新学習指導要領に盛り込まれたスローガン「生きる力」。皆さんは「生きる力」とは何か説明できますでしょうか?
- そもそも「生きる力」って?
- なぜ「生きる力」が必要なの?
- どうやって「生きる力」を育むの?
このような疑問を解決できるよう、本記事では「生きる力」について分かりやすく説明します。
本記事を最後まで読めば、「生きる力」の概要がつかむことができ、ご家庭で子ども達にどんなサポートをすればいいかも分かるようになるはずです!ぜひ参考にしてください。
生きる力とは
「生きる力」とは抽象的な表現ですので、ここでは学習指導要領を改訂するにあたって文部科学省が定義した「生きる力」を解説します。
「生きる力」とは知・徳・体のバランスの取れた力
まずは学習指導要領の「生きる力」を解説した文章を見てみましょう。
「生きる力」とは
- それは、知・徳・体のバランスのとれた力のこと変化の激しいこれからの社会を生きるために、
確かな学力、豊かな人間性、健康・体力の知・徳・体を
バランスよく育てることが大切です引用:文部科学省
つまり、バランスの取れた「知=学力」「徳=人間性」「体=健康・体力」を備えることを「生きる力」と定義されています。
それでは「知・徳・体」とは何か、具体的に各々みていきましょう。
「知」…知識を得ること、自分で考える力を養う
「知」は従来の教育で重要視されてきた基礎知識に加えて、知識の応用力も養います。
これまでの学習では、先生から与えられる知識を記憶したり、詰め込むだけの受動的なものが主でした。しかし、変化が激しい今の世の中ではこれだけでは不十分です。「生きる力」をつけるためには、生徒が自分で考え、検証や判断をしながら問題を解決していく能動的な知識活用力も育てることが大切です。
知識や技能を学ぶことにとどまらず、「思考力」「判断力」「表現力」などを育むことが今後の「生きる力」を養うための教育なのです。
「徳」…他人との協調によって豊かな人間性を培う
「徳」は道徳心や人間性を指します。道徳教育などを通じて生徒が自らを律し、他人を思いやり、協調性を磨くのが「生きる力」の目指す「徳」です。
具体的には、ディスカッションやグループワークなどの学習活動を実施して、社会性や社会的能力を培います。仲間と協力し合い、自分と違う考えをもつ仲間の意見に耳を傾け、生徒は人との上手な接し方を覚えていくのです。
「体」…発達段階に応じて健やかに育てる
「体」は従来の教育と同様に、体育で育みます。
生徒一人一人の発達段階に応じた運動で、健やかな体作りをします。多様な動きを習得するための体操やリズミカルに体を動かすためのダンス、アクティブな動きと競技の面白さを理解するための球技など、プログラムはさまざまです。
「体」は一生ものの資本です、学校教育では子どもが将来大人になってからも自分で体調管理できるように、健康維持に関する基礎知識を教える事も重要です。
「生きる力」=自己教育力を育てる
今の時代に「生きる力」が重要視される理由は、社会の変化のスピードが速くなっているからです。実際に皆さんの子どもの頃と今では身の回りで使われているテクノロジーや常識も変わっていると思います。
このような変化が激しい世の中において、子どもに知識を与えてもその子どもが大人になるころには不必要な知識となるかもしれません。また今後必要とされるであろう知識や技能を先回りして教えることも不可能です。
そこで役に立つ力として、子どもが生涯自分で学び社会で活躍するための「生きる力」に白羽の矢が立ったのです。それでは現代の学校教育ではどのようにこの「生きる力」を伸ばすのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
子どもの知力を支える3つの柱
今回の学習指導要領の改訂で子どもの知力を支える3つの柱が提示されています。「①未知の事柄への思考力・判断力・表現力」「②学びに向かう力」「③実生活で応用できる知識と技能」の3つです。
この3つの柱を磨き上げる事で、子ども達は生涯に渡って自立して学び挑戦し続ける「生きる力」を持つことができます。そして3つの柱を鍛えあげるための方法として2020年度から導入されたのが「アクティブラーニング」と「教科の増強」です。それぞれ3つの柱をどのように鍛えるのか説明しましょう。
