ゴールデンエイジは嘘?運動神経抜群になるスポーツ早期教育のイロハ

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子どもに習い事をさせたいと考えたときにまず思い浮かぶのが、スポーツではないでしょうか。運動能力の発達には「ゴールデンエイジ」と呼ばれる黄金期があり、小さい頃にスポーツを経験させたいと考えている方も多いはずです。

  • 子どもにはゴールデンエイジの間に運動させた方がいいの?
  • そもそもゴールデンエイジは本当なの?
  • 幼児期にさせた方がいいスポーツを知りたい。

上記のような疑問をお持ちの皆さんのために、本記事ではスポーツにおけるゴールデンエイジについて解説します。

この記事を読み終える頃には、スポーツの習い事を今お子さんにさせるべきか分かるようになるでしょう。
最後まで本記事を読んで、お子さんの運動能力を育てることの参考にしてください。

子どもの運動能力に影響するゴールデンエイジとは


ゴールデンエイジという言葉は多くの人にとって聞き馴染みのある言葉です。しかしゴールデンエイジの正体がどんなもので、いつからいつまでその期間なのか分かっている方は少ないのではないでしょうか?

ここでは、ゴールデンエイジの理解を深めていきましょう。

ゴールデンエイジ=神経発達の最盛期

ゴールデンエイジは簡単に言うと、子どもが新しい動きや複雑な動きを覚えやすい時期です。

私たち人間は足や手などの体を動かす時に、下記のステップをたどっています。

  1. 脳で動かしたい動きをイメージする
  2. 脳が動かしたい体の部位(手や足)を決める
  3. 神経を通し、➋で決めた部位に指令を送る
  4. 指令を受けた部位が動く

子どもの場合、➌で必要な神経が発達しきっていません。3,4歳の子どもはよく物を落とす事がありますが、これは神経の発達が不十分なことが理由に挙げられます。意図した位置に手を動かせなかったり、体の2つ以上の部位に集中する事が難しく感じます。

神経の発達は生まれた時から進みますが、特に4歳から急速に発達し始め12歳ごろに成人と同程度まで成熟します。下記が神経系の発達をグラフにした図です。

図引用:少年期の身体的特徴

神経の発達により人は出来る動作を増やしていくので、この4~12歳の間に子どもはどんどん体の動かし方を洗練させていきます。スポーツの世界ではこの期間をゴールデンエイジと呼び、運動を積極的にする事が推奨されています。

運動が神経の発達を助ける

神経発達が盛んな時期をゴールデンエイジと言いますが、この期間にスポーツをすべきと言われるのはなぜでしょうか?

これは神経がトライ&エラーを繰り返し発達していく事に関係しています。例えば赤ちゃんが歩けるようになるには、何回も体重移動を工夫し、たまたま上手くいった部分の神経が発達し意識しなくても自然にバランスを取ってくれるように神経が発達します。これと同じ事が日常生活レベルでも、コップを持つ、自転車に乗る、タイピングをするというような全ての動きで行われ、人は体の動かし方を洗練させています。

理論を説明すると難しくなってしまいますが、おもりを使った筋トレで一回目は出来なくても何回もトレーニングするうちに上がるようになるのと似たようなイメージだと考えてください。

スポーツの場合、日常生活では必要のない動きを求められることが多々あります。そのため日常生活では使わない神経を発達させるために、神経発達の時期にスポーツ用の神経を発達させる事が推奨されているのです。

ゴールデンエイジは嘘?

ゴールデンエイジに関しては賛否両論あります。

4~12歳の子どもには出来ない動きがたくさんあり、ステーキを切ったりボタンを付けるなどの日常生活のほぼ全てが神経発達の訓練になります。この大人がやっているほぼすべての動きを習得しつくすのが12歳と考える事もできます。

つまり否定派は、日常生活における神経が発達しきるのが12歳で、それ以降も訓練によっていつでも神経は発達するという意見を持っているのです。

ゴールデンエイジに運動させるべき?

ゴールデンエイジは賛否両論ありますが、子どもをお持ちの皆さんにとって知りたいのはゴールデンエイジに運動させるべきかどうかではないでしょうか?

