産育児一時金 出産前後の経済的負担を軽減 支給 被保険者及びその被扶養者であれば、申請後に子ども1人につき42万円の出産育児一時金が支給されます。
幼児教育・保育無償化 少子化対策の推進 免除 3歳〜5歳までの子どもたちの幼稚園、保育園、認定こども園などの利用料が無償化されています。※幼稚園については月額の上限2.57万円です。※対象とならない幼稚園については償還払いの手続きが必要な場合があります。
児童手当 子育て世帯の生活の安定と児童の健全な育成及び資質の向上 支給 児童が中学校を卒業するまで支給されます。
・3歳未満の子ども1人につき毎月1万5000円
・3歳以上で小学校修了前までは子ども1人につき毎月1万円
※第3子以降は1万5000円
・中学生は15歳の誕生日後にくる3月31日まで1人につき毎月1万円
子ども1人につきもらえる児童手当の総額は200万円前後です。
乳幼児医療費助成制度 患者の経済的負担をゼロにするため自治体が助成 助成 乳幼児の場合は0歳から6歳未満(就学前)の子どもが対象で、医療費の自己負担分の一部または全額を県や市町村などが助成。自治体によっては「0歳~15歳までを一括して」「高校生も対象として」などで運用しています。※保険診療に限ります。※自治体によって異なります。
高校生等医療費助成制度 疾病の早期発見と治療を促進することで高校生等の保健の向上を図る 助成 要件を満たす高校生の入院・通院医療費・処方による薬代が無料になります。※保険診療に限ります。※自治体によって異なります。
扶養控除 所得税や住民税などの税負担を軽減 控除 子どもを養っている場合は要件を満たせば以下の税額が控除されます。
・一般扶養親族は16歳以上18歳以下が38万円
・特定扶養親族は19歳以上22歳以下が63万円

今回紹介した制度のうち、いくつかはお住まいの自治体によって制度概要が変わります。どんな概要で、家計の助けにはなるのでご自身がお住まいの自治体HPで調べてみましょう。

低所得家庭のみに適用されるもの

公的資金の種類 目的 内容 条件や金額などの特徴
保育所保育料の減免制度 ひとり親や低所得世帯の保育料を減免 減額・無料 以下の要件のいずれかに該当する場合は保育料の減免を受けられます。
・住民税が非課税世帯の子ども
・母子・父子世帯で住民税の所得割課税額が77,101円未満
※自治体によって異なります。
ひとり親家庭等医療費助成制度 ひとり親家庭等の医療費を軽減 助成 対象となる高校生以下(満18歳到達後の最初の3月31日ま
で)には医療費の自己負担金が助成されます。
・母子家庭の母と子ども
・父子家庭の父と子ども
・父母のない子ども
※保険診療に限ります。※自治体によって異なります。

ひとり親などの低所得家庭であれば、保育料医療費が広範囲で支援されます。子育て家庭全員に適用される公的資金にも保育料や医療費への支援はありますが、ひとり親家庭や低所得世帯などに対しては、対象範囲が広げられるなどの優遇がありますので、詳しくは自治体の窓口で訊ねてください。

どうしても苦しい時は奨学金を利用

奨学金の種類 返済義務 内容など
日本学生支援機構の給付型奨学金 なし 成績・親の収入や資産など一定の基準で審査されます。
地方自治体の奨学金 種類による 市町村などに申請すると給付型・貸与型で支援されます。
民間団体・企業の奨学金 種類による 民間団体や民間企業が設ける基準で運用され、給付型・貸与型があります。
学校独自の奨学金制度 なし 学校独自の基準で奨学金が免除や減免などされます。
高等教育の修学支援新制度 なし 親の世帯収入が380万円程度までの高校生が対象ですが、適用される学校に限りがあります。

奨学金は種類によって審査要件支援金の額が異なります。必ずしもすべての学費を奨学金でまかなえるわけではないため、給付型と貸与型を併用させたり、奨学金以外での支援制度を利用したりなどして家計を上手にやり繰りしましょう。

まとめ:子育て費用は余裕を持った計画を!

子育て費用の半分以上を占める教育関係費は、お子さんの将来に大きく影響を与えます。

だからこそ、お子さんが小さい頃から計画的にやりくりしてお子さんが進みたい道に出来る限り進めさせてあげる準備をしましょう。

今回はよくある進学パターンを4つに分けて、子どもが大学卒業までいくら費用がかかるのか試算しました。

お子さんが今日紹介したパターン通りに進学するかは分かりません。子どもを二人を育てる場合費用はもっとかさみ必要な収入も1000万以上になってしまいます。

収入は簡単にコントロールできるものではありませんが、支出はコントロールできますし上手く資産運用できれば教育費予算を増やす事も夢ではありません。

本記事をもう一度読み返し、お子さんの将来を経済面からサポートするための計画を立ててみましょう。

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