5歳になる男の子の母です。
最近、食べれられる物が増えてくるにつれて好き嫌いが増えてきました。
嫌いな物(「ピーマン」と「にんじん」)を無理矢理食べさせるのは可愛いそうだと思いますが、食べさせずに偏食になってしまうのも困ります。また、嫌いなものを食事に出さないようにするのは、過保護な気がしますし、わがままな子に育ってしまわないか心配です。
嫌いなものも食べられるようにするには、どのように対処するのが適切なのか教えてください。
(5歳息子の母親より)
今回は「食べ物の好き嫌い」に関する質問をいただきました。
「子どもの好き嫌い」は多くのパパママが頭を悩ませる問題ですよね。
HowKids編集部では、この問題を解決するためにベテランのパパママにアンケートを実施。
集まった40件ほどの回答を分類した結果、大きく3つの意見に分かれました。
上記3つの意見について、HowKids編集部が厳選したパパママのベストアンサーをそれぞれ紹介します。先輩パパママの体験談を参考にお子さんに合った食育方針を見つけてください。
工夫をすることで、嫌いな食べ物を克服する
まず最初は「分析・工夫をすることで嫌いな食べ物を克服する」方法。
参考になるベストアンサーを2つ紹介します。
好き嫌いが早く無くなってほしいという方は①、負担にならないように徐々に克服させたい方は②の方法を選ぶのがおすすめです。それぞれ具体的に見ていきましょう。
嫌いな理由を分析し、嫌いな部分を取り除く
ものかのさん(30代女性)/長女(小2)
好き嫌いと一言に言っても、その理由は様々です。
けれど、子供の場合、そんな理由を分析したり、まして言葉で表現したりすることは難しいですよね。
一般的な子供の好き嫌いについて考えるのもよいですが、大事なのは親御さんが自分の子供のことをしっかり見てあげることです。
(一般的な)子供の好き嫌いについての傾向性はあくまで参考程度にするのがよいでしょう。
自分の子供の好き嫌いを親御さんがしっかり分析できれば、よい解決につながります。
次に具体的な方法を紹介します。
●色(見た目)が苦手な子
食べ物としてスーパーに並ぶ時点で、大体の食べ物は食欲をそそる色になっています。(青色のような食欲をなくすような色はほとんどないですよね)
一般的には赤色は食欲をそそる色ですが、子供によっては赤色で血や内臓を連想してしまい食べにくいという子もいます。また、植物にある根っこや筋を苦手とする子もいます。
【対策方法】苦手な部分を取り除いてあげる
【判別方法】これが原因の場合は、子供も表現しやすいです。また食べるときに食べ物をまじまじと見つめる様子がよくみられる場合もこのパターンの可能性が高いです。
●味が苦手な子
野菜嫌いの理由トップは苦みです。これも正直仕方ないところがあります。基本的に人の舌は甘味をおいしいと感じ、苦みはまずい(あるいは害がある)と感じます。
【対策方法】味つけを強い味でかき消す方法がメジャーです。カレーなどの強い味の食べ物に混ぜることで解決する可能性が高いです。
また、味についてはある程度我慢することもできますので、本などの読み聞かせや、体への良い影響を教えることでいやいやながらも食べられるよう
になる可能性があります。
【判別方法】口に含んでから出す場合のほとんどはこれです。また、子供も苦いなどの表現ができますので、分かりやすいと思います。
●食感が苦手な子
食感については、調理方法に左右されますので、親御さんの料理の腕が関係することがあります。
特に野菜は独特な食感をしているものが多いので、一般的には野菜嫌いには食感嫌いも一定数います。
【対策方法】硬さが苦手な場合には、じっくり煮込んであげる。下ごしらえでレンジであらかじめ加熱したり、炒めておいたりすると効果的です。
【判別方法】口に含んで一定数噛んでから出す場合はこのパターンです。外食や惣菜だと大丈夫なのに手作りだと食べないという場合もこのパターン
が考えられます。