結論から言うと、ゴールデンエイジにはスポーツを経験させるべきです。

もし、ゴールデンエイジの理論が嘘だったとしても好きな事への集中力が大人よりも優れている子どもは、大人よりもスポーツの上達が早いと考えられます。また幼児期にスポーツをさせると、「社会性が身につく」「忍耐強くなる」などの身体面以外でのメリットもあります。そのため子どもの頃から積極的にスポーツさせる事をおすすめします。

スポーツの習い後を幼い頃からさせるメリットは下記の記事でより詳しく解説しているので、興味がある方はご覧ください。

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ゴールデンエイジの子どもに習わせたいスポーツ3選

ゴールデンエイジは子どもの運動能力が大きく向上させる可能性を秘めているからこそ、習わせるスポーツも慎重になりがちです。子どもが楽しんでできるスポーツが一番効果が高いといえますが、ここではより基礎的な動きが学べるスポーツを3つ紹介します。

スポーツの習い事として人気の「水泳」

水泳は小学校での授業でも習うため、スポーツの習い事として人気です。水泳を習うと手足の動きに合わせた呼吸により、動作をコントロールするための神経系が鍛えられます。また、集中力や思考力が養われますし、タイムや距離などの具体的な数字目標が掲げられチャレンジ精神達成感も得られます。

スポーツの習い事として始めやすい「体操」

体操は、基本の姿勢や基礎的な運動から習うため、始めやすい点が保護者の間で人気の理由です。自分の体で「立つ・座る・歩く・走る・寝転ぶ・起きる・回る ・転がる」などだけでなく、専用の道具を使って「持つ・投げる・転がす・渡る・ぶら下がる」など、多様な動作を実践しながら運動能力を高めます。

自宅でも導入できる習い事「トランポリン」

バランスを取りながら跳んだり空中で回転したり、自分で跳ぶのとは違う感覚で運動能力を養えるのがトランポリンの特徴です。基礎的な動作は跳ぶのみとシンプルなため、2歳頃からでも始められると注目されています。対象となる教室がない場合は、自宅で実践できるのも魅力です。

ゴールデンエイジの子育ての4つの注意点

子どもは1つの事への集中力は大人よりも高い反面、持続時間は短いという特徴があります。そのため子どものやる気を維持するために工夫しなければ、お子さんの運動意欲向上は期待できず運動能力を向上させるスピードが遅くなってしまいます。

せっかくのゴールデンエイジを有効活用するために、子どもに接する時の注意点を4つ紹介します。

声掛けをする

小さいお子さんであればあるほど、目的なく遊びます。そういった子どもは自分で運動をするモチベーションがありません。そこで、「○○くんはできるかな?」などの声掛けをすることで、「出来るようになりたい!」という意欲を湧きたてられます。

また、運動を促して子どもが出来た後のフォローも大切です。褒めてあげたり、次の目標を設定してあげる事で子どものやる気はどんどん高まっていきます。

なるべく複数の運動を経験させてあげよう

子どもは1つの事に集中するのが苦手です。簡単に言うと飽き性なので、子どもが飽きた時は別のスポーツや運動を体験させるのも1つの手です。

忍耐力が育たないからと、やめさせる事を躊躇する気持ちは分かりますが、忍耐力は中学や高校からでも育てられます。特に幼児期の間は、子どもが興味を持っている事に打ち込ませる事で深い集中と多様な体の動かし方を学ばせる事に集中するのがよいでしょう。

また、いくかのスポーツを掛け持ちする事で、それぞれのスポーツにしかない体の動かし方を総合的に体得できるという利点もあります。1つに絞らない事が、結果的に将来子どもの総合的な運動能力を上げると考えれば、複数の運動をさせる心理的なハードルも下がるでしょう。

子どもの楽しさが一番重要

子どもの運動能力を向上させるよりも、運動を楽しむことが大切です。

親として子どもに運動神経抜群になってほしい気持ちも分かりますが、無理強いしてつまらない事を続けさせるのは効果的ではなく、子どもの精神衛生上もよくありません。子どもがプレッシャーに感じないように、子どもが本当に楽しんでいるかを常に確認しましょう。

子どもが楽しめる工夫を紹介してきましたが、子どもに楽しんでもらい”自分も”楽しもうというマインドが一番大切です。お子さんと一緒に親も楽しむ事が出来れば、幼少期の運動は十分成果のあるものになるでしょう。

