子どもの運動神経を伸ばすタイムリミットは〇歳!?専門家に聞いてみた

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子どもの頃、クラスメイトにとっても運動神経がよくて注目されている子がいませんでしたか?わが子にはぜひ抜群の運動神経で他の子と差をつけたい!なんて思う親御さんもいるのではないでしょうか?
そこで今回、運動神経を伸ばすために最適な年齢は何歳なのかスポーツひろばの代表であり、体育指導の専門家でもある西薗 一也氏に直撃インタビューしてきました。
取材協力者プロフィール
スポーツひろば代表
西薗 一也 / Kazuya Nishizono
■公式HP:http://www.sports-hiroba.com/
東京都出身。一般社団法人子ども運動指導技能協会理事。株式会社ボディアシスト取締役。スポーツひろば代表。日本体育大学卒業後、一般企業を経て家庭教師型体育指導のスポーツとして、子ども専用の運動教室の開設や発達障害児向けの運動プログラムの開発など、新たな体育指導法の普及に幅広く取り組む。著書に『発達障害の子どものための体育の苦手を解決する本』(草思社)や『うんどうの絵本』『かけっこの絵本』『すいえいの絵本』『ボールなげの絵本』(あかね書房)がある。

運動能力に年齢の壁はない!幼少期に苦手でも気にしないこと

――子どもの運動神経を伸ばすために最適な年齢はありますか?

正直、ないと考えています

私も日本体育大学を卒業し、今では運動指導者という立場にいるので、一見運動能力がすごく高い人のように思われるかもしれませんね。しかしこれは本当の話ですが、小学校時代はとりわけ得意でもなかったですし、何よりその頃は肥満児だったんです!(笑)

もともと動くことは好きでしたが、すごく運動神経が良かったか?といわれるとそうではありませんでした。運動指導者といっても幼少期は意外とそんなものなのです。

運動能力を伸ばすためには、やはり「運動をいかに好きにさせるか」というところが重要です。私自身、運動を好きになったきっかけが漫画『スラムダンク』の影響だったのです(笑)

当時、人気漫画だったスラムダンクの影響で「バスケ=かっこいい!」という空前のバスケットブームが巻き起こっていました。それで私もバスケを初めてみたんです。そしたらすごく面白くて、すっかりハマって、とにかく夢中でなって練習しました。

始める年齢が早かれ遅かれ、人はハマれば必死で努力するので、誰でも「遅い」ということはないだなと身をもって体験しています。

子どもがハマる種目が見つかれば運動能力は一気に向上する

――何歳からはじめても運動能力に伸びしろはあると考えて良いでしょうか?

そう考えています。

確かにオリンピック選手や日本代表選手を目標にさせるのなら、歩き始めのとても小さい時期からはじめるに越したことはありません。しかし、子どもにオリンピック選手を目指して欲しいのかといえば、そこまでは考えていない方が大半なのですよね。最終的に何を目的として運動神経が良くなってほしいのかが肝心です。

両親が運動を経験して楽しさを知っているから、子どもにも経験させたいと思っているのか。それとも両親とも運動神経が良くないから、子どもには同じようになってほしくないと思っているのか。子どもに運動をさせる上で、いろいろな理由があるかと思います。

ですが最適な年齢って、大きく捉えると私は「ない」と思っています。

「ゴールデンエイジを過ぎたからうちの子は運動が苦手なままだ、残念だ。」と嘆かずに、子どもが「やりたい!」と言い出したときから始めさせても全然遅くないと思います。子どものやる気度が一番運動能力の伸びしろに繋がるものなので。

ズバリ〇歳!と的確な年齢を言えないのは申し訳ないですが、子どもの将来的を考えるなら、いかに子どもがハマれるものを見つけてあげられるかが、親として出来る最大のポイントではないでしょうか。

そして、その種目の魅力をきちんと教えてくれる人と出会えるかどうかもカギになってきます。

いい指導者との出会いがターニングポイントになることも

――指導者によっても子どもの運動能力に差がつくのでしょうか?

私は中学生時代の体育教師との出会いが、自分の道を変えるターニングポイントになりました。プロの選手とかもそうですが、いいタイミングでいい指導者に出会っているんですよね。どんなに厳しいことがあっても、心の奥底ではあの指導者がいたからここまで出来るようになったんだ!と思っているはずです。

だから、始めるのに早いとか遅いとかは、正直そんなに関係がないと思うのです。私の知人で、50歳オーバーの水泳のインストラクターの人がいるのですが、彼も今まで水泳なんて一切やったことがなかったそうです。ところがたまたま家の近くに水泳教室ができたので、試しに体験教室に参加してみたらすごくハマってしまったと。50歳を超えてから通い始めて、インストラクターにまで上りつめたわけです。すごいと思いませんか?

運動って人生が充実する一つのツールでもあるので、やっていたほうが青春時代の仲間が出来たり、きつい練習に耐えて忍耐力を養うこともできます。そういう意味では早い段階から始めるのがベストだと思うのですが、強制してやらせることでもないと思うんです。

私は今、専門学校と大学の教師もしていますが、その中で感じるのは運動が嫌いという学生が多いことです。そういう子たちは大概、運動は気合と根性が大事だと教育されてしまったために、「気合と根性のない自分には無理だ。」と固定観念がついてしまっています。そうではなくて運動を教えるときに、きちんと学問として教えてくれる指導者に出会えていたら、絶対に運動嫌いにはなり得なかったと思うのです。

なので繰り返しになりますが、最適な年齢というのはなくて、いい指導者に出会えること、そしてハマるようなきっかけがあること。これが子ども自らの力で運動神経を養う最大のポイントになると思います。

 

西薗一也氏直撃インタビューvol.7

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