※なお数回噛んでから吐き出す場合、アレルギーの可能性もあります。アレルギーの場合、口に含んだ後の口内や喉の違和感に対して嫌悪感を抱いているため吐き出しています。食感を変えても似たような現象が起こる場合は特に、注意が必要です。
●匂いが苦手な子
匂いは非常に難しいです。なぜなら、敏感さが人によって大きく異なるからです。またいい匂い、嫌な臭いというのも人によって違います。
見た目や硬さは親御さんも簡単に判別して「対策しやすい=理解しやすい」のですが、匂いは理解できない場合もあります。
なおかつ子供も表現しにくい(分かりにくい概念です)ので気付くことが困難です。
【対策方法】下味のつけ方や強めの香辛料を使うことですが、それはかえって体に悪いこともあります。
また、匂いで嫌っている場合、いわゆる防衛本能による回避行動の可能性も考えられますので、この場合は無理に食べさせるよりは待つ方がよいと思
います。
【判別方法】消去法によってたどり着くことが多いと思います。
以上のように、嫌いの理由は様々な観点で考えることができます。
いろいろ方法は試したのにどうしても解決しないという方は、子供ともう一度向き合って、通り一遍の対策ではなく、その子供自身の理由をしっかり聞いてあげるとよいでしょう。
そのうえで、その子供にあったベストな解決方法を考えていきましょう。
早く子どもの嫌いをなくしたい場合は、子どもの嫌いな理由を特定してピンポイントに嫌いな部分を取り除いてあげるのがおすすめです。
嫌いな理由は味だけではなく、匂い、見た目や食感である場合など子どもによって嫌いな理由は様々。
それぞれどんな判別方法があるのか、もののかさんの意見を参考に表にまとめたのでご覧ください。
嫌いな理由 | 判別方法 | 対策方法 |
見た目 | 食べる前にまじまじと見つめている | 小さい間は、調理によって色や形を変えてあげる(成長と共に見た目による抵抗感はなくなりやすい) |
味 | 口に入れたらすぐに吐き出す | 強めの味付けや調理によって、味の特徴をなくしてあげる |
食感 | 数回噛んでから吐き出す | 硬さが嫌いな場合は火を通す時間を長く、逆の場合は短くする |
匂い | 見た目、味、食感ではないとき (判別が難しいため消去法により判断) |
基本は食べれるようになるまで待つ、下味や香辛料を強めにする |
このように、嫌いな理由によってその食べ物が食べられるようになる克服方法は変わってきます。お子さんと向き合い嫌いな理由を上記の表を参考に適切な対策を取るようにしましょう。
子どもは大人より感覚が敏感なため、嫌いな食べ物が沢山あるのは当然。「うちの子は偏食が多い」と悩み過ぎないよう、冷静に分析して対処法を考えてみてください。
時間をかけて徐々に克服していく
Happy28さん(40代女性)/長女(年長)・長男(2歳)
我が家も同じように子どもの好き嫌いに悩んでいましたが、1番効果があったのが、嫌いなものを食べることの努力へのハードルを下げてあげることでした。
好き嫌いの克服法の中でよくあるのが、形を変えてでも食べさせることだと思います。しかしこれでは、食べ物の形状の分からないものを食べられたとしても子ども自身が苦手なものを克服出来たという自信には繋がらないのではないかと思います。
我が家の娘は野菜全般が苦手なのですが、我が家では、野菜を細かくしたり、すり下ろしてお肉などに混ぜたものとは別に、特別扱いせずに普通に料理したままの形状で娘のお皿に並べるようにしました。
野菜嫌いだからと特別扱いせずに、野菜料理が当たり前のように出る状態を受け入れさせることが最初のハードル。
そして次は「匂いを嗅いでみる」「口に入れてみる」「噛んでみる」と、食べられるようになるための小さなハードルを増やして、食べる事を強要しないようにしていました。
そして、仮に口にさえ入れられない日があっても「今日はダメだったね、残念」と軽く流します。反対にその小さなハードルを達成出来たときには大袈裟に喜んでみせて、褒め称えます。
