新学習指導要領・探究学習とは?子ども達の輝く未来につながる学習方法

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探究学習は、2019年度の高校一年生から必修化したことで注目が高まっている教育方法です。
小学校でも段階的な導入が決まっていることから、お子さんの小学校進学を前に関心をもつ保護者の方が増えています。

今までにない学習方法ということもあり、下記のような疑問を持っているのではないでしょうか。

  • そもそも探究学習って?
  • 探究学習にはどんな取り組みがある?
  • わざわざ探究学習を始めるメリットがあるの?

こちらの記事では、探究学習の特徴や詳しい学習ステップを紹介します。

最後まで読んでいただければ、探究学習の理解が深まり、お子さんの学習のサポートがより効果的にできるようになるはずです!

探究学習って何?

探究学習とは簡単に言えば、全てを生徒自身で進める調べ学習です。
最初に何を探究するか決める所から、情報収集や学習成果の報告方法まで全て自分で決定します。

探究学習は学習指導要領の改訂にともない、2019年から2022年にかけて本格的に実施される予定です。高等学校ではすでに「総合的な探究の時間」としてカリキュラムの中に導入されています。

ここからは、探究学習について意味や具体的な学習方式、普通の科目との違いを解説しましょう。

探究学習の目的

探究学習は、「課題発見力」と「問題解決力」の2つを成長させることを目的としています。

探究学習では最初に、自分の研究テーマを決めます。この過程で従来の教育では決してトレーニングできない課題発見力を磨くのです。

生徒は自分の生活の疑問に基づき課題を設定します。その際に重要なことは普段の生活の些細な疑問や違和感を見逃さないことです。子どもはこの小さな課題発見の経験を積み重ねることで課題発見力を磨きます。

また探究学習では自分の設定した課題に対して、自らの力で答えを見つけ出す必要があります。設定した課題によっては今まで誰も考えたことのないテーマの可能性もあるでしょう。

正解のない問いに対して、何を調べればいいのか考え、調べた情報を基に仮説を立てていく問題解決力を磨くことができるのです。

自律的な学習方式

探究学習の一番の特徴は自律的な学習方式にあります。

探究学習では先生が生徒に対して何かを教えたり強制したりすることは一切しません。先生の役割はあくまでも、子ども達のサポートです。

具体的には先生たちは下記のようなサポートをします。

  • 何を調べたらいいか困っている子どもにヒントを与える
  • 調べ学習や発表で必要なツールの使い方を教える
  • 子ども達が学外で調査したい場合のサポートをする。

このように子ども達の主体的な問題解決をサポートするのが探究学習の特徴です。

なぜ今探究学習が必要なのか?

探究学習で培われる「問題発見力」と「問題解決力」は21世紀の時代に必要な能力と考えられています。

今後ITの技術が発達するにつれ、今までの教育によって育てられていた単純な知識や特定分野だけで発揮される問題解決能力は必要とされなくなると言われています。

AIには見いだせない「新しい問題を発見する能力」「分野横断的な問題解決能力」が今後必要とされていくのです。

この2つの能力を身につけられる学習方法として、「探究学習」が注目されました。

探究学習の4ステップ

文部科学省の学習指導要領では、「探究的な学習」として4ステップを定めています。

探究学習の4ステップ

  1. 【課題の設定】 体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ
  2. 【情報の収集】 必要な情報を取り出したり収集したりする
  3. 【整理・分析】 収集した情報を、整理したり分析したりして思考する
  4. 【まとめ・表現】気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し表現する

先生から与えられた課題ではなく、この4ステップを通して子ども達が自ら課題を設けて解決力を養っていくのが探究学習です。

ここからは、各ステップについて詳しく解説しましょう。

課題の設定

最初のステップでは、子どもは下記のポイントを意識し課題を設定します。

  • 子どもの問題意識を引き出す。
  • 子どもの興味の対象を明確化させる。
  • 子どもを夢や目標の原点に返す。
  • 子どもの身近なテーマを具体化させる。

具体的な課題を想像しやすいように、小学校の事例を見てみましょう。

  • 食の安全や生活との関わり
  • 身近な高齢者の暮らしぶり
  • 自分の生活習慣と健康の関わり
  • 目的に合わせた情報の選択と発信
  • 日本の伝統や文化の素晴らしさ

実際には、ワークシートなどを使い、子ども達が自発的に課題を見つけられるようにします。

情報の収集

課題を設定したら、問題を解決するために情報を収集します。

ここでは結論を出すことよりも、情報収集の過程が重視されます。探究学習では、子ども達に収集能力や取捨選択力を身につけさせるのも狙いです。

情報収集の手段は多様で、本や新聞記事、インターネット、取材など多数の手段があります。その中から「どの情報」を「どの方法で」収集するのか見極めるプロセスが大切なのです。

場合によっては地域の人などにも協力をしてもらい、アンケートを活用して情報収集することもあります。

情報の整理・分析

探究学習では情報を収集して終わりではありません。
適切に整理し分析することで、子ども達の思考力や情報活用能力、問題解決力の形成を図ります。

具体的には子ども達は先生と共に、下記のような手順や手法を使って情報を分析していきます。

  • 必要な情報を選び取る
  • 情報と情報の関連性や相違点を探す
  • 課題と収集した情報の論理を繋げる
  • 図画やイラストを用いて情報の関係性がパッと見てわかるようにする
  • 足りない情報があれば再収集する

上記の活動によって子ども達は「物事を多角的に見る視野の広さ」「複数の事象の関連を見る論理力」を成長させ、問題解決力を身に着けていくのです。

まとめ・表現

探究学習の最後に、子ども達は課題の結論を他者に伝える状態に仕上げ他の生徒に分かるようにプレゼンテーションします。子ども達は発表をすることで、「特に大事なポイントだけを絞る要約力」「人に説明し納得してもらう伝える力」を養います。

プレゼンテーションでは、課題から結論に至ったプロセスを提示しながら、結論への裏づけを説明していきます。

実際の教育現場では「プレゼンテーション」だけでなく、「研究冊子」など多様な手段で子ども達は研究成果を人に伝えていくのです。

また子ども達はこの「まとめ・表現」のステップで、今回学んだ課題から得た新しい課題・疑問を発見し次の探究学習に活かします。

子どもによっては探究学習を通して自分の学びたいことを発見し、将来の夢につなげる子どももいるようです。

探究学習の利点

日本の教育現場で導入が進んでいる探究学習ですが、教育上嬉しい利点が2つあります。

ここでは、探究学習がもたらす利点を紹介しましょう。

探究学習の成績への影響

探究学習は、子ども達の成績アップに影響します。

探究学習によって、子ども達は総合的な知識を蓄え、集中力や思考力、情報収集力を培うことになります。その結果探究学習に取り組んでいる生徒は、国語や算数といった普通科目でも成績を伸ばしていくのです。

また探究学習を通した主体的な学びで、子ども達は自ら考え分かる喜びを知っていきます。そのため子ども達は自発的に楽しんで勉強していき、学ぶ意欲が高まっていくという好影響もあるのです。

子ども達の中には、苦手だった教科を克服できるケースもあります。

課題の解決途中で多様な分野知で見を広めるうちに、子ども達は今まで興味がなかった科目に「理解できる喜び」を感じるようになります。

このように様々な要因から、総合的に普通科目での成績向上に効果が出るのです。

課題を自ら設定する能力が身につく

探究学習の一番の利点は「課題発見力」が身につく点です。
より平たく言えば「日常生活への関心の幅」が広がるようになります。

探究学習では、子ども達は自分の関心・疑問を課題として設定できます。そして自分の分からないや知りたいを自分の力で解決していく楽しさを覚えることで、より「知りたい」という気持ちを強く持つようになるのです。

課題発見力が身につくメリットは2つあります。

1つは子どもが夢・やりたいことを持つことで、もう1つが自分で困難を乗り越えられることです。

「知りたい」という意欲を伸ばすことで、子ども達は自立するために必要な能力を手に入れます。課題発見力が、大人になった後の生活や仕事において効果を発揮していくことは間違いありません。

学校以外で探究学習を学べる場所

小学校などの教育機関で実施され始めた探究学習ですが、学校以外でも学べる場所があります。
ここでは、首都圏を中心に主要都市で探究学習を提供している塾などを紹介しましょう。

  • 探究学習BOKEN
    東京都杉並区にある学習塾です。小学生を対象に、独自のカリキュラムで探究プロジェクトを提案しています。
  • Delta Studio
    東京都渋谷区にある塾です。小学生~高校生を対象に、独自の教育サービスで子ども達の創造力を伸ばしています。
  • Curio School
    東京都目黒区にある塾です。小学生~高校生を対象に、モノづくりなどを通じた体験学習ができます。
  • タンキュークエスト
    東京都渋谷区で通信学習を運営している企業です。幼稚園年長~小学生を対象に、スマホやパソコンを使った自宅学習ができます
  • 探究学舎
    東京都三鷹市にある塾です。小学生~高校生までを対象に、教室外授業やオンライン講座などを提供しています。
  • VisionsPalette(ビジョンズパレット)
    東京都目黒区にある絵画教室です。3歳~高校生までを対象に、芸術活動を通じたクリエイティブな感性を育てています。
  • 知窓学舎
    神奈川県横浜市にある少人数制の塾です。小学生~高校生までを対象に、哲学や教養を身につけさせています。
  • LABO7(ラボセブン)
    愛知県名古屋市にある塾です。小学生から高校生までを対象に、プログラミング教育を展開しています。
  • 探究堂
    京都府京都市にある塾です。幼稚園年長から小学6年生までを対象に、「探究する力」を養っています。
  • NPO法人 BOOCS サイエンス 自然学究塾
    福岡県博多市にある塾です。小学4年生から中学生までを対象に、ロボットプログラミングなどを教えています。

探究学習への関心が高まるにつれ、探究学習を教える塾も各地で増加しています。
お住まいの地域に探究学習の学べる場所があるなら、詳しい学習プログラムをチェックしてみてください。

まとめ:探究学習は子ども達の将来を作る教育

ここまで、新しい学習プログラムとして注目されている探究学習について解説してきました。

文部科学省が必修化させた探究学習ですが、「探究」が意味する自律式の学習法により、思考力や集中力、問題解決力など多くの能力が養われることが期待されています。普通の科目と違い、先生に教わるのではなく自分で課題を設定するところから結論を導くところまで取り組むのが探究学習の意義です。

最後にもう一度探究学習の4ステップを確認しておきましょう。

  1. 【課題の設定】 体験活動などを通して、課題を設定し課題意識をもつ
  2. 【情報の収集】 必要な情報を取り出したり収集したりする
  3. 【整理・分析】 収集した情報を、整理したり分析したりして思考する
  4. 【まとめ・表現】気付きや発見、自分の考えなどをまとめ、判断し表現する

探究学習で得る課題発見力や問題解決力は社会に出てからも大いに生かされます。

探究学習のカギは「課題の設定」にありますので、ご家庭でも普段からさまざまなテーマについて話す機会を作り、お子さんの問題意識を高めてあげましょう。もし、本格的に探究学習を体験させたいのであれば、学校以外の塾などに通わせてあげるのも選択肢のひとつです!

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