子どものプログラミング学習のメリットと将来への期待【教育のプロに学ぶ】

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2020年から小学校の必須課題となるプログラミング学習。これまでになかった科目のため、遅れをとらないようプログラミング教室に通わせる親御さんが急増しています。ですが実際には、「何のために必要なの?」「将来何か役立つの?」という声が多いのも事実。
そこで今回、プログラミング学習を受ける本当のメリットと効果について、キッズ・プログラミング教室「KIDSPRO」を運営するキッズ・プログラミング株式会社代表 岡田哲郎氏に直撃インタビューして聞いてきました!
取材協力者プロフィール
キッズ・プログラミング株式会社代表取締役
岡田哲郎 / Tetsuro Okada
■公式HP:https://kidsprogram.co.jp/
群馬県桐生市出身。学生時代はコンピュータに学習能力を持たせることによりコンピュータが苦手とする問題を解決するニューラルネットワークに関する研究を行う。卒業後は移動体通信システムのシステムエンジニアとして日本電気株式会社に入社。アジア、ヨーロッパを担当し、2000-2003年にはイギリスに駐在し次世代携帯電話システムの海外展開などに従事。
主な出版物として、「スクラッチ3.0でゲームを作ろう! 小学1年生からのプログラミング教室(著書)」
「一緒に作るScratch 3.0ゲームプログラミング実践編(DVD)」、「ゼロから始めるスクラッチゲームプログラミング入門編(DVD)」などがある。

 

プログラミング学習は論理的思考や創造力を養うだけじゃない!

――プログラミングを習うメリットや教育効果はどんなものがありますか?

まず1つ目は、よく言われていることですがプログラミング的思考を育てられることです。

プログラムは少しでも順番や条件が違うと正しく動作しませんし、相手の立場に立って考えないと意図した動きが出来ません。そのためプログラミングをするときは、意図した動きを実現するために1つ1つ段階的に考えて組み立てていくので自然と論理的思考が養われていくのです。この論理的思考はどんな職業にも通じるので、将来プログラマーにならなくても養っておきたい能力の1つとされています。

2つ目は、何かを作ることで創造力や問題解決力が身につくことです。

たとえばプログラミングで何かゲームを作ろうと思った時、最初は誰かの作ったゲ―ムをマネすることからはじめたりします。少し慣れてくると人と同じものを作りたくない!と思うようになって、徐々にアレンジを加えたりするんですよね。そうした学ぶ過程の中で自然と創造力がついてきます。

それとプログラムには必ずデバッグといって、プログラムに潜む欠陥を探し出して取り除く作業が必要になります。子どもや初心者だったりすると、頭の中ではどういう動きをするか想像できているのですが、実際にプログラムを動かしてみたら全く違う動きをしていた!なんてことがよくあります。分かりやすく実生活に置き換えてお話しすると、「あれ取って!」と誰かに伝えたとします。でも相手は「あれじゃわからない!」って…(笑)なので、あらためてはっきり主語を伝えてお願いしなおすことになりますよね。

プログラミングも同じです。正しく動作してくれないのなら、どこが違うのか、何が原因なのかを考えて試行錯誤しながらゴールまで進めていきます。こうした一連の流れの中で、問題解決能力が身についていくのですよね。

3つ目は、プログラミングを学習することで他の教科の要素も一緒に学べることです。

これまでの学校の授業だと、国語だけ、算数だけ、理科だけといった感じで1つの教科ではそれだけを集中的に学習してきたと思います。ですがプログラミング学習では、レゴ・ブロックのような教材を使って科学的なことを一緒に勉強したり、プログラミングで絵を描くこともあるので芸術面の勉強にもなります。他にもプログラミングでは図の作成などもしますので算数的な要素も身につけることができます。

こうして様々な教科を統合的に学ぶことができる点もプログラミング学習ならではのメリットだと思います。

プログラミング経験は、将来のデジタル時代に適応する力に!

――プログラミング学習を受けることで将来的にも何か役立つのでしょうか?

先程のメリットでお話ししましたが、プログラミング学習をすることによって、論理的思考や問題解決能力が身につきます。それは、将来どんな職業についたとしても必要とされる能力ですので、学んでおいて損はありません

また、今の子どもはスマートフォンやパソコンを用いて、アプリやオンラインゲームなど様々なハイテク機能を使いこなして遊んでる子が多いと思います。

Scratch(プログラミング言語)を開発したミッチェル・レズニック氏も語っていたのですが、「テクノロジーを言葉に置き換えると、今の子どもは読んだり聞いたりすることはできるけれども、書いたりしゃべったりすることができない」と。要するにテクノロジーを使って何かを作ることができる人がまだまだ少ないということですね。

現に、今はプログラマー人材が不足していると言われています。

そうした中、幼少期には、Scratchjrなどのプログラミングアプリで、遊び感覚で楽しくプログラミング学習をして苦手意識をなくしておく。慣れてきたら今度は自作ゲームを作ったり、ストーリーアニメーションなんかを作って自分に自信をつける。

このように子どもの頃からプログラミングを経験し、その面白さと成功体験を積んでおくことで、自然とテクノロジーを活かせる人材に成長していることでしょう。それにより、プログラマーの人材不足の解消はもちろん、起業して自ら作りたいものを実現するような人材もたくさん出てくるのではないでしょうか。

今後ますます進化し続けるデジタル化社会の中で、仕事のあり方やライフスタイルなどに大きな変化が訪れるかもしれません。そんな状況下でも自分の力で羽ばたける大人に育っていってほしいと考えています。

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