アートに取り組む子どもへの声かけ|親子のコミュニケーション(専門家インタビュー)

7+

子どもがアートに取り組んでいる時、どのように声をかければ良いのでしょうか。

今回はアートを通じて子どもの自由な発想力や創造力を育む教室「アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室」の代表を務める今泉真樹先生に、お家でできる幼児のアート教育について、”親子のコミュニケーション”を中心にお話をお伺いしました。

 

取材協力者プロフィール
アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室 代表
今泉 真樹 / Maki Imaizumi
■公式HP:http://www.piupiu.jp/child/
東京都出身。アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室 代表。桑沢デザイン研究所を卒業後、英ローズ・ブルフォード大学を主席で卒業。ジャン・ルイ・シェレルなど国内外の有名ブランドや宝塚歌劇団のジュエリーデザインなどを手がける。2012年、アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室を立ち上げ、子どもの創造力を伸ばすことに焦点をあてた指導を行う。保育 絵画指導スペシャリスト ライセンス保有。新宿区子ども未来基金助成活動【アートミック】アート講師も務める。

 

――前回は、子どものアトリエとミニ図書館をつくり、すぐにアートに取り組める環境を整えてあげる大切さを、教えて頂きました。そのアトリエで、どのように始めれば良いでしょうか?

一人でもどんどんアートに取り組めるお子さんは、少し離れて見守ってあげれば良いですが、「やり方がわからない」「一緒にいて欲しい」というお子さんもいます。そういう場合、親御さんも子どもと一緒に、自分の作品をつくることをお勧めしています。向かい合わせではなく、お子さんのお隣に座ってあげると、よりリラックスして取り組めるはずです。

お子さんのお手伝いをすると、どうしても口が出てしまうので、「お父さんも何か作ろうかな」「お母さんも絵を描いてみよう」と、ぜひ一緒に創作活動をしてみて下さい。そうすると、「それ面白いね」「そんなアイデアがあるのか」など、お互いに発見があったり、様子を見て学ぶこともあったり、と楽しく過ごすことが出来ます。

大人は完成形が頭に浮かび、完璧な作品を作ろうとして手伝ってしまいがちですが、子どもが自分で試行錯誤することにこそ、意味があります。「折り紙の折り方を教える」といった場合は別ですが、アート活動をする際に、親御さんが手伝ってあげるのは、極力控えるようにして下さい。

お子さんの年齢や性格にもよりますが、お父さんやお母さんに教えられると、イヤだと感じることが多いようです。一緒にやりながら、「補強すると立つ」「切り込みを入れたら、うまく曲がる」など、見よう見まねで創るのは刺激的ですし、面白いですよね。

マネをするのは学びの基本。親御さんは、お子さんと遊びながら、アートに触れ合えるよう、導いてあげると良いでしょう。自分で創り出す喜びを知った子どもは、創作活動に励むようになります。

 

 

――アートを楽しんでいる子どもへの声かけで、注意することがありましたら、教えてください。

 

大人がつい言ってしまう言葉として、以下の3つが挙げられます。

①「上手だね!」

②「これ、なぁに?」

③「○○したら?(アドバイス)」 

 

①無意識に言ってしまう「上手だね!」

「上手だね」は、一番よく言ってしまうのではないでしょうか。無意識に使いがちな言葉ではありますが、「上手だね」と言い続けると、大人が「上手」と思うような絵を描かなければならないと、子どもは考えてしまいます。「上手く描けない」と思ってしまった子どもは、自信を失い、苦手意識を持つことが多く、アートの世界から遠のいていきます。

「上手い、下手」という価値基準で判断するのではなく、「ここを工夫したね」「最後まであきらめないで、よく頑張ったね」など、試行錯誤して作ったプロセスなどを評価してあげると良いでしょう。また、「この絵を見ていると、元気になるよ」「この作品、好き」といった感想を伝えてあげると、子どもは喜ぶと思います。

多くの大人は、「写実的に描けること」=「絵が上手い」と思い込んでいるようです。写実的に描けることばかりが、アートの意義ではありません。「絵は写実的に描く必要はない」と大人の意識を変えれば、子どもの心も開放されると思います。

また、「上手だね」と褒め続けていると、自己承認欲求を満たすためだけに作品をつくるようになる子どもが多くいます作っている最中に、「これ上手?」「これどう?」とばかり聞いて来る場合、注意が必要です。純粋にアートを楽しむのではなく、「褒められるために作品をつくる」というように、方向が変わっている可能性があります。アートは、心のままに創り出すもの。人からの評価は気にしなくて良いのです。

②「これ、なぁに?」とつい質問

「これ、なあに?」は、話のきっかけとして、つい聞いてしまうフレーズだと思います。もちろん絶対に言ってはダメということではありませんが、詮索しすぎると聞かれたほうは疲れてしまいます。小さな子どもは意味もなく、ぐるぐると線を描いたり、なんとなく思いつきで工作をしていることが多いものです。あまり質問されると、うっとうしく感じて、アート創作活動をだんだん嫌いになってしまうことがあります。

成長につれ、目的を持って作品づくりをするようになりますが、まだ小さな未就園児に、作品づくりの「目的」を求めすぎないよう、心にとめておいてください。

子どもから「これは○○なの」と、ストーリーを伝えてくれたら、もちろん楽しんで聞いてあげると良いと思います。次の日には違うストーリーになっていることもありますが、その変化も含めて、「子どもの想像力は面白い」と受け入れてあげましょう。

 

③「○○したら?」とアドバイスしてしまう

良かれと思って伝えてしまうアドバイス。例えば「もっと明るい色を使ったら?」「猫の足が1本足りないよ」など、口出しをしてしまうことがあると思います。

アートに「正解、不正解」はありませんから、できるだけ子どもの自由に描かせてあげて下さい。大人から指示されて描く絵や工作はつまらないので、描きたい気持ちがだんだん薄れていったり、創ることが嫌いになってしまったりします。その時しか描けない絵画、創れない作品があります。ひとたび大人への階段を上がってしまうと、幼い頃の作品がどれほど貴重で、愛おしいものだったか、気がつくでしょう。

子どもが成長し、「もっと技術的に上達したい」と自ら考え、アドバイスを求められた場合は、もちろん応えてあげて構いません。大人になってからは、心のままに描くだけでは、前に進めないこともあります。自由に描ける子どものうちは、ぜひのびのびとやらせてあげて欲しいものです。

もし子どもの中にある「クリエイティブ能力を引き出して育てたい」と思うのでしたら、お子さんを信じて任せてあげて欲しいのです大人はひたすら見守る、という忍耐が必要。

私は、常々子どもというものは素晴らしい才能を持っていると思っており、子どものクリエイティブ能力を尊重しています。大人から信頼してもらえていると感じる子どもたちは、自信を持ってアートに取り組みますそして持っている力をぐんぐん伸ばすことが出来るのです。

7+
21世紀の子育てを考えるメディア「How Kids」