ゴーグル着用で水嫌いを克服?水泳が苦手な子供の対処法!専門家が解説

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子どもの習い事で人気の高いスイミング。小学生になると水泳の授業もはじまる学校も多いですよね。ところが、「うちの子、水が嫌いなのに泳げるかしら…」「水に顔をつけるのも怖いみたい…」「ちゃんと授業受けれるかしら…」なんて心配する保護者も多いのではないでしょうか。

そこで今回、水泳が苦手、水が怖いという子ども達はどうしたら克服できるのか、専門家のご意見をうかがわせてもらうべく、スポーツひろば代表の西薗一也先生に直撃インタビューしてきました。

取材協力者プロフィール
スポーツひろば代表
西薗 一也 / Kazuya Nishizono
■公式HP:http://www.sports-hiroba.com/
東京都出身。一般社団法人子ども運動指導技能協会理事。株式会社ボディアシスト取締役。スポーツひろば代表。日本体育大学卒業後、一般企業を経て家庭教師型体育指導のスポーツひろばを設立。運動が苦手な子どもを対象にした体育の家庭教師の事業をはじめとして、子ども専用の運動教室の開設や発達障害児向けの運動プログラムの開発など、新たな体育指導法の普及に幅広く取り組む。著書に『発達障害の子どものための体育の苦手を解決する本』(草思社)や『うんどうの絵本』『かけっこの絵本』『すいえいの絵本』『ボールなげの絵本』(あかね書房)がある。

恐怖心の共感と成功体験が、水への抵抗感を克服させるコツ

――「水が怖い!」と感じる子どもは、どうしたら克服できますか?

普段生活していると人間はまず視覚が優位に働き、次に聴覚や臭覚の情報が入ってくるんですよね。なのに水の中に入ると一瞬でその感覚が変わってしまうんです。特に幼い子どもにとってはそのショックが大きく感じるようです。

水に抵抗感がある子は、いつまでたっても恐怖心が拭えないので、まずはその不安を理解してあげるんです。無理やり水にもぐらせてしまうと、かえってトラウマをあたえてしまうので、「大丈夫、怖くないよ。」という感覚を味わせてあげることが大事なんですね。

だから水が怖い、泳ぎが苦手という子には、まずは一緒になって「怖いよね。」と共感をしてあげるんです。恐怖心を理解しながら少しずつ水と触れ合わせていって、段階ごとに、「できるようになったね。」「潜れるようになったね。」「すごいね!」という感じに褒めていく。こうしてひとつひとつを成功体験に変えていくことで水に対する抵抗を和らげていくんです。

そもそも眼球に直接水が触れる機会なんて、普段の生活ではほとんどないですよね?それをいきなり水中で目を開けてごらんと言われても、怖くてできないですよ。こどもが小さいうちはお風呂で頭を洗うときもシャンプーハットをつけるくらいですし、大人でも怖くてゴーグルなしでは目を開けれない方もたくさんいるんですから(笑)

ゴーグルの着用は眼病予防と水嫌い克服への第一歩

――ゴーグルをつけるのは水への恐怖心を克服するのに効果的ということでしょうか?

効果的だと思います。水中で目を開けることに慣れていないと仮にゴーグルを着けていても怖くないですか?何が起こるかわからないんですから。

やはり予想がつかないことに子ども達ってとても弱いんです。大人になってくればいろんな経験をして、これをしたらこの後どうなるかって予測が立てられるのである程度安心できますが、子ども達には経験がないことばかりですから。

これから経験値を積んでいく成長段階のときに「大丈夫だから!」「怖くないから!」と無理強いしてしまうと、パニックになるのは当然です。恐怖心を取り除くのは難しいところではあるのですが、そういうところからしっかり子どもに寄り添いながら指導していくことが大事だと思っています。

それからプール熱やウィルス性結膜炎などの感染症を予防するためにもゴーグルはつけるべきだと思います。もしアレルギーを持っている子がプールで目を開けてしまうと、充血したりかゆくなったりする原因にもなりますから。

プールってみなさんが想像しているより雑菌がたくさんいるんです。もちろん消毒薬の塩素も使われていますが、不特定多数の人が浸かるわけですからずっとキレイな状態ではいられないはずです。

今はだいぶ減っているとは思いますが、たまにゴーグルの使用を禁止としている小学校やスイミングスクールがあったりするんです。

もともと水泳というのは、海難事故や水難事故に遭ったときに対処できるようにしましょう。というのがはじまりだったので、まずは水慣れをさせるためにゴーグルをつけないという古くからの風習が残っているところもまだあって…

でも今では水泳は競技化しているので、水の中で目を開けられるようにするというのは、ゴーグルをつけて目を開けられるようになったあとでも全く遅くないです。

わざわざ最初から恐怖心をあおる高いハードルを与える必要もないので、まずはゴーグルをつけて水中で目を開けられるようにする、クリアな視界をみて感動を誘う。このような流れで成功体験を積んだ方が、スムーズに次のステップに進めますよ。

 

西薗一也氏直撃インタビューvol.4

小学校・中学校の合計9年間において必須科目である水泳。25m(学校のプールの端から端までの長いほう)の完泳はどの小学校でも課題として与えられます。 うちの子、水を怖がっているのに25mも泳げるようになるのかしら?と心配する親御さんも少[…]

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