絵本の読み聞かせは4つの効果がある!読み方のNGとコツも紹介!

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幼稚園や保育園に通っているお子さんをお持ちの皆さんは、絵本の読み聞かせに自信がありますか?

絵本の読み聞かせは教育にいいと聞いて、子どもが字を読めるようになっても読み聞かせを継続している方も少なくありません。しかし、絵本を読み聞かせしている方のなかには、このような事を一度は考えたのではないでしょうか?

  • 読み聞かせに本当に教育効果があるの?
  • 今のままの読み聞かせのままで正解かどうか自信がない。
  • 読み聞かせの効果を高める方法を知りたい!

本記事では、このような疑問をお持ちの方のために、読み聞かせの効果とコツについて紹介しますので、ぜひ参考にして頂けると嬉しいです!

読み聞かせの効果を発揮するための2つのマインドセット

絵本は子どもにとって、親とのコミュニケーションツールの1つです。そのため、保護者の皆さんの読み聞かせに対する姿勢は子どもの絵本に接する態度にも大きく関わってきます。

そのため、まずは小手先のテクニックやメリットではなくお子さんと接する時に持っておくべきマインドセットを紹介していきます。

  • 大人も一緒に楽しむ精神が大事
  • 読み聞かせの第一優先は国語力ではない!

それぞれ詳しく見ていきましょう!

大人も一緒に楽しむ精神が大事

絵本の読み聞かせにおいて心がけておくべき最大のポイントは保護者である皆さんも一緒に子どもと楽しもうという精神です。

子どもは大人とは違った視点から、物語の世界にどっぷりつかって楽しんでいます。そこで、保護者である皆さんが楽しくなさそうに読んだり、子どもの楽しみを邪魔したら子どもはどう思うでしょうか?

子どもは保護者と一緒に盛り上がる事で、主体的に絵本に関わる子どもに育っていきます。後述しますが、筑波大学とお茶の水女子大学による研究では親が子どもの感性に共感しながら読み聞かせをすると、子どもの語彙力や思考力に好影響を与えるとされています。

あくまでも子どもを楽しませ、子どもの楽しんでいる姿や絵本の解釈を聞いて”自分も楽しむ”ということを意識しましょう。楽しく、教育的効果もあるという理想の状態で絵本の読み聞かせが出来るようになります!

読み聞かせの第一優先は国語力ではない!

絵本の読み聞かせは国語力の向上にいいと聞いて、子どもに国語を教えるように絵本を読み聞かせをする方がいます。しかしこれは絵本の読み聞かせにおいてNG行為の1つです。

発達心理学者内田の発表では、子どもは無理やり教育されるよりも興味を持った遊びを自由にした方が高い語彙力を身に着ける事が示されています。

この研究結果は、特に絵本の読み聞かせを教育と考えている方に知っておいて欲しい結果です。「子どもが読んで欲しいと思っているから読み聞かせる、子どもが楽しんでいるから絵本を読む」という意識に変える必要があると言えるでしょう。

子どもにとっての遊びは大人の息抜きの遊びと違い、脳や体を発達させるための重要な仕事です。絵本もその一部と考え、絵本の読み聞かせの時にも子どもにとってそれが「遊び」の時間になる事を意識しましょう。

この記事では国語力などの将来的なメリットを含め、4つの読み聞かせの利点を紹介しています。しかし、全て子どもにとって「絵本=遊びの時間」という前提があってこそのメリットである事を忘れないようにしてください!