年齢ごとに意識する事を変える

ゴールデンエイジにはより細かく3つの段階に分ける考え方があります。下記の表をご覧ください。

年齢 運動を通して学ぶ事 おすすめの運動
プレゴールデンエイジ 2~6歳 楽しんで体の動かし方を学ぶ かけっこやボール投げなどの体を使った遊び
ゴールデンエイジ 6歳~10歳 達成感のあるスポーツでチャレンジ精神を養う 水泳、体操などの基礎的なスポーツ
ポストゴールデンエイジ 12歳~14歳 忍耐力をつけスタミナとスキルを鍛える 子どもが好きなスポーツ

このように同じゴールデンエイジでも年齢によって学ぶ事や運動が変わってきます。

水泳など本格的なスポーツを始めるなら、ゴールデンエイジに入る6歳~や、少し前の5歳前後早くても4歳からが最適です。まずはお子さんが学ぶべき事をしっかりと身に着けさせてから次の段階に進むようにしましょう。

スポーツ以外でも成長できるゴールデンエイジの「遊び」

ゴールデンエイジという言葉が有名になった背景には、子どもの運動不足があります。昔に比べ体を動かす遊びが減り、ゲームなどに遊びのスタイルが移行したことで成人後の運動能力が落ちていると言われ始めたのです。

体を動かした昔ながらの遊びは、スポーツの習い事に匹敵するほど運動能力を向上させるトレーニングになります。

ここでは運動能力向上に効く、昔ながらの体を動かす遊びを紹介します。ぜひ家族やお子さんの友達と一緒に試してみてください。

楽しくて夢中になれる「鬼ごっこ」

鬼ごっこは、鬼役の子どもからひたすら走って逃げる一番手軽な遊びです。スリリングな楽しさもあり、子どもが夢中になれます。鬼や別の人の動きを瞬時に捉えて走り出す瞬発力に、鬼の動きに合わせて動く反応能力が鍛えられます。

※鬼ごっこについては、体育指導の専門家「西薗先生」も脳機能を上げる遊びとしておすすめしています。

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走って登って楽しく逃げる「たかたか鬼」

鬼より高いところにさえ逃げればつかまらない鬼ごっこ遊びです。鬼の合図で新しい逃げ場をに見つけなければならないため、普通の鬼ごっこに加え瞬時の判断力が求められます。また高い所を移動し続ける動きもあるため、自分と物体の位置関係が適切に測れる定位能力もつきます。

リズムにのって楽しく「ゴム跳び」

平ゴム1本あれば、室内でも行えるゴム跳び。向かい合う2人の手や足に欠けられた2重のゴムを使って、跳んだり足を開閉したりなどして遊びます。バランス能力はもちろん、歌に合わせても遊べるため、リズム能力や動作のバランスと力加減に関係する連結能力などのコーディネーション能力がつけられるでしょう。

バランスを取ってアクティブに「けんけんぱ」

けんけんぱは一見単純ですが、バランス能力やリズム能力が鍛えられる子どもの運動能力を育てるには最適な遊びです。「けんけん」では片足を、「ぱ」では両足を使って遊びます。棒などで地面に輪っかを描いたり、専用のリングを使ってどこでも出来るのも嬉しいポイントです。

走ったり止まったりして反応よく「だるまさんが転んだ」

目隠しをしている鬼が「だるまさんが転んだ」という間に鬼から離れ、鬼が振り向いた瞬間に動きを止める遊びです。自分の動きに集中しながら鬼の動きにも意識を向けなければならないため反射神経が高まりますし、動きを上手く止めてキープするバランス能力も身につくでしょう。

まとめ:ゴールデンエイジに囚われすぎずに楽しく運動を!

ゴールデンエイジは子どもの運動能力を効果的に育てるチャンスです。その理論には諸説ありますが、現代の子どもには運動する場所も機会も数十年前に比べると減っており、幼少期の運動は積極的に取り入れるのがおすすめです。

最後にゴールデンエイジの子どもにおすすめのスポーツの習い事を確認しておきましょう。

ゴールデンエイジでは、運動の楽しさを学び大人になってから困らない運動能力向上を目的とするべきですが、一番重要なのは子どもが楽しむ事です。

お子さんの運動能力を上げるサポートをしながら、親御さん自身も一緒に楽しめるのがベストなゴールデンエイジの過ごし方と言えるでしょう。

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