子どもの創造力を伸ばす環境づくり|幼児のアート教育

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子どもの創造力を伸ばすために、ご家庭でどのようにアートを始めれば良いのでしょうか。今回は、アートを通じて子どもの自由な発想力や創造力を育む教室「アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室」の代表を務める今泉真樹先生に、お家でできる幼児のアート教育についてお話をお伺いしました。

※本記事は子どもの創造力を伸ばすための「ご家庭でアートに取り組む環境づくり」を中心に紹介します。

取材協力者プロフィール
アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室 代表
今泉 真樹 / Maki Imaizumi
■公式HP:http://www.piupiu.jp/child/
東京都出身。アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室 代表。桑沢デザイン研究所を卒業後、英ローズ・ブルフォード大学を主席で卒業。ジャン・ルイ・シェレルなど国内外の有名ブランドや宝塚歌劇団のジュエリーデザインなどを手がける。2012年、アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室を立ち上げ、子どもの創造力を伸ばすことに焦点をあてた指導を行う。保育 絵画指導スペシャリスト ライセンス保有。新宿区子ども未来基金助成活動【アートミック】アート講師も務める。

 

 

――ご家庭でお子さんとアートを楽しみたい場合、どのように始めたら良いか、アドバイスをお願いします。

 

まずは、お子さんが、アートをやりたいと思い立った時、すぐに表現できる環境を整えることが重要です。2つのステップをご紹介しましょう。

 

 

①部屋の片隅に子どものアトリエを作ってあげる

 

まず、思い立った時に、いつでも創り始められるよう、部屋の片隅に子どものアトリエを作ってあげましょう。場所はリビングなど、一番長く過ごす部屋が最も適しています。畳半帖ほどの小さなスペースでも構いません。そこにアートの道具や画材などを揃えて、自由に使えるようにしてあげて下さい。部屋を汚して欲しくない場合は、レジャーシートなどを、下に敷いてあげれば大丈夫です。そして「この中だけは汚しても大丈夫よ」と伝えてあげます。

 

この方法は効果てきめんで、「子どものアトリエを作ってから、自発的にものづくりを楽しむようになった。」と、皆さんおっしゃいます。アート創作活動をしたいと思った時、道具や材料を準備するところから始めると、思いついたアイデアを忘れてしまったり、準備しているうちに、やる気が失せていくこともあります。ですから、思いついたことをすぐに表現できる環境を整えることは、子どもの才能を開花させるために、重要なことです。

――具体的には、どんな道具や材料を揃えると良いでしょうか。

道具は、ハサミ、筆、ヘラ、ローラーなど。カッターや彫刻刀など、取り扱いの難しいものは、お子さんの成長に合わせて。材料は、のり、セロテープ、画用紙、折り紙、モール、セロファンなどの他、新聞紙、段ボール、空き箱、トイレットペーパーの芯などの廃材を集めて、いつでも使えるようにしておきます。

絵具、クレヨン、色鉛筆、カラーペン、ソフトパステルなどの画材は、なるべく色数の多いものを選んであげると、創作意欲がさらに加速します。50色のクレヨンや100色の色鉛筆を見ると、ワクワクした気持ちになるのは、子どもだけではないはず。筆は、平筆と丸筆の両方、それぞれ3〜5種類くらいの太さを用意してあげると、絵具でお絵かきする際、表現の幅が広がります

小さいうちは、お片付けは大人がそっとやってあげましょう。片付けを強制されると、創作活動をすること自体、嫌がるようになります。大きくなるにつれ、だんだんお片付けも自分で出来るようになりますから、安心してください。また、大量に生み出される立体作品は、すべて保管できるわけではないでしょう。保管しきれない作品は、お子さんと話し合って、写真に撮り、バイバイする習慣をつけておくと良いかもしれません。

 

 

②ミニ図書館を作ってあげる

次に、子どものアトリエのすぐそば、いつでも手に取れる場所に、ミニ図書館を作ってあげましょう。すると図鑑を調べながら、創作活動が出来ますどんな図鑑をお持ちか、皆さんに伺うと、「動物と昆虫だけ買いました。」など、子どもが興味を持った分野のみ、購入していらっしゃる方がほとんどです。しかしながら、幼い子どもはどんな分野があるのか知りません。知り得ない世界に興味を持つことや、見たことがないものを描くことは困難です。ですから、できるだけ多くの種類の図鑑を揃えてあげることをお勧めします。

 

図鑑を買ったら、まずカバーを捨てること。カバーがかかっていると、ページをめくりにくいため、子どもは図鑑を開くことがだんだん面倒になっていきます。そして、図鑑が汚れても気にしないこと。図書館の本は、汚さないよう丁寧に扱う必要がありますが、ご家庭の本は、できるだけ自由に読ませてあげて欲しいのです。乱暴に扱って良いという意味ではなく、例えば絵を描いている時に、絵具で汚れた手でめくったりしても、許してあげて欲しい、ということです。絵具がついていたり、擦り切れたりしている本というのは、それだけ子どもが調べたり読んだりしたという証です。大人の側が発想の転換をし、図鑑が使い込まれていけばいくほど、喜ばしいことである、と解釈してあげて下さい。

図鑑を調べることは「学び」そのもの。現実の世界と知識を結びつけやすく、子どもの「好奇心」を育てるために最適なツールです。「○○のひみつ」「○○の一番」といったテーマ型図鑑もお勧めです。これらの図鑑は子どもが興味を持ちそうなテーマを選りすぐり、図鑑というより、楽しく読める絵本のようなつくりになっています。

 

私のアトリエでは、いつも図鑑を調べながら、絵を描いています。例えば「キリンを描きたい」と思った時、何も見ないで描くのは、大人でも難しいです。図鑑を見ながら描くと、スムーズに描けますし、物事を観察する力もつきます。このように、小さい頃から図鑑に慣れ親しんでいると、好奇心が旺盛で学ぶことが大好きな子どもに育つでしょう。

 

ミニ図書館には、好きなアーティストの画集なども加えていくと良いと思います。私は美術展へ足を運んだ際、気に入ったアーティストの画集は、必ず購入して帰ります。鑑賞時の感動が蘇るだけでなく、絵を見ながら、色づかいやタッチを参考にしてみたり、アイデアを膨らませてみたり、と役立ちます。ぜひお子さんと一緒に美術展へ行き、お互いに好きなアーティストを探してみて下さい。

 

作家の集大成としてまとめられた画集は、その作家を知るために最適ですし、美術館の所蔵作品を集めた画集は、その美術館の哲学が詰まっています。また、アーティストによって、手法も様々なので、「自由に描いても良い。写実的に描くだけがアートではない。」と子どもたちに伝えることもできます。アート作品は、たくさん観れば観るほど、自然と目が養われていきますし、自分の好みもわかってくるでしょう。

 

今回は、リビングなど、一番過ごす時間が長いお部屋の片隅に、子どものアトリエミニ図書館を作ることで、アートにすぐ取り組める環境を整える方法をご紹介いたしました。

次回は、アートに取り組む際、どのような声がけをしたら良いか、など親子のコミュニケーションについて、お伝えしたいと思います。

 

 

 

 

 

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