アクティブラーニング
アクティブラーニングでは「①未知の事柄への思考力・判断力・表現力」「②学びに向かう力」を鍛えることができます。
アクティブラーニングは子ども達が主体となって課題に取り組む学習方法で、新学習指導要領の目玉ともいえます。
従来の学校教育では学習というと、生徒達は先生の話を聞くだけの受け身な勉強が主流でした。しかし、アクティブラーニングでは生徒達自身で何を学ぶかを決めます。自分が知りたい事を調べるため、子どもはやる気や主体性を持って学習に取り組むようになるのです。
また生徒達はある程度自由に調べ学習をするため、先生が知らない事や考えた事がない疑問にぶつかる可能性もあります。そういった場面では、生徒達はまさに未知の事柄に対して自分達で対処しなければなりません。
このようにアクティブラーニングの導入で、従来の教育ではカバーされていなかった「主体性」を前面に押し出す事で子ども達の「生きる力」を伸ばそうとしているのです。
アクティブラーニングについてより詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
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教科の増強…「③実生活で応用できる知識と技能」を鍛える
「教科の増強」では「③実生活で応用できる知識と技能」を鍛えることができます。
世界の変化を速めている社会的背景に「グローバル」と「IT」の2つがあります。そしてこの2つの潮流の変化に対応するために必要とされているのが、「外国語」と「プログラミング」です。この2つの知識は今後さらに存在感を増し、国語や算数と同じようにビジネスの場面で最低限の知識と考えられています。
子ども達が「IT・グローバル社会」で能力を発揮できるよう、新学習指導要領では「外国語」と「プログラミング教育」という教科の増強が行われているのです。
家でも「生きる力」を育もう!
生きる力は学校教育でのスローガンではありますが、家庭でも意識してサポートする事で教育効果を向上させられます。どんなサポートできるか、みていきましょう。
親は子どものサポートに回る
子どもの「自主性」「主体性」を育むため、親は主導権を握らずサポートに徹しましょう。「自分で考えさせる」「自分で解決させる」などを意識することが大切です。
子どもに学ばせるときの接し方の例を5つ紹介します。
- まず「~やってみようか?」と子どもの意欲を引き出す。
- 子どもに「なぜ?」「どうしたらいかな?」と質問する。
- 褒めるよりも子どもの判断を認めてあげる。
- 子どもが失敗したら共感し、再チャレンジしたくさせる。
- 子どもへの振り返りなどでフォローアップし次につなげる。
積極的に学校での学びの話を聞く
子どもに「話させる」というのは、子どもの「表現力」を育むだけでなく、「対応力」「コミュニケーション能力」を高めます。
たとえば、「今日は何の勉強が面白かった?」「今日の勉強で難しかったのは?」など学んだことについての「現在地」を確認してあげたり、本音を探ってあげたり。
さらに質問への回答を掘り下げながら、子ども自身に「なぜ」「次は何を」「どうすればいいか」などを引き出させることが大切です。
子どもは聞かれたことに答えようとするたび、アウトプットによって「知」を高めていくことでしょう。
まとめ:一生涯活躍する子どもを育てる「生きる力」とは
変化のスピードが速くなっている現代、求められる知識や技能はどんどん変化していきます。生きる力はそんな先行き不透明なの世の中で不可欠です。
生きる力の3つの要素をもう一度確認しましょう。
これから加速する社会の変化に対応するため、「生きる力」を幼少期から育むことを意識が高まっています。「生きる力」を育むには、基礎知識と主体的に得られた「知」に加え、他者との協調で育む「徳」、多様なカリキュラムで強化する「体」の三位一体のバランスが重要です。
さまざまな教育現場では「AIとの共存」「デジタル機能の活用」「グローバルな視野と対応」を実現させるため、アクティブラーニングなどのプログラムで幼児期から学せる環境が整っています。
本記事を参考にして、ご家庭でもお子様の「生きる力」を育んであげてくださいね。