すると、最初は嫌がってお皿の端に追いやっていた野菜も、だんだんと副菜として認識するようになり、小さな成功体験により苦手意識が軽減されていったようです。最終的には、克服できる野菜も増えていきました。
また、その一連の匂いを嗅ぐ、口に入れてみる、噛んでみる、というステップを繰り返して行くにつれ、私自身も娘がどうしてその野菜を苦手だと思うのかを把握することが出来るようになったように思います。匂いが嫌いならば濃いめに味付ける、食感が嫌いなら食感が変わる調理方法をためしてみる、親にとっても食べさせるための発想の転換のきっかけにもなり、料理のレパートリーが増えました。食べて!食べて!と食べることを強要するよりも、苦手克服のために一緒にハードルを乗り越えていく、そうすることで食事の時間は楽しい時間へと変わり、苦手野菜も楽しい気分に乗せられて食べられるようにもなってきました。
親子で楽しく乗り越えて行けるといいですね。
この方法は、段階を追って子どもの許容範囲を広げていく方法です。Happy28さんの場合は、下記の4段階に分けているようです。
- 食卓にある事を当たり前にする
- 匂いに抵抗感をなくす
- 口に含んで味に慣れる
- 噛んで食感に慣れる
この段階分けの方法で好き嫌いを克服する最大のメリットは、子どもだけでなく皆さんもストレスレスで実践できることです。
「食べること」をゴールにすると「食べられないこと」によるストレスが大きくなりますが、例えば「②匂いに抵抗感をなくす」段階の場合、匂いを嗅ぐだけで、親子がゴールに近づいていることを実感できます。
またこの方法ではHappy28さんのように、一段階クリアしたら褒めてあげるのも大切。
克服すれば親に褒めてもらえると分かれば子どものモチベーションがアップし、次の段階や別の食べ物の克服がしやすくなります。
この方法は時間がかかりますが、ストレスなく、ゆっくりチャレンジしたい方におすすめの方法です。
食べれるようになるのを気長に待つ
まきっちょさん(40代女性)/長男(小6)・長女(小3)
食べ物の好き嫌いがあるのってそんなにいけないこと?
お子様が小さいときは、食べ物の好き嫌いってとっても気になりますよね。
うちの子も、子どもが小さい頃は本当に好き嫌いが多く、偏食のレベルでした。
下の娘に至っては、小学校に入っても、主食がお菓子で、給食でなんとか栄養バランスを採っていたように思います。
しかし、成長ととともに、体力がついてきて、運動量も増えます。また、味覚も成長してくるのか、食べられるものが増えてきます。
上の男の子は、緑黄色野菜等の緑色のものが嫌いで、無理やり食べさせるとえづいてましたが、こちらも最近(小学校6年生です)になると、何も言わずに完食してます。
いろいろ経て思うのは、子どもたちもいろいろ経験したり、食べたりして味覚が変わったりするということです。こちらも味付けを工夫したりしていろいろしているうちに食べられるようになるということです。
そのためには、食べるか食べないかに関わらずとりあえず食卓に並べてみるというのも大事かと思います。また、食べなかったとしても決して責めず、「この味が嫌いだったのかな?」というぐらいに考えて、また別のものを食べさせたらいいと思います。
いくら私たちが頑張っても、自分でお金を稼ぐようになったり、お小遣いを手にするようになると、好きなものを食べたりするわけで、そのすべてをコントロールできるわけではありません。
そこまで神経質にならずに、「食べる楽しさ」をまずは伝える、雰囲気を作るというのが親の役目かなと思います。
ちなみに、結婚当初好き嫌いが多くて、野菜なんてほとんど食べなかった主人が、結婚してから頑張って野菜をだしていたら、今では野菜なしではいられない体になりました。このように大人になってからも、好き嫌いは無くせます。
人生は長いです!特に食については一生のことなので、子育て期だけで考えず、長い目でとらえることが大事かなと思います。
食の好き嫌いは、早く直しておくに越したことはありませんが、皆さんも大人になってから食べられるようになった食べ物が少なからずあるのではないでしょうか?
まきっちょさんの意見からは「子どもの偏食に小さいうちから悩む必要はない」という勇気を貰えます。
成長と共に自然に食べられるようになるのであれば、親子で無理をしながら食べる(食べさせる)のは必ずしも正解とは言えません。
特にピーマンやにんじんを代表とする苦みやくさみが強い野菜は、成長と共に克服するパターンが多い食材。こういった特有の食材だけでも、無理せず成長を待ってみるのも1つの選択肢です。
嫌いなものより好きなものにフォーカスする
Yukiko(20代女性)/オーストラリアの日系児童教員
嫌いなものをなくすよりも、好きなものの質を上げましょう。
例えば、「ピーマン・にんじん・トマトが嫌いだけど、ご飯・お味噌汁・魚・豆・葉野菜が好きな子」と「好き嫌いなく何でも食べられるけど、好きな食べ物はフライドポテトで、コーラと一緒に毎日おやつに食べている子」だったら、健康に安心できるのは前者の子だと思うのです。
嫌いなものは仕方がありません。大人でも多少、ネギが嫌だとか、グリーンピースをよけるとかをしている人たくさんいますし、何百の食材があるなかでたった数個の嫌いなものがあるくらいであれば栄養的には問題ないと思います。
嫌いなものよりも「何を好んで食べるか」が将来の習慣におおきく繋がると思います。
塩濃い物を食べる食習慣は、より塩濃いものを求める人生になります。また、ジュースを毎日飲む習慣はジュースが当たり前の日常になってしまいます。反対に、蒸したサツマイモや、焼きトウモロコシをおやつにしていれば、素材の味を好むようになりますし、お茶を飲む習慣があればジュースを大量に飲む子どもには育たないはずです。
一番多く量を摂取し、食べることに喜びを感じるのは、やはり好きな食べ物のおかげです。
- 好きな食べ物が健康的な場合は、似たようなものを挑戦していき、徐々に好きなものの輪を広げるだけでも十分健康的な食生活が習慣づけられます。
- 好きな食べ物があまり健康的じゃない場合でも心配いりません。例えば、生クリームたっぷりのケーキが好きな場合でもイチゴの美味しさから少しずつフルーツ好きに誘導してあげたり、油が多いウインナーが好きな場合も、朝食やお弁当で目玉焼き・卵焼きにアレンジを加えたり、魚肉ソーセージに変えてみて少しずつ魚に興味を持たせる事もきっとできると思います。
5%の嫌いなものを潰すよりも、95%中の「何を好きで食べるのか」の部分が、おそらく重要だと思います。嫌いなものを無理して食べても、誰もハッピーじゃありません。
食事は、美味しく、楽しく、幸せに(^^♪
好き嫌いせずなんでも食べれる大人になってほしいと思うのは親心として当然です。
しかしなぜ、好き嫌いをしない方がいいのでしょうか?
「好き嫌いがあっても、困ることはほとんどない」というのがYukikoさんの意見です。
Yukikoさんの意見の通り、食事の一番の目的は、健康に過ごせる体を維持する事。そうであれば、全ての食品を食べられるようになる必要はないはずです。
「好きな物を中心に食卓を作り、子どもバランスの良い食事をとる事を覚えていく」という食育が出来れば、子どもは健やかに育ちます。また食べる事自体が好きになれば、果敢に新しい食品にチャレンジするようになっていくでしょう。
そう考えれば、まだ子どもが小さいうちは「いかに好きな物を増やしつつ健康的な食生活を作れるかにフォーカスする」のも1つの食育方針として正しいと言えます。
まとめ
今回は、皆さんが子どもの食べ物の好き嫌いにどう向き合えば良いかの参考になる意見を紹介しました。
今回紹介した意見と方法をもう一度確認しましょう。
4つの考え方・方法を紹介しましたが、忘れないでいただきたいのは子どもにとって食事は「栄養を摂取する時間」であり「家族のコミュニケーションの時間」でもあるという事です。
「栄養を家族で楽しく取る」事は、好き嫌いを無くすこと以上に大切です。
お子さんにとって大切な食事の時間をより楽しくするためにはどうしたら良いか?という考え方で食育方針を決めましょう。
今回紹介した意見を参考に、お子さんの好き嫌いの克服をどう対処すれば良いか考えてみてください。