読み聞かせが幼少期の子どもに与える4つの効果

絵本の読み聞かせには短期的にも長期的にもメリットがあります。

短期的には「リラックス効果」「心情理解が深まる」というメリットがあり、長期的には「自己肯定感」「国語力」の向上というメリットがあります。

それぞれ見ていきましょう。

リラックス効果がある

絵本の読み聞かせにはリラックス効果があると考えられています。実際に寝る前の読み聞かせを、子どもの寝かしつけに活用している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実は、このリラックス効果は実際に脳科学の分野で効果が実証されています。

兵庫教育大学の森慶子教授が「絵本の読み聞かせ」の効果の脳科学的分析という論文で、読み聞かせ時に子どもの前頭前野の血流が減っている事が証明されています。

≪リラックス効果測定のメカニズム≫

前頭前夜は脳の司令塔ともいえる理性を司どる脳の部位です。子どもは安心していると、危機を察知するアンテナを立てたり、ストレスに対する備えをする必要がありません。
そのため前頭前夜を酷使する必要がなくなり、血流が減ります。このように、前頭前夜の血流減少はリラックスしているかの基準に用いられているのです。

他にも例えば、読み聞かせによって鼻の温度が下がっている(副交感神経が優位になっている)事が実証されていたり、様々な研究から子どもがリラックスするのに効果的である事が示されています。

子どもにとって心身がリラックスして情緒が安定している状態は、発達にも好影響を与えます。リラックス手段の1つとして定期的に読み聞かせをしてあげる事をおすすめします。

人の心への理解が深まる

絵本の読み聞かせによって子どもは、他者の心を理解する共感性が育ちます。

今井&坊井(1994)の研究では絵本の読み聞かせを聞いた年長組の幼稚園生は、物語の登場人物になりきって絵本に没頭し他者の心を推し量る能力を磨いていくという結果が出ています。

共感性はコミュニケーション能力の基礎と言ってもいいほど大切な能力です。最近注目されている非認知能力とも関係があるので、子どもの就学が近づいてきたら積極的に読み聞かせをして子どもの共感性を育ててあげましょう。

非認知能力については下記の記事で詳しく解説しています。

【非認知能力】世界が注目する子どもが生き抜くための能力とは?

※発達心理学では共感性は4歳児頃から発達しだすと考えられているので、絵本による心情理解の効果も4歳児以上で十分な効果を発揮すると考えられます。3歳未満の児童に対して効果がないとは言えませんが、「毎日読み聞かせをしてるのに、子どもの自己中心性が変わらない!」と心配する必要はありませんのでご安心ください。

将来の国語力の基盤となる語彙力がつく

絵本のメリットとしてずっと言われ続けているのが「国語力の向上」です。ここでよく起こる勘違いが「国語力が高い=国語の成績がいい」という勘違いです。

もちろん小学生以降では国語の成績の良さが国語力を見る指標になります。しかし幼児期の段階では、国語力の要素である「論理的思考力」や「本質を見抜く力」は、脳の成熟が未発達なため高められません。

幼児期の間に最も成長する国語力の要素は「語彙力」です。幼児期後半には一日に20単語ほど新しい単語を獲得していると言われています。その語彙獲得の舞台の1つとしてふさわしいのが「絵本の読み聞かせ」なのです。新しい絵本には子どもにとって初めて出会う単語が沢山でてきます。

新しい語彙の習得する脳は子どもが楽しいと感じている間に最も活発になります。つまり楽しい「読み聞かせの時間」は子どもの語彙を増やす絶好の機会です。

あくまでも子どもが楽しむ状況を作るのを最優先に子どもの語彙を増やしてあげるよう、新しい絵本を定期的に仕入れてあげるのがよいでしょう。

就学前の読み聞かせが中高生の自己肯定感や社会性に影響!

国立青少年教育振興機構」の調査によると、就学前からの継続的な読書経験は中学生と高校生の「自己肯定感」「社会性」「論理的思考力」など様々な面で好影響を与えている事が示唆されています。

小さい頃からの読書は、単純な頭の良さだけでなく子どもの日常生活を豊かにするような「自己肯定感」や「社会性」も育む要素となっている事が分かります。

この調査では就学前からの「読書」と書いてありますが、この記事でも紹介したように子どもに無理やり読書させるのはNGです。そのため、幼児期の子どもにはやはり読み聞かせが一番の方法になります。

また摂南大学の研究では子どもの読み聞かせは小学校以降での積極的な読書意欲に好影響を与える結果が示されています。幼児期の楽しい絵本の読み聞かせ体験が、小学校高学年以降にも「読書=楽しい」という図式を成立させ、積極的に読書する姿勢が身につくのです。

このように幼児期の絵本の読み聞かせは長期的に中高生まで、影響を与え続けるのです。

子どもが没頭する読み聞かせをする3つのコツ

皆さんの中には自分の絵本の読み聞かせに自信がない方もいるのではないでしょうか?

