現代に必要不可欠な決断力を育てる!オランダ生まれのピラミッドメソッド幼児教育法とは?

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みなさんは「ピラミッドメソッド幼児教育法」をご存じでしょうか?

ユニセフが発表した子どもの幸福度調査で世界一となったこともあるオランダで生まれた幼児教育方法で、今世界中から注目が集まっています。

今回はそんな新しい幼児教育方法に興味を持っている皆さんの下記のような疑問に答えていきます。

  • ピラミッドメソッド幼児教育とはどんな教育方法?
  • なぜピラミッドメソッド幼児教育が注目されているの?
  • ピラミッドメソッド幼児教育を受けさせるデメリットはあるの?

本記事ではピラミッドメソッド幼児教育への理解をより知ってもらうために下記の流れで解説します。

この記事を読み終える頃には新しい幼児教育がご自身のご家庭と合っているか分かるようになっているはずです。

ピラミッドメソッド幼児教育法とは

「ピラミッドメソッド幼児教育法」は、元々オランダ政府教育機構Cito(*)により開発された、3~6歳の幼児向けの保育方法です。従来の日本の詰め込み式教育方法とは異なり、「自分で考えて決断できる力を養うこと」に重点を置いています。

*オランダ政府教育機構Cito(チト)とは・・・
Citoはオランダを拠点とするテスト・測定分野を扱う企業。 1968年にオランダ政府により設立され、1999年に民営化されました。オランダの教育テスト開発の中でも85%の小学生が受験する「End of primary school test」が有名で子どもたちそれぞれの学習習熟度を調べています。

現代を生き抜くために必要な力とは?

デジタル化やグローバル化による社会の変化スピードが加速している世の中。
この変化の時代を生き抜くには「自分で考えて決断できる力(=決断力)」が重要です。

決断力を養うためには、「判断方法」を教えなければいけませんが、現代の一般教育では「知識」の教育が中心で、判断方法を教えることはほとんどありません。

こういった背景から「決断力」を養えるピラミッドメソッド幼児教育法が注目されているのです。

理論に基づいていて遊ばせる教育方法

自力で決断できる子どもを育てるピラミッドメソッドは「教える」よりも「遊ぶ」に近い教育方法です。
実際にピラミッドメソッドの理論では、初期段階の学びは「遊び」と定義され保育者が具体的に教育することはありませんが、その理論は心理学や教育学によって裏付けされています。

例えば、子どもを適度に放任するのは、心理学のディスタンシングという理論を基に考えられています。
ディスタンシングとは簡単にいうと、子どもは1人で行動することで外界の危険性や困難を知り、成長するという理論です。

多くの理論が用いられているためここでは割愛しますが、理論的な教育法である事が分かってもらえるのではないでしょうか?

ピラミッドメソッドはこのように理詰めでありながら、子ども達がノビノビと育つことができる教育方法なのです。

ピラミッドメソッド幼児教育が向く家庭

ピラミッドメソッド幼児教育が向くご家庭は「子どもの学ぶ意欲」を育てたいというご家庭です。

ピラミッドメソッド幼児教育法を受けた子どもは幅広い興味を持つようになり、興味がある事にはとことん向き合い学んでいきます。1つの事に没頭して学習するような子どもに育ってほしいと考えているご家庭におすすめできる教育方法です。

ピラミッドメソッド幼児教育法の4つの概念

ピラミッドメソッドに「ピラミッド」という名前がついている理由は、この4つの基礎石です。

この教育の4つの基礎概念の上にピラミッド状に教育方法を組み立てているため、ピラミッドメソッドと呼ばれています。

ここで紹介する4つの基礎概念に沿って教育する事によって、子どもの「決断力」を最大限育成できると考えています。それでは各基礎石を1つずつ解説していきましょう。

子どもの主体性

「子どもの主体性」を簡単に言い換えると「やる気」です。子どもは物事に主体的に関わる事で新しい学びを獲得していきます。

そのためピラミッドメソッドは子どもに何かを強制させることはありません。子どもの自主性を生むためにピラミッドメソッドが気を付けている点は下記の2点です。

  • 子どもが自ら学びたいと思える仕掛けや環境(教具や遊具)を用意する
  • 子どもが次も学びたいと思えるように、成功したときには褒めて、子どもの自信を育てる

特に後者は保育者が積極的に働きかけることで、子どもに学びを促進させられます。そのためピラミッドメソッドでは後者のアプローチを最重視し、保育者は子どもを積極的に褒めて伸ばすように注意しているのです。

保育者の主体性

2つ目の「保育者の主体性」は、保育者がカリキュラムに従うだけでなく、子ども達1人1人に合わせた教育をするということです。

子ども達の自主性を育むため、保育者には子どもの要求を考慮した働きかけが必要です。そのためには子ども達1人1人の性格や興味を把握しておかなければなりません。

保育者はただ単にお世話をしたり決められたことをするのではなく、保育者自身も主体的に考えて子どもに接することが求められるのです。

寄り添うこと

3つ目の概念である「寄り添うこと」は、簡単に言えば保育者が子どもの精神的な拠り所になることです。

教育心理学では、子どもは親との愛着関係を軸に他者と接すると言われています。ピラミッドメソッドでは保育者も親と同じように人間関係の軸になりえると考えているのです。

子どもが安心して幼稚園や保育園で学ぶためには、保育者と子どもの信頼関係を徹底的に築くことが重要です。

距離を置くこと

4つ目の「距離を置くこと」は「子どもに挑戦させること」を指します。

子どもは大人から見ると危なっかしいためついつい手助けしてしまいがちです。しかし子どもは少しの危険や困難であれば、自力で乗り越えられます。そして自力で限界を突破した時こそ子どもの成長しどきなのです。

3つ目の基礎石である「寄り添い」で過保護になりすぎないように、バランスよく子どもの面倒を見ることで子ども達は少しずつ自分の認識や能力の枠を広げていきます。

ピラミッドメソッド幼児教育法の4つのプログラム

ピラミッドメソッドは「4つの基礎石」をベースに、上図の3つのプログラム(プレイプログラム、プロジェクトプログラム、チュータープログラム)、そして家庭での遊びを指すペアレントプログラムを併せた4つのプログラムがピラミッドメソッド幼児教育法の具体的な教育手法です。

「プログラム」とは簡単に言えば子ども達の活動の事を指します。
それでは早速4つのプログラムがどんな内容か見ていきましょう。

プレイプログラム

「プレイプログラム」とは子ども達が自由に遊ぶ時間です。
この時間は4つの基礎石のうち「距離をおく」を実践する時間であり、保育者の介入はほとんどありません。

プレイプログラムの目的は、「子どもの自己決断力と自己解決力」を育てることです。

子ども達は自分が何の遊びをどう楽しむか教えてもらいません。自分がやりたい事を決断したり、遊びの中で失敗することで、子ども達は自立するための能力を自分で育んでいくのです。

子ども達は環境に合わせて自由に遊び、そこで新たな発見や学びを得ていきます。もちろん保育者ができるだけ放任で、子ども達に自由にさせると言っても、保育者は最低限のサポートをするように注意を払います。

例えば、どんな遊びをしていいか分からない子どもには、遊びを提案したり、つまらなそうにしていたら声をかけてあげるなど、子どもが最大限楽しめるような工夫をするのです。

プロジェクトプログラム

ピラミッドメソッドの軸ともいえる「プロジェクトプログラム」は、簡単に説明すると実験の時間です。
プロジェクトプログラムは4ステップで進行します。

今回は、イメージしやすいように「テーマ:水」でプロジェクトプログラムを実施する時の具体例と共に見てみましょう。

ステップ名 ステップの目的 【テーマ:水】の時のプロジェクト例
①オリエンテーション 身の回りの事に好奇心を持って接するようになる 水について知っている事をみんなで共有し、逆に水にはどんな知らない事があるのか考える機会を与える
②デモンストレーション 実際に身の回りのものに触れて体験してみる 水への関心を引き立てた上で、子ども達に水で遊ばせ、水の感触や音・匂いを体験させる
③広げる 身の回りの物事に対して新しい知識を身に着ける 体験をとおして、水に溶けるものと溶けないもの、水に浮くものや沈むものなどを見つけて理解を広げる
④深める 知識と体験を統合して新しい発見や疑問を生み、知識を深める 水道水や雨水の違いなど、新しい疑問と別の知識を組み合わせることで、水への理解を深める

このようにプロジェクトプログラムとは、今までは何も考えずに触れ合ってきた周囲の事象に興味を持たせ、遊ばせ、学びに変えるプロセスです。

プロジェクトでは、色や形、数、空間などのテーマに基づいた活動を毎年行っていきます。その際、保育者は前に実施したプロジェクトと関連のあるテーマを選ぶことで、より連続した有意義な学びを促進するように注意しています。

この活動を通し、子ども達は自分の体験から興味を引き出し、自ら学ぶ力を獲得する事ができるのです。

チュータープログラム

3つ目の「チュータープログラム」は、保育者が子ども達を個別にフォローする時間です。

子どもの発達は1人1人異なります。プログラムの後に補習のような形で、後れをとっている子やわからない所がある子たちの理解を手助けしたり、逆にもっと知りたいという意欲がある子どものサポートをすることで全員の学びを最大化できるのです。

ペアレントプログラム

ここまで紹介してきたプログラムは主に幼稚園や保育園での遊びや学びでした。しかしペアレントプログラムは家庭内の親子での遊びを指します

子どもは親との関係を基盤に自立が促進されていきます。そのため親子の絆を深めておくことは、園での学びを最大化するために重要な要素になるのです。

このようにピラミッドメソッドでは家庭内の環境も幼児教育の一部と考え、積極的に家庭での遊びを推奨しています。

ピラミッドメソッドのその他の特徴

ピラミッドメソッドの主軸となる教育方法はプログラムですが、他にも「コーナーで区切られた保育室」と「サークルタイム」という特徴的な工夫があります。

コーナーで分けられた保育室

ピラミッドメソッド幼児教育法では、子どもが自主的に遊べるように保育所の中が遊びごとに分けられているという特徴があります。例えば、積み木コーナー、絵本コーナー、お絵描きコーナーなどです。

それぞれのコーナーに入る前に子ども達は予約をしなければなりません。予約といっても部屋の中にある、遊びのコーナーを写真で表示したプランニングボードに自分の名札を貼るだけです。

このプロセスには、以下の2つの意思決定のプロセスが含まれます。

  1. 自分が何をやりたいかを自覚する。
  2. やりたい事の中から今やる事を決める。

このように保育室でも子ども達が自主的な決断をできるように工夫しているのです。

サークルタイム

サークルタイムは一般的な小学校のホームルームのようなもので、朝と夕方の1日2回行います。
普通のホームルームとの違いは、子ども達と保育者全員で円を描くように座り話すことです。こうすると全員が全員の顔を見ながら話せるようになります。

サークルタイムのメリットは、保育者にとっては子ども達と対等な目線から子ども1人1人の様子を見れ、子ども同士もお互いの顔を見て交流できる点です。

円形になって活動に取り組む形式は、先述したプロジェクトでも子ども同士のコミュニケーションを活発化させるために取り入れられています。

ピラミッドメソッド幼児教育法のメリットは?

ピラミッドメソッド幼児教育のメリットを見ていきましょう。

自主性が育つ

ピラミッドメソッドの目的でもある「自主性」は、他の幼児教育と比べて育ちやすい環境です。

プログラムやプロジェクトを経て、子ども達は自分の決断や選択に自信を持つことができるようになります。幼い頃養った自己決断力は、これからの時代を生きる今の子ども達には大きな財産になる事間違いありません。

自分で物事を解決しようとする思考力が育つ

AI時代に必要とされる、問題解決能力が身に付く点は大きなメリットです。

ピラミッドメソッドでは極力、子ども達に教えないで自分達で学びを獲得することを重視します。そのため子ども達は自分が発見した課題は自分で解決する他ありません。
この過程を何回も経ることで、子ども達は自分で問題解決をするのが当たり前になっていくのです。

興味を持ったものには自分で勉強するようになる

自主性を重視した結果、子ども達は興味の幅が広がり自分の興味に従って勉強するようになります。

ピラミッドメソッドで育った子ども達にとって勉強とは強制されるものではなく、自分が知りたいからやっているものに変化するからです。

ピラミッドメソッド幼児教育法のデメリットは?

ピラミッドメソッド幼児教育法は新しい教育理論のため、まだまだいくつかのデメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。

受験などの偏差値教育には不向き

ピラミッドメソッドはいわゆる勉強を教える英才教育ではありません。
そのため小学校に入学して良い成績を取ってもらうために、早期から算数や国語を教えたいという親御さんには不向きと言えるでしょう。

成績が悪い子が育つような幼児教育ではありませんが、学校の成績を上げることはピラミッドメソッド幼児教育の目的ではないのでその点は注意が必要です。

卒園後普通の小学校に入ると浮いてしまう可能性がある

ピラミッドメソッド幼児教育で重視されていた自立的な学習と、現在の義務教育の受動的な授業とでは教育方法がまるで対照的です。そのため今までピラミッドメソッド幼児教育で学ぶ意欲を高めてきた子ほど、小学校はつまらないと感じてしまうかもしれません。

保育園や幼稚園と小学校との大きなギャップにより、勉強意欲を失ってしまう子どももいます。
そうならないためにも、ご家庭で子どもの学習意欲を高められるような工夫ができるかどうかが、ピラミッドメソッド幼児教育法を活かせるかどうかの分かれ目と言えるでしょう。

日本でピラミッドメソッド幼児教育法を受けられる施設はある?

現在日本でピラミッドメソッド幼児教育を受けられる教育施設は限られています。
ここでは代表的な施設を見ていきましょう。

まとめ:ピラミッドメソッド幼児教育は自立的な学びを重視する教育理論

本記事ではオランダ生まれの幼児教育法である、ピラミッドメソッド幼児教育法を紹介しました。

「自己決断力」を育むことをテーマにした教育理論に基づいた新しい教育法の4つの基礎石をもう一度確認しましょう。

ピラミッドメソッド幼児教育法は子どもの興味を最大限引き出し、自分でやりたい事を決断し、自分で問題を解決する力を育みます。

21世紀で活躍するたくましい子どもに育ってほしいとお考えの親御さんは、ピラミッドメソッド幼児教育法を検討してみてはいかがでしょうか。

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21世紀の子育てを考えるメディア「How Kids」