これからの時代に必要な算数の力って?どんな勉強が必要なの?RISU Japan 代表 今木智隆インタビュー

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これからの時代にはどんな「算数の力」を育てる必要があるのでしょうか?
どんな勉強が求められるのでしょうか?

今回は、そんな疑問を解決すべく、子ども向けの理数系タブレット教材、RISU算数を提供する「RISU Japan株式会社」代表の今木智隆さんにお話をお伺いしました。

コロナ禍によるオンライン教育の広がりなど、教育の現場も大きく変化を遂げつつあります。そんな予測不可能な未来にも対応できる子どもを育てるヒントになるお話ですので、ぜひ参考にしてみてください。

取材協力者プロフィール
RISU Japan株式会社 代表取締役
今木 智隆 / TomotakaImaki
■公式HP:https://www.risu-japan.com/
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、デジタルマーケティング専門コンサルティングファームのビービット入社。金融・消費財・小売流通領域のサービスに従事し、2012年から同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した幼児から小学生向け算数教材で、のべ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーでもハイレベル層から、算数やAIの基礎知識を学びたいとオファーが殺到している。

集団授業はもう古い?コロナ禍が浮き彫りにした課題とは

――家庭学習型のタブレット「RISU算数」を通して、コロナ禍でも教育現場を身近に感じられたと思います。コロナ禍が浮き彫りにした教育現場の課題には何がありますか?

強く感じたのは、「日本のオンライン教育の遅れ」です。昨年、緊急事態宣言の発令にともなう休校措置を受けて、日本で初めてオンライン教育の本格的な導入が模索されました。

しかし、議論はなかなか進まず、教育の現場は大混乱。お子さんをお持ちの方は当時のことをよく覚えていらっしゃると思います。文部科学省の調査によると、2020年4月16日時点で、休校中または休校予定の1,213自治体のうち、双方向型のオンライン授業を行なっていたのはわずか5%だったというデータもあります。

――非常に少なかったんですね。

なぜ、これほどまでにオンライン教育の議論は紛糾してしまったのか。その背景には、「教室での集団授業」という古い学びの形が、今なお日本の教育現場のスタンダードである、という根深い問題が潜んでいると思います。

――「教室での集団授業」について詳しくお聞かせいただけないでしょうか?

「集団授業」という教育モデルは、今から遡ること200年前、産業革命下の西洋で生まれました。当時の教育は、工場で大量に均質な商品がつくられるように、学校という工場で大量の生徒をつくることを目標としていました。西洋で近代教育が始まってからの200年間、学校は社会で役立つ人材を効率よく育てる組織として機能してきたのです。

ーー集団授業のモデルは、あくまでも200年前の社会に合わせた形なんですね。

現代社会に合っていないのは、当然のことなんです。200年前と現代では、社会の構造も、それを支える産業の構造も大きく変わりました。時代は複雑化し、個人が選択できる職業やライフスタイルの幅は格段に広がりました。

変化を続ける現代社会にあって、200年前の教育を子どもたちに提供し続けることは、正しいとは言えないはずです。多様化するこれからの社会に必要なのは、集団ベースの一斉指導ではなく、子ども一人一人の個性に最適化された学習なのです。

タブレットだからこそ実現できた「一人一人に最適化した学び」


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ーー1人1人に最適化された学びとは、具体的にはどんなものですか?

私たちが提供しているタブレットサービス「RISU算数」が、そうした新しい学びを支援する教材です。2015年にスタートしたこのサービスは、個別フォロー・無学年制による学習を提供します。私たちは子ども一人一人の学習状況を、点数だけでなく学習に取り組んだ時間や頻度に至るまで逐一記録し、それに基づいて学習アドバイスをご家庭にメールでお送りします。

ーータブレットの利点を活かして、集団授業では不十分になりがちな生徒への個別フォローを行なわれているのですね。

教室での集団授業では、このように各個人のペースに合わせた学びを提供することは難しいのではないかと思います。しかしRISUでは、子ども一人一人に合った学びをそれぞれのペースに合わせて提供しているため、効率的な成績アップだけでなく、学ぶ楽しさまで感じることができるのです。

加えて、小学校入学前のお子さんにも対応できるよう、RISU算数の未就学児向けサービス「RISUきっず」も提供しています。

変容する社会を生き抜く「基礎力」を。オンラインスクールの取り組みから見えたこと

ーー他に、RISU Japanがコロナ禍で行った取り組みはありますか。

RISUでは、4月27日から5月27日までの約1ヶ月間、Youtube上で無料の「RISU小学生オンラインスクール」を開講しました。これは、新型コロナウイルスの影響で自宅学習を余儀なくされた子どもたち、特に小学校1・2年生を対象に、無償でオンライン授業を提供するサービスです。ありがたいことに、チャンネル登録者数5,000人以上、合計視聴回数は約13.9万回と、大変なご好評をいただきました。

ーーどのような理念でオンラインスクールを開校されたのでしょうか。

開校にあたって、私たちが軸とした考え方があります。それは、「コロナ禍で変容しつつある社会において、『どんな時代にあっても生き残れる人材』を育成するには、一人一人に寄り添った低学年教育こそが必要だ」というものです。

これは、オンラインスクールの校長を務めていただいた佐藤雅巳さんのお言葉なのですが、「低学年こそ『基礎力』が大事」という佐藤さんの考え方は、オンラインスクールのカリキュラムにも大きく反映されています。

ーー通常の低学年向け学習塾のカリキュラムとは大きく異なっていたんでしょうか。

「アウトプット主体」型の授業と「オンライン」という形態にどのように折り合いをつけるのか、ということを考えながら、オリジナル教材を社内で作っていきました。

たとえば、RISUオンラインスクールでは、授業を見ながら自分で問題を書き取るような活動を入れたり、自分で問題や文章をつくったりする活動も行ないました。オンライン授業は、どうしても子どもが受動的になりやすい授業形態です。だからこそ、「自分で考え、アウトプットする」という、「学習にとってもっとも基礎になること」を勉強する時間を設けたのです。

ーー利用者の方からは、どのような声が寄せられたのでしょうか。

リアルタイムでTwitterやFacebookを通して感想をいただいたのですが、概して評判がよく、一安心しました。SNSなどで寄せられた受講者の声を聞きながら難易度やカリキュラムを調整し、一方的な配信にならないようにしたことも、よかったのかもしれません。
休校中にもかかわらず、学び続けることができた」「動画での授業なのに、子どもが熱心に取り組んでいた」など、多くの好意的な反応をいただきました。

この取り組みを通じて、日本におけるオンライン教育の明るい未来を垣間見ることができたように思います。

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理数系教育が子どもの未来を拓く

ーーRISUの事業を見ていると、学びの形にこだわらず、理数系教育を多くの子どもに提供することに尽力しているように見えます。

そうですね。それは、RISU Japanのスローガンである「才能を、科学する」という言葉と関係があります。私たちの目標は、子どもたちがそれぞれのフィールドでそれぞれの才能を生かすことができる、そんな未来を提供することです。

では、そのように、子どもたちの将来の選択の幅を広げてあげるためにはどうしたらいいか。そこで重要になってくるのが、理数系教育だと思います。

ーー理数系教育は、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか?

算数を学ぶことによって、子どもたちは、「論理的思考力」を身につけることができます。そもそも算数は、論理的思考とセットになっている教科です。

たとえば、算数の式を立てるには、問題文の数字をひとつひとつ分析し、検討して、組み合わせることが必要ですよね。「なんとなく」で立てた式では、正しい答えは導かれません。分析に物事を考え、それを適切に使って式を立てる経験によって、子どもたちの中に論理的思考の土台が作られていくのです。

ーー算数学習とは、論理的思考のトレーニングなのですね。

はい。論理的思考力は、進歩し続ける科学技術を有効に活用し、人生を充実させていくためには、必ず持っておかなければならない能力です。

なぜなら、この力こそ、AIがまだ苦手としている分野だからです。個別具体的な状況に応じて正しい判断を下す作業は非常に複雑で、まだまだAIには難しい。

「AIに人間の仕事が奪われる」ということがよく言われますが、論理的思考を用いる仕事は、そう簡単にはなくならないでしょう。その意味で、論理的思考を鍛える理数系教育は欠かせないわけです。

ーーなるほど。来るべきAI時代にも有効な力を育んでくれるのですね。

加えて、算数が得意であることは、子どもの将来にダイレクトに関わってきます。そのことを裏付ける事実の一つが、日本が直面するエンジニアの大幅な人材不足です。

経済産業省は、「IT企業、およびユーザ企業の情報システム部門に所属する人材」を「IT人材」とし、その人材不足についての予想を発表しています。2015年の時点で、IT人材不足はすでに17万人。現在の中学生の子どもたちが働きはじめる2030年には、穏やかに見積もっても41万人、厳しく見積もると79万人のIT人材不足が見込まれています。

これは裏を返せば、「ITの知識を身につけておけば、将来職に困ることはない」ということでもあります。特にAI(人工知能)系とデータ解析系がかなり不足しており、現在、年収もどんどん上がっているそうです。

ーー理数系の力を伸ばしておくと、子どもの将来にとってプラスになることが多くあるわけですね。最後に、家庭でできる理数系教育の心がけなど、実践的な工夫を教えていただけますか。

「理数系教育」といって身構える必要はありません。日常生活は数であふれています。

例えば時計。時計は、多くの子どもがつまずきやすい範囲の一つです。でも、家庭の中で「ごはんは17時からなんだけど、ごはんの時間まで、あと何分あるかな」と時計を指差しながら聞いてあげるのはどうでしょうか。こうすることで、日常生活で常に数を意識することができます。

「継続は力なり」といいますが、生活の中に自然と算数を盛り込んであげることで、子どもの理数系に対する興味もぐんとアップするのではないでしょうか。

ーーなるほど。RISU Japanの取り組みから理数系教育の重要性まで、さまざまなことをお伺いすることができました。貴重なお話ありがとうございました!

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