ここでは絵本の読み聞かせに自信を持つための3つの方法を紹介します。

読み聞かせ中の言葉に注目し好きな絵本を見極め!

子どもを読み聞かせに没頭させる一番効率のいい方法は、「子どものお気に入りの絵本を読み聞かせる」方法です。

最初に子どもの好みの絵本に対する反応を見てみましょう。筑波大学による研究では、子どもは好みの絵本に対していつも同じ言語反応が変わる事が分かっています。

この規則的な反応の仕方は子どもによって違い、興奮して喋り出す子どももいれば、逆に集中して黙っている子どももいます。まずはお子さんの好きな絵本を持ってきて、普通の絵本と好きな絵本の反応の違いを見てみてください。

子どもの好きな絵本への反応が分かったら、図書館などで絵本を借りてきて反応のいい絵本を買ってあげるといいでしょう。

それでも絵本選びに迷っている方は下記の記事で、おすすめの絵本を紹介していますのでぜひご覧ください。

【年齢別】おすすめの絵本15選!選び方も徹底解説!

読み聞かせ後は子どもの感想を聞いてあげよう

読み聞かせ中には、子どもの感想をありのまま受け止める事が重要です。子どもは大人とは異なる独特な感性を持って物語を理解するので、なるべく子どもの意見に共感したり疑問に寄り添った会話を楽しみましょう。

お茶の水女子大学と筑波大学の研究では、絵本の時に子どもに共感的な会話をしている人は普段からの子どものしつけの仕方から共感的である事が分かっています。

そのため普段からお子さんに共感的に接するように意識してみましょう。例えば、子どもの素朴な疑問に対してすぐに正解を言わずに考えさせたり、少し的外れな感想でも保護者の皆さんにとっては「新しい考え方だ!」と捉え受け入れるなど、子どもの発言に接する場面では少しずつ意識を変えてみてください。

絵本の内容を理解したうえで演じ分けよう

演じ分けは少し難易度が高いテクニックですが、子どもの心情理解を促すために有効です。

絵本の読み聞かせをする際に多くの方は登場人物によって声色を変えると思いますが、ここでは必ず皆さん自身が「登場人物の心情」を理解した上でなりきってください。

吉備国際大学の研究では、演じ分けによって子どもの心情理解が促されるという結果が示されている一方、別の筑波大学の研究では演じ分けによって逆に心情理解が阻害される可能性も示されています。これには読み手側が間違った演じ分けで、子どもが混乱しているという原因が指摘されています。

共感性の発達は絵本の読み聞かせによるメリットの1つです。皆さん自身が絵本の登場人物の心情を理解できる場合にのみ演じ分けをするように注意してください。

まとめ:絵本の読み聞かせは教育効果抜群!

乳幼児期の子どもにとって、遊びは心身や知能の発達に必要不可欠な遊びです。絵本もその「遊び」の中の1つなので、親子で読み聞かせを楽しむ事で絵本にはたくさんの教育効果が期待できます。

絵本の読み聞かせによる教育効果(以下)をもう一度確認しておきましょう。

  • リラックスする
  • 共感性が高まる
  • 国語力の基盤となる語彙力がつく
  • 自己肯定感や社会性が高まる

今回紹介した読み聞かせの効果を最大限発揮するための最大のコツは、絵本の読み聞かせを保護者の皆さん自身も楽しもうという心構えです。

皆さんが子どもの事を考えて、読み聞かせをするのはとても素晴らしい事です。しかし、せっかくの読み聞かせも気負って「教えよう!」と考えると子どもは逆に絵本に対する興味をなくし、読み聞かせの効果は発揮されなくなってしまいます。

ぜひ、お子さんと楽しく遊ぶように、読み聞かせの時間を親子で共有してください。

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