皆さんは現代の幼稚園の基礎を作ったフレーベル教育をご存知でしょうか?この記事ではフレーベル教育について下記のような疑問にお答えしていきます。
- そもそもフレーベル教育ってどんな教育?
- フレーベル教育の特徴は?
- 日本の幼稚園のほとんどはフレーベル教育って本当?
この記事では、フレーベル40教育が生まれた背景や創設者の思想、理念などを下記の流れで紹介します。
最後まで読みフレーベル教育を深く知ることで、日本の幼稚園の本質が分かるようになります。お子様を幼稚園に通わせることが楽しみになること間違いなしです!
フレーベル教育とは
フレーベル教育とは、ドイツの教育学者「フリードリヒ・フレーベル」が確立した教育法です。実は、現代日本で建てられている幼稚園のほとんどはフレーベル教育が元になっています。
例えば、「幼稚園」という言葉の定義や幼児教育に必要な考え方や積み木などの遊具などが分かりやすい例です。
もともと建築家を志していたフレーベルが夢を変えてまで完成させた教育が「フレーベル教育」でした。そんな熱い思いによって生まれたフレーベル教育がどんな教育なのか見ていきましょう。
フレーベル教育の思想
フレーベル教育の本質は「創造性」の養育です。
フレーベル教育が生まれた時代は宗教の力が強かったので、「創造性=神から与えられた才能」という発想で創造性の養育を教育のテーマに据えました。そしてこの創造性の追求が結果として、現代でも支持される「遊び」を主体とした幼児教育として形になったのです。
宗教と聞くと難しく感じますが、思想的な側面を取り除いて考えると「大人の価値観で子どもを縛るのではなく子どもの自主性ややりたい事に沿った教育」を目指したということです。
そのためフレーベルの思想は信仰心が核ですが、彼が生み出した幼児教育ノウハウは「園庭」や「遊具」といった現代の幼稚園に影響を残しています。
フレーベル教育の目的
フレーベル教育の目的は、教育遊具を使った「創造による成長」です。
フレーベルは、子どもが元々持っている能力を「表現」や「何かを生み出す力」と考えました。
実際に子ども達は何も指示しなくても、ブロックで何かを作ったり、絵を描いたりし始めます。フレーベルは「子供たちは元々表現力や創造力があり、それらの力を発揮したいという欲求を持っている」と考えたのです。
つまり、子ども達の「何かを表現、生み出したい」という衝動によりそった教育をすることで、子ども達の「創造力」をさらに成長させるというのがフレーベルの目的なのです。
そして子ども達の「創造力」を十二分に引き出すために生まれたのが、教育遊具でした。このようにフレーベルは、自身の思想にもとづいた世界で受けれ入れられる具体的な教育方法を作り出したのです。
フレーベル教育の内容
ここからは、遊びや創造性といった目的を具現化するためにできたフレーベル教育の詳しい教育内容を見ていきましょう。
自然とのふれあいとしての遊び
フレーベル教育が大切にしている事の一つが、子ども達が自然にふれあいながら遊ぶ事です。
フレーベルは自然にふれあいながら子どもを育てることで、子どもは自然と調和し、知恵や知識、観察力が養われると考えました。
幼稚園には花壇や植え込みが作られ、季節を通じて子ども達は植物とともに過ごします。そのため幼稚園の中には、菜園や果樹園、畑や田んぼが隣接している幼稚園もあります。
子ども達は栽培という体験によって、種から野菜や果物が収穫できるまでの過程を学んでいくのです。時には草むしりをしたり、虫を捕まえたり、身近な場で野生の営みを実感します。
子どもはこうした自然とのふれあいを通し、自分たちも花や草木のように小さな種から個性ゆたかに育つ自然の一部である事を理解していくのです。
積み木の原点・恩物
フレーベル教育を象徴するのが積み木です。子どもが自然の仕組みに親しみながら学べるように、「恩物」と呼ばれる特殊な積み木を使います。
恩物は「第一恩物」から「第十恩物」まであり、その形は単なる積み木から複雑なものまで恩物によって違いがあります。
例えば、「球」「円柱」「三角柱」「立方体」「直方体」など幾何学的なフォルムに、糸や棒がついていたり、カラフルに色が塗られたりなど様々です。
恩物にある唯一の共通点は、子どもの好奇心をかき立て、創造力を高める仕様になっている点になります。
また、恩物を使った遊びでは積み木で遊んだ後の片付けをさせない点がユニークです。フレーベル教育では完成途中のままにしておき、子どもに継続して取り組ませることで集中力を養えると考えています。
恩物を使う目的には以下のような3つの項目があります。
- 認識の形式:恩物の積み上げによって「数」「量」を学ぶ。
- 生活の形式:恩物で生活に関わる「家」「イス」「机」などを作り、日々の体験を再認識する。
- 美の形式:さまざまな恩物を組み合わせ、芸術的な表現をする。
恩物は現在でも多くの幼稚園で導入され、子ども達の知育に活用されています。
リズム感や感性を育てる歌
子ども達の感覚や感性を育てるため、歌に力を入れるのもフレーベル教育の特徴です。
使われる歌は「大きな栗の木の下で」など昔ながらの遊び歌中心で、子ども達が歌いながら身体を動かせるようにします。
子ども達は先生の真似をするところから歌への興味をもち、やがて自分の感覚や感性、リズム感をつかむのです。さらには、歌にこめられた明るく優しい歌詞も子ども達の心をポジティブに育みます。
子ども達は歌詞の意味を理解しながら、「楽しさ」「嬉しさ」「温かさ」に満たされ、周囲から守られたり、愛されたりしていることを認識するのです。
日本の幼稚園の多くはフレーベル教育
ここまで紹介したフレーベル教育の内容から分かる通り、フレーベル教育は現代の幼稚園での学習風景です。
子ども達は積み木に熱中し、スコップをもって砂場で遊び、画用紙に思いのまま絵を描き、先生の弾くピアノに合わせて歌ったり踊ったりします。このようにフレーベル教育は現代日本の幼稚園教育とは切っても切り離されない関係になっています。
幼稚園では日常生活の中だけでなく、行事からもフレーベル教育の影響を見つけられます。
季節ごとの行事では、餅つきに豆まき、田植え、芋掘りなど、日本の歴史や文化、自然に触れる機会があるでしょう。
日本でも多くの幼稚園がフレーベル教育を導入し、フレーベルの思想を受け継いだ実践法で子ども達の成長や発達をサポートしているのです。
遊びを通して子ども達の創造性を育てるフレーベル教育
この記事では、フレーベル教育について紹介してきました。
フレーベル教育は現代の幼児教育の基礎となっている教育方法です。自然とのふれあいを重視し、積み木などの教育遊具を使って創造性を発揮させるという、子どもの知的発育や身体的発達を目的とした教育方法は、今も世界中の幼稚園に受け入れられています。
最後にフレーベル教育の3つの特徴を確認しておきましょう。
この特徴から、「園庭がありそこで子ども達が自然と関わりながら遊ぶ」や「積み木などの遊びを通して知的な発達を促す」という現代の幼稚園と一致する部分が多い事が分かります。
これから幼稚園に入学するお子様がいるのでしたら、入学前にフレーベル教育について知っておくと幼稚園の教育目的をきちんと理解できるはずです。ぜひ、フレーベル教育の意義や目的への理解を深め、お子様と一緒に有意義な幼稚園ライフを送ってください!