スポーツひろば代表
西薗 一也 / Kazuya Nishizono
■公式HP:http://www.sports-hiroba.com/
東京都出身。一般社団法人子ども運動指導技能協会理事。株式会社ボディアシスト取締役。スポーツひろば代表。日本体育大学卒業後、一般企業を経て家庭教師型体育指導のスポーツひろばを設立。運動が苦手な子どもを対象にした体育の家庭教師の事業をはじめとして、子ども専用の運動教室の開設や発達障害児向けの運動プログラムの開発など、新たな体育指導法の普及に幅広く取り組む。著書に『発達障害の子どものための体育の苦手を解決する本』(草思社)や『うんどうの絵本』『かけっこの絵本』『すいえいの絵本』『ボールなげの絵本』(あかね書房)がある。
体操の基本を学べば、様々なスポーツに活かせる能力が育つ
――子どものときに体操を習うメリットはどんなものがありますか?
まず『体操』という漢字を見てください。「体を操る」と書きますよね。やはり体を動かす基本を学ぶといえば体操だと思います。
でんぐり返しを例にすると、重力に対して回転をする。逆立ちの場合は、重力に反して逆さになる。どちらも日常生活では、まずしない動きですよね(笑)。そういう普段やらないような動きをすることは刺激になります。刺激をたくさん体験することにより、さまざまな体の動かし方を学ぶことができます。刺激は、運動神経を向上させるという研究結果もあるんですよ。
体の動かし方の基本ができていると、いつか子どもがやりたいと思うスポーツが見つかったときに、その基本を活かすことができるのです。「どうすればどう体が動くのか?」ということを理解できているか、できていなかだけで伸びしろが全然違ってきます。プロの実業団のバスケットボール選手やバレーの選手でも、トレーニングで器械体操を取り入れているくらいです。
また、体が瞬間的に動くという瞬発系の力ですが、それがあるかないかによって、怪我のリスクにも影響します。
例えば、転び方。あぶない!と思った時に、瞬発的に手をついて転べるかどうか。手をつくことが出来なかったり遅れたりすると、たちまち顔から転んで大怪我に繋がってしまうこともあります。最近の子ども達は、運動不足で体が硬かったり、遊びや活動の機会が少なくなって自分の体をコントロールできていない子が多くなってきているんですよね。
そうした意味でも運動の基本を学べて、ほどよく筋力と柔軟性もつけられる体操の効果は大きいと思います。
体操教室は、神経成長が著しい幼児期から通って楽しく学ぼう
――体操は何歳くらいから習うといいですか?
しっかりと体操をするのであれば、幼児のうちに始めるといいです。幼児期は、神経系が著しく成長する時期と言われています。この大事な伸び盛りの時期に、本格的にやらせたい競技を絞りつつ、子どもに楽しく学ばせます。そして、運動神経が著しく伸びるゴールデンエイジと呼ばれる9歳前後の時期から、ガッツリと学ばせるのがベストだと思います。
ただ、もしも本気で体操選手に育てたいという気持ちがあるのでしたら、もっと早い段階ではじめた方がいいですね。例えば、サッカー選手なんかで良く聞くのは、子どもが立ち始めたときから、さっそくサッカーボールを持たせていたとか言いますよね。これを子育てに採用するかどうかは難しいところで、仮に乳幼児から体操教室に入れたとしても、ある程度先生の指示が分かるようにならなければ上手く吸収ができない恐れもあります。
よちよち教室などもありますから、通っていただくのは全然良いと思うのですが、その時期だと結局お母さんやお父さんがメインで子どもの体を動かすのですよね。逆に、ゴールデンエイジの9歳くらいから急にはじめようと思っても、すでに子ども自身が運動に興味がなかったり、興味をもったけれど時期が遅すぎて伸びしろが少ないなんてこともあります。
そうした点も考慮すると、やはり子どもが楽しく学べて神経の成長も著しい幼児期のうちから体操教室に通い始めることがベストだと思います。ただ、幼児期やゴールデンエイジといっても、子どもの成長には個人差があります。子どもの年齢や同じ歳の子に合わせて習いはじめの時期を決めるのではなく、わが子の体の大きさや発育状況に合わせてはじめさせてあげることが大